updated '2001 JUNE 05
last modified 2006 12/25

JAZZ REVIEWS (ジャズ・レビュー)38



     1 平積み+山積み〜整理整頓中間報告
     2 一枚の新譜

1 平積み+山積み〜整理整頓中間報告  

FOREIGN CURRENCY / YVES BROUQUI (ELABETH: ELA 621031)
Players: Yves Brouqui(g), Alain Jean-Marie(p), Nicolas Rageau(b), Charles "Lolo" Bellonzi(dr),
Tunes: Will You Still Be Mine, The More I See You, An Eye with Steve, You Go to My Head, Somewhere in the City, The End of a Love Affair, From This Moment on, Uhhuh !, Love Is a Many Splendored Thing,
軽快、軽快、実に爽快。基本的にミディアム・テンポ以上の演奏曲が多いのが試聴の疾走感にも影響しているということがあるにせよ、とても楽しく聴き通すことができました。ジャズ・ギタリストは何故この曲を弾きたがるのか未だに謎の、といっても解明する気持ちなど更々ない"Will You Still Be Mine"から始まるのがまず二重丸です。あとはその勢いで身を任せていたらいつの間にか『慕情』になっていたという次第。もちろんギターもそうですが、演奏自体はきわめてオーソドックスなスタイルなモダン・ジャズです。曲の中にはちょっともたつき気味の箇所もありますが、全体を被っているジャズ的な雰囲気がそんな細かいことは押しやってしまう感があります。またピアノはややジャラジャラ気味ではありますが、それがかえってギターのシンプルで明快なフレーズを際だたせていると言えるかもしれない。後味すっきり、スインガーの方々には是非乗っていただきたいものです。

DANCE ALONG WITH BLUE COATS SPECIAL (NIPPON COLUMBIA: COCW-30583)
Players: Toshio Mori(ldr), Yasutaka Horiuchi; Norihiko Kitazato; Hideo Motoki; Harumi Uratsuji; Yoshio Ohtani(tp), Tomoaki Hashizume; Masato Matsuguchi; Minazawa Yoshihiro(tb), Zenji Aoyagi(b-tb), Akitoshi Igarashi(as); Fumio Hayashi(as), Nobuo Tanabe; Minoru Uesato; Kameo Yoshida(ts), Masao Shirako(bs), Yoshikazu Kitoh(p), Nobuyuki Gotoh(b), Yoshiyuki Nakamura(dr),
Tunes: Sentimental Journey, Ja-Da, Sugar Blues, Smoke Rings, It's Been a Long Long Time, Stardust, Cocktails for Two, Sleepy Time Gal, East of the Sun, Smoke Gets in Your Eyes, Take the "A" Train, After All, Lotus Blossom, Soul Trane, Hot House, Our Delight,
そうそう忘れておりましたが、そろそろビッグ・バンドの季節がやって来ますのでこれを。最初の十曲は"Dance along with Blue Coats"として出たもので、それにエリントン集とダメロン集からのピックアップ曲が追加されてCD化。後の二つのLPもちゃんとした形でCD化して欲しかったものです。機会があればちゃんと出してね。それでもマーシャル・ロイヤル率いるベイシーのサックス・セクションと同じ音がしていると称された?、五十嵐明要率いるサックス・セクション時代の記録がなされていたことは喜ばしい限りです。ジョニー・ホッジスがスケベなアルトだとすると五十嵐さんは艶っぽいアルトで、そのアルトをお楽しみいただけます。北里さんのペットも聞けるし。でもこう言っては何ですが、ベイシーやエリントンものを演奏する時のブルーコーツは俄然音が活性化されて聞こえてくると思えてならないのはこっちの思い込みか?ダメロン集を制作してバンドの幅が広がったこの後、日本でのビッグバンド事情が良好でなくなっていったのは残念でした。

HOPE / LARS JANSSON TRIO (IMOGENA: IGCD078)
Players: Lars Jansson(p), Lars Danielsson(b), Anders Kjellberg(dr),
Tunes: How Deep Is the Ocean, The Tree, Hope, Live Be Where You Are, Why Was I Left under the Sky, Living under the Road to Paradise, Summer Rain, A Little Blues for You, A Blissful Smile, In Peaceful Sleep,
Lars Janssonはどういう訳か出ていませんでした。嫌いっていう訳でもなく、どちらかと言えばその透明感のある北欧的な清涼なピアノ・スタイルは好みなのですが、ECMっぽさが強くなっているのではないかと誤解と偏見を持っていたのかもしれない。最初に聴いたのは御存知ラドカ・トネフのグループでピアノを弾いている彼でした。所属していた比較文化研究室の隣が文化人類学研究室で、そこのカナディアン(確か?)・エスキモー研究の永見君の下宿にたまたまお泊まりしたときに聴いたのが彼女の"It Don't Come Easy"で、バックの演奏を含めてこれは良いってんで即購入した記憶があります。彼女は30歳で自殺を図ってしまい、それもあってヤンさんとも疎遠になってしまったのかもしれない。その後随分とご無沙汰していたわけですが、最近また聴いてみようかなと思い直してほとんどオリジナルだったにもかかわらず意を決して手にしたところなかなか良かったです。今までのものはともかくこれ以降のCDは少なくともチェックしてみようかなと思っている今日この頃です。というわけで、結構聴きやすいです。

ANOTHER TIME / ALAN BROADBENT (TREND: TRCD-546)
Players: Alan Broadbent(p), Putter Smith(b), Frank H. Gibson(dr),
Tunes: Airegin, Another Time, 'S Wonderful, 317 E. 32nd Street, Misery, Visa, Allison's Waltz, Nardis, Star Eyes, E. 32nd Elegy,
整理はたまにするものです。「発見」があるのが嬉しいではありませんか。こんなのがあったのですねぇ。Alan Broadbentをすっかり忘れていました。メンバーは同じなのですが、今回はニュージーランド録音のものでなくてアメリカ録音のものをとりあえず。それというのも、ライナーノートを粋なピアニストDave Frishbergが書いているのですが、これがウイットに富んでいて面白いので、それも含めてお薦めということで。1970年代後半位からでしょうか、スタジオ・ミュージッシャンとしても広く知られ、いわゆるフュージョン系(何かこの用語も最近使用可能なのかどうかもわかりませんが)ともお付き合いのある、結構懐のあるピアニストだとこっちは勝手に思っています。ここでは、オーソドックスなというところまでは言えないでしょうけれども、もちろんピアノ・トリオのスマートな演奏がなされています。ただ、録音のせいもあるかとも思いますが、すっきりとしていてサァ〜っと流れてしまうきらいがあるかもしれませんので、その点ご留意下さい。

SHORTCAKE / BILL BERRY (CONCORD: CCD-4075)
Players: Bill Berry(cor, vib), Marshal Royal(as,cl)*, Lew Tabackin(ts,fl)*, Bill Watrous(tb)*, Mundell Lowe(g), Alan Broadbent(p)*, Dave Frishberg(p), Chuck Berghofer(b)*, Monty Budwig(b), Frank Capp(dr), Nick Ceroli(dr)*,
Tunes: Avalon, Betty*, Bloose*, I Didn't Know about You, Royal Garden Blues*, Moon Song, I'm Getting Sentimental over You, I Hadn't Anyone till You, Stella by Starlight*,
そのDave FrishbergとAlan Broadbentがピアノを分け合っているBill Berryをついでに出しておきましょう。モダン・スイングといった内容であることは明らかであるのですけれども、このメンバーにLew Tabackinが入っているというのはなかなか珍しいのではないかと。スタイルの違いは歴然としているはずなのに、ドラマーやベースの二人がそうであるように、ここでは二人のピアニストの差異がよくわからない。どちらのピアニストもリーダーに合わせたということなのかもしれない。この時期Bill Berryは、恒常的ではありませんが既出のL.A.Big Bandを率いていたころで、その関連のメンバーをピックアップしたコンボ演奏を録音しておこうと思ったかどうかは定かではありません。それにしても思ったのは二人のドラマーで、シェリー・マンしかりこのレーベルのハウス・ドラマーだったジェイク・ハナしかり、このあたりのドラマーは派手さはないけれども堅実でサトルで実に良いです。

BEAUTIFUL LOVE / ROBERT STEWART (RED: 123273-2)
Players: Robert Stewart(ts), Eric Tillman(p), Jeff Littleton(b), Brett Sanders(dr),
Tunes: Speak Low, Beautiful Love, Everything Happens to Me, You Don't Know What Love Is, Five Spot After Dark, Body and Soul, Canadian Sunset, Speak Low(take 2),
そうそう、このジャケットに違和感を覚えていたような記憶がある。ジャケットに写っているこの人物は、一体誰なのだろうかと。Robert Stewartでないことは確かだと思うのだけれど。そんなことはどうでも良くて、ライナーも無いのでこの人よくわからないのですが、冒頭の"Speak Low"でいきなりかませて、コルトレーンか?と思わせておいて、その後どんどん夜の深い闇の中に沈んでいく感じがたまらないというか正体不明というのか。で、「ジャズ批評」のテナー特集をめくってみたら載っていました。さすがジャズ批評社。それによると「若手ブラック・テナーの雄」となっていて、これ以外の紹介されている作品はかなりきわどそうな印象。とすると、このCDはオーソドックスなジャズだといえばそうで、たまたま当たり?を買ったのかもしれない。録音も往年のPrestigeを彷彿とさせる雰囲気で、そんな気分に浸りたい方には、本物を聴けば良いではないかと言われそうですが、それでも十分にお薦めできます。

