updated '99 01/05
modified April 30, 2005

JAZZ REVIEWS (ジャズ・レビュー)13


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(曲名の赤字は推薦)




 My favorite Cover Photo(Jacket)

 まずは、世の中に逆行して煙草を燻らすジャケット
 
STEAMIN' WITH THE MILES DAVIS QUINTET (VICTOR: VICJ-5094)
Players: Miles Davis(tp), John Coltrane(ts), Red Garland(p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(dr),
Tunes: Surrey with the Fringe on Top, Salt Peanuts, Something I Dreamed Last Night, Diane, Well You Needn't, When I Fall in Love,
レーベル移籍前のいわゆるPrestigeマラソン・セッションのうちの一枚で、地味な扱いを受けていると思われます。まぁそれも宜なるかなと肯かざるを得ないところもあるようです。おそらくマイルスの"Salt Peanuts"などこれでしか聴けないