updated '97 10/01
last modified March 17, 2005

JAZZ REVIEWS (ジャズ・レビュー)3


 <今回のメニュー> 
   1 秋もBig Bandだ!
   2 秋の夜長はじっくりと
   3 拾いもの、良い買い物
   4 JAZZ REVIEWS

(曲名の赤字は推薦)
(黒字はオリジナル文、茶色字は改訂版時の追加文)




1 秋もBig Bandだ!

 まずは、 
big band connection/Rolf Kuhn(MIRAMAR 23060-2)
Players: Rolf Kuhn(cl), Harb Geller(as), Stephan Von Dobrzynski;Harald Ende(ts), Howard Johnson(bs), Joe Gallardo;Wolfgang Ahlers;Egon Christman(tb), Lennart Axelsson;Ingolf Burkhardt;Johannes Faber(tp), Fritz Pauer(p), Lucas Lindholm(b), Ronnie Stephenson(dr),

Tunes: Sweet Georgia Brown, On Green Dolphin Street, Autumn Leaves, Get Me to the Church on Time, As the Lonely Years Went by, Satin Doll, Sister Sadie, Cabaret, Don't Be That Way, Stella by Starlight, Yesterdays,
ドイツ録音のビッグバンド。リーダーはクラリネット奏者で、50年代以降のアメリカでBenny GoodmanやTommy Dorseyなどのバンドで活躍した後に、故郷のドイツに帰国し放送業界の仕事をしているらしい。きわめて滑らかに、普通にスウィングするクラリネットがきける。もちろんビッグバンド自体もかなりの実力があると思うし、全体の音がしっかりしている。全11曲いずれも有名なスタンダードで、リーダー以外のソロイストも各曲でいいソロを聴かせる。Herb Gellerが参加しているのが唯一我々の目をひく。おすすめは、秋ということで"Autumn Leaves"でもいいのだが、ここは一つHorace Silverの"Sister Sadie"にしておきます。


 次に、
THE JAZZ SOUL OF PORGY & BESS(Capitol Jazz: CDP 7 95132 2)
Players: Art Farmer,Harry "Sweets" Edison,Bernie Glow,Markie Markowitz,Charlie Shavers(tp), Bob Brookmeyer,Frank Rehak,Jimmy Cleveland,earl Swope(tb), Rod Levitt(b-tb), Phil Woods,Gene Quill(as), Al Cohn,Zoot Sims(ts), Sol Schlinger(bs), Herbie Powell(g), Bill Evans(p), George Duvivier(b), Charlie Persip(dr),

Tunes: Summertime, A Woman Is a Sometimes Thing, My Man's Gone now, It Takes a Long Pull to Get There, I Got Plenty O' Nuttin, Bess You Is My Woman, It Ain't Necessarily so, Minor Themes, Prayer, Strawberries, Honey Man, Crab Man, I Love You Porgy, Clara Clara, There's a Boat Dat's Leavin' soon for New York, Oh Bess Oh Where's My Bess, Oh Laed I'm on My Way,
ビッグバンド・アレンジ版『ポギーとベス』。アナログ版は寡聞にして知りませんでしたが、メンバーを見て「何だこれは!」状態。録音は古く1959年の1月で、アレンジャーはBill Potts。ペット群にArt FarmerやHarry Edisonがいることは驚きではないが、Charlie Shaversが入っているのは「おやっ?」でしょう。ボーン群にもなる程のメンバーがいて、さらに豪華なのはサックス陣。アルトがアルト・マッドネスの二人なら、テナーはアル&ズートである。このサックス陣で何をしようというのであろうか。そして驚くのはここからで、何を思ったか、薬代に困ったか、ピアノを弾くのはBill Evansである。で、出てくる音は、何か雑っぽいなぁという感じでしょうか。まぁ、これはメンバーで聴いて下さい。もちろんソロは聴き逃せません。ですから、おすすめは全曲にしておきましょう。