HAMMER TIME / TARDO HAMMER (SHARP NINE: CD 1014-2)
Players: Tardo Hammer(p), Dennis Irwin(b), Leroy Williams(dr),
Tunes: Gnid, No Problem, Reflections, Ski Ball, Moment to Moment, I Concentrate on You, Plan B, Time, Celia, You Leave Me Breathless,
すっかり忘れておりましたの今回の目玉となるCD。最近新譜がでましたが、それで「確か」と思ったらやっぱりありました。当方と同い年なので、ということはDavid Hazeltineとも同年生まれなので、これからご贔屓にしてあげて下さい。Hazeltineの方が先に出てしまいましたが、演奏スタイルは彼よりもさらにオーソドックスなバップ・スタイルのピアニストです。レザボアでのHod O'Brienや、Carsten Dahlのデビュー作品などのようなピアノを聴きたい方にはお薦めできます。スピーカーからその音が出てくるだけで、録音がヴァン・ゲルダーですから、空間の雰囲気だけはもう往年のジャズ喫茶。今回あらためて聴いてみて良いと思ったのはドラムのLeroy Williams。この人こんなに良かったっけと。Kenny Washingtonのドラムがお気に入りの当方はもう大喜びするようなドラムで、また一人チェックする必要のあるドラマーが増えてしまった。で、このピアニストとドラマー、他になかったのかなと探してみたら、

KEEP ON KEEPIN' ON / JOHN MARSHALL (MONS: MR 874 774)
Players: John Marshall(tp), Tardo Hammer(p), Jesse Davis(as), John Goldsby(b), Leroy Williams(dr),
Tunes: You, Waltz for Birks, Nobody else but Me, All through the Night, The Thrill Is Gone, Keep on Keepin' on, That Old Devil Called Love, Houston St. Beat, Off Minor, Theme of Kareem,
ありました。いい加減に聴いていることが暴露されてしまいました。それで、この二人がそろっているこのCDを。でも、これ何故紹介してなかったのだろうか。Jesse Davisも参加しているのに。たぶん他と同様その内にと思いつつ忘れていったのだろう。二人を比べると、ここでの演奏ももちろん良いですが、クインテット演奏ということもあるし、上記のCDでのような強烈な印象を残さなかったのかもしれない。で、改めて聴いてみたこのCDは悪くない。全然悪くない。John Marshallはスムースにストレートなペットを颯爽と吹いているし、特にミドルテンポ以下ではTardo Hammerのらしいピアノが聞けるし、ドラマーは反応が良くてやはり良いし、Jesse Davisは彼そのものだし、悪くないです。ただ、つまり、当方がよく言う、普通、ごく普通のハードバップ・セッションですので、そこのところよろしくお含みおき下さい。そして、話題の二人にはゲルダー録音が最適であることははっきりしました。


2 一枚の新譜~(予告篇)

MEET YOU IN CHICAGO / JENS BUNGE (JAZZ4EVER: J4E 4749)
Players: Jens Bunge(harm), Thomas Guenther(p), Michael Arnopol(b), Rusty Jones(dr), Jackie Allen(vo)#1, Judy Roberts(vo)#2, Greg Fishman, Diane Delin(vln), Joe Pardon(per),
Tunes: Morning Song, Emily#1, Invitation, Skylark#2, The Loop, The Summer Knows#1, Hurry Up !, Virginia, Elsa, What a Difference a Day Made#2, Meet You in Chicago, Chan's Song,
最近購入した中にハーモニカのCDが何枚かあって、秋口まで措いておこうとも思ったのですが、また忘れるといけないのでとりあえず予告編の一枚を。Jens Bungeはハーモニカと同様ドイツの人ですが、他はタイトル通りシカゴのジャズメンのようです。オリジナルとスタンダードが良い具合に混ざっていて、また適度に二人の女性ヴォーカルも入るという、とてもお買い得な内容に仕上がっています。ただ、まとまりがないと言えばいえるのですが、好きな曲が4曲も入っていて、そのいずれもがヴォーカルでそれぞれになかなかの出来であれば良しとせざるを得ないでしょう。"Emily"のJackie Allenは矢井田瞳がもっと大人になって枯れてジャズを歌うようになった感じ?、そんなわけがないですが。Judy Robertsはピアノも弾き、"Skylark"はハーモニカとのデュエット。リーダーのハーモニカは可もなく不可もなく、ハーモニカは良いのか悪いのかよく判らない部分があるので普通に聴いていただけるという意味で。その中でブルージーなタイトル曲にはハーモニカは合ってる。それと、バックのピアノ・トリオのメンバーは良いですねぇ。

  今回はここまで。



INVITATION TO JAZZ SECTION の最初へ