 さて、
JAZZ JOURNEY/Pete Petersen & The Collection Jazz Orchestra(CMD 8042)
Players: Tamara Schultz(as,ss), Phil Chester(as), Ray Dretske; warren Sneed; Larry Panella; Pete Whitman(ts), Pete Petersen(bs), Ronnie Saucier; Steve Rentschler; R. Carey Deadman; Mark Breithaupt; Frank Reed; Rick Baker; David Alexander(tp), Jeff Thomas; Bill Johnson; Leonard Neidhold; Robin Kraft; Tim Kraft; Dave Bandman; Ashley Alexander; Rich Matteson(tb), Eric Swanson(b-tb), Mark Ripley(p), Brian Piper(p), Kim Platko(g), Ed Wise(b), Anthony Brock(b), Mike Fiala(dr), Warren Hanrahan(dr),

Tunes: Without a Song, How Deep Is the Ocean, Time after Time, I Can't Get Started, Passing Fancy, As Time Goes by, My One and Only Love, It Might as well Be Spring, A Texas State of Mind, Just the Way You Are, I've Got a Crush on You, First Things First,
リーダーは、1980年代前半において、アメリカン航空のパイロットらしい。現在は定かでない。アメリカはビッグバンドのレコードというかCDがかなり出回っている。それこそアマチュアからプロまで様々、ビッグバンド専門的なCD会社Sea Breezeというのがあるくらいである。このビッグバンドも録音の良さに助けられている部分があるかもしれないが、よく鳴っているし音はがっちりしている。惜しむらくは、ソリに甘さが感じられ、もう少しサックス陣に切れがあればと思うが、ひどく気になるというほどではない。おすすめは、珍しくアップ・テンポで演奏される"It Might As Well Be Spring"にしておきます。



2 秋の夜長はじっくりと

SHINING HOUR/Joe Puma, Hod O'Brien, Red Mitchell(RESERVOIR: RSR CD 102)
Players: Joe Puma(g), Hod O'Brien(p), Red Mitchell(b),

Tunes: My Shining Hour, Lovely, Mood Indigo, Remember, For All We Know, Love Nest, Little Joe's Waltz,
ギター、ピアノ、ベースのトリオである。1984年6月の録音。ギターのJoe Pumaについては全然知らない。前回紹介したHod O'Brienを「見っけ!」で買ったもの。ドラムレスのこの編成のトリオは、それこそナット・コール以来、ピーターソンやタル・ファーロウなどがいたが、最近ではあまり見られなくなってしまっていた。言うまでもなくベースのミッチェルがしっかりとしているし、これに乗っかるように軽やかにピアノとギターがスウィングする。ドラムがない分しっとりと聴けるかもしれない。Hod O'Brienはここではころがるような軽快なピアノを弾き、ライナーにもあるようにDave McKenna的な演奏を展開している。ライブでもあるし、くつろいで聴くにはもってこい。おすすめは、ワルツのPumaオリジナルの"Little Joe's Waltz"。


 この後はThomas Frylandの唐突なミニ特集

COPENHAGEN SUNSET/Thomas Fryland Quintet(MUSIC PARTNERS: MP 4654.2)
Players: Thomas Fryland(tp), Marco Kegel(sax), Yvo Verschoor(p), Jesper Lundgaard(b), Jo Krause(dr),

Tunes: Copenhagen Sunset, I Remember You, Life-Light, It Could Happen to You, Sound Lee, Timen's Music, Little Dancer, Leave Me,
1992年12月コペンハーゲン録音。これがデビュー作かどうかははっきりとはしないけれど、多分そう。デンマークの若きペットのホープ。自筆のライナーにはクール系のミュージッシャンの名前があがっていて、実際コニッツやトリスターノの曲を取り上げたりしている。現在のアメリカのいわゆる新伝承派などと呼ばれる若者たちとは一線隔たっており、自分としてはこちらが好みである。一番最初に彼を聴いたときにとっさに頭に浮かんだのはChet Bakerだが、この路線がお好きな方には是非。他のメンバーもかなり良く、サックスとピアノはオランダ、ドラマーはドイツ、ベースとペットがデンマークと国際編成。おすすめは困ってしまうが、ここはChet Bakerということで"I Remember You"。


 さらに
A FAIRY'S TALE/Thomas Fryland Quartet(MUSIC PARTNERS: MPCD 4575.2)
Players: Thomas Fryland(tp), Rob van Bavel(p), Jesper Lundgaard(b), Alex Riel(dr),

Tunes: Targethology, Embraceable You, I Didn't, Well Who Did, Old Folks, A Lovesome Flower Is A Lonesome Thing, Foolin' Myself, My Funny Valentine, Klausstrasse, Skylark, How Deep Is the Ocean, A Fairy's Tale, Body and Soul,
前回は特別国際編成によるデビューCDだったが、これはレギュラーかどうかわからないけれども、ワン・ホーン・カルテット録音。ベースとドラムはJan Lundgrenのデビュー盤にも付き合ったデンマークの二人、ピアノはモンク・コンペティションで二位を得たオランダのRob van Bavel(良いです)。使い古された言い方で言うなら、リリカルな味わい深いトランペットがお好きな人には魅力的な一枚。まぁ、この人のはすべてそうなのですが、若手でこういうスタイルのトランペットがアメリカには思い当たらないので。ヴォーカルのできるJeremy Davenportでしたか、あの人あたりが対抗馬になるのかもしれません。ピアノにJan Lundgrenが入ったカルテットだとどうだろうか。繊細で飽きの来ないアルバムができるんじゃないかと思う。Four Leaf Cloverの制作の、スウェーデン録音で。これまた、お薦めはどうしようかなぁ。逆に言えば、「これっ」という決め手に欠けるのかもしれませんが。


 まだ
Playing in the Breeze/Thomas Fryland(MUSIC PARTNERS: MPCD 4540.2)
Players: Thomas Fryland(tp), Jacob Fischer(g), Jesper Lundgaard(b),

Tunes: My Melancholy Baby, Ask Me Now, From This Time, I Remember Clifford, The Touch of Your Lips, You Go to My Head, Sail Away, Nobody Else but Me, Song for Strayhorn, Joy Spring, A Flower Is A Lovesome Thing, Wrap Your Troubles in Dreams,
トランペット、ギターとベースのトリオ。どうもArt FarmerとWarren Vacheの中間のような気がしてきました、トリオ編成というフォーマットにも拠るのでしょうが。朗々と繊細に音を紡いでいく姿勢というのは、基本的に「買い」です。歌心という点ではCliffor Brownの路線も継承していると言えます。いずれの曲もかつてのトランペッターたちが愛唱してきたものばかりで、よほど自分に自信があるのか、歴史に敬意をはらっているのか。まぁ、聴く方の趣味からすれば、この路線をこのまま崩さずに突き進んで欲しいのですが、どうなることかわかりません。一枚目もそうでしたが、Tom Harrellの曲を取り上げていて、音楽性などの点で参考にしているのかもしれない。ギターのFischerは、この人音は少し細くて違いますが、日本の中牟礼貞則さんを思い出させるのですが、どうでしょうか?


 まだまだ
Perfume & Rain/Thomas Fryland(MUSIC PARTNERS: MPCD 4529.2)
Players: Thomas Fryland(tp), Jacob Fischer(g), Jesper Lundgaard(b), Svend Erik Norregaard(dr),

Tunes: Too Marvellous for Words, She's Funny That Way, Our Delight, Beautiful Moons Ago, Cherokee, Flossie Lou, Perfume and Rain, Daybreak, Lotus Blossom, Out of Nowhere, You Must Believe in Spring, Tea for Two, Bourbon Street Parade, Humpty Dumpty Heart,
上のトリオにドラムが加わったカルテット編成(全部ではありません)。ドラマーはデンマークの人らしく、変な言い方ですが、ちょっとやる気のあるConnie Kayみたいだと言ったら怒られるだろうか。貶しているのではありません(Connie Kayをです)、念のため。本当はAlex Rielの方がいいんですが。さて、一曲目のペットとギターのバース交換に思わず「にやっ」としてしまう。これですんなり進めます。このFryland、やっぱり一言「渋い」で片付けるのも失礼だとは思いつつ、これ以上ぴったりした言葉が見つからず、どうしたものでしょう。Ellis Larkinsの"Perfume and Rain"なんて曲、誰が覚えていたのだろう、いや誰も知らない?。と思っていたら突然ジャズ・オリジナルを吹いたり。また、"She's Funny That Way"やタイトル曲なんてHarry EdisonかRuby Braffかっていう感じだし。Fischerの生ギターも聴けます。


 もう一つ
Live at Copenhagen JazzHouse/Thomas Fryland(MUSIC PARTNERS: MPCD 4520.2)
Players: Thomas Fryland(tp), Rob van Bavel(p), Jesper Lundgaard(b),

Tunes: El Cajon, This Is Always, Barry's Rhythm, Straight on, Young at Heart, Ruby My Dear, Time after Time, This Is No Laughing Matter, Strollin',
最後のライブ盤はライブでありながら少し内向的で、これからこの路線に行くのかどうかは定かではありません。ペットとベース(今のところ録音皆勤賞のJesper Lundgaard)とピアノのトリオ演奏です。ベースもピアノも彼にぴったり寄り添っています。"Barry's Rhythm"と"Straight on"が彼のオリジナル。前者はもちろんBarry Harrisのことです。後者は"Star Crossed Lovers"が始まるのかと思ったら"My Ideal"のようなバラード。この二人にAlex RielとJacob Fischerが加わって来日しないかなぁ。日本人向けだし、ルックスも良いし、受けるのではないでしょうか。こんなこと言うと何ですが、60年頃までのトランペットのスタイルにも愛着を感じている方にとっては、ひっそりと聴き続けたいジャズマンではないでしょうか。


 最後に、また別のを一枚
THE DESMOND PROJECT/The John Basile Quartet(JD156)
Players: John Basile(g), Payton Crossley(dr), David Finck(b), Allen Mezquilda(as),

Tunes: Desmond Blue, Line for Lyons, You Go to My Head, Darn That Dream, For All We Know, East of the Sun, My Funny Valentine, Wendy, Alone Together, Warm Valley, In Your Own Sweet Way, Take Five,  
1996年12月録音。ピアノレスのギター・トリオにアルトが加わり、ポール・デスモンドへのトリビュート作品。バック・カヴァーにJim Hallが"A Beautiful Tribute to our most lyrical musician" と記したように、内容はまさに素晴らしいものになっている。各人がそれぞれにその楽器で故人を偲んで演奏している。デスモンドのアルトはまさにone and onlyで、その役を担ったAllen Mezquida は決してデスモンドの真似ではなくデスモンドの世界を表現しようとした点は認められるべきものである。でもやはり、デスモンドは偉大だ。あの溢れるメロディは何処から出てくるのだろうか。あらためてそう思った。見てくれはアメリカの田舎町の銀行の副頭取といった風貌なんだが。ちなみに、教会での録音です。おすすめは、これも困るが、"Darn That Dream"にしておきます。"Emily"がないのは淋しい限りです。



3 拾いもの、良い買い物
  
standards/Elias Haslanger(no CD number)
Players: Elias Haslanger(ts,as), James Polk(p), Jeff Haley(b), Steve Schwelling(dr),

Tunes: I'll Remember April, Alone Together, Sonnymoon for Two, Dewey Square, Portrait of Jennie, You Say You Care, Yardbird Suite, All the Things You Are, When I Fall in Love, Now's the Time, Lament,
1994年10月録音。自費製作かもしれない。何処を捜しても番号がない。リーダーは録音時点で25歳ということで、まだ若い。テナーとアルトの両方を聴けるが、ソニー・スティットのようにテナーはレスター系でアルトはバード直系と聴いた。出だしの"I'll Remember April"は音が鳴った瞬間、リッチー・カミューカと間違えそうになった。"Sonnymoon for Two"はまたDexter Gordonのようなソロを吹くしで、ちょっとおもしろいかもしれない。ピアノはメキシコ戦争当時の大統領と同名のJames Polkで、Ray Charlesの音楽監督を長くやった人物らしい。これからどういう方向へ行くのかはわからないが、注目していいんじゃないか。アルトはまだバードそのままといった感が否めないけれども、特にアップ・テンポの曲においては。おすすめは、あえてアルトを吹く"Portrait of Jennie" にしておこう。
 
  今回はここまで。
  では、また次回。
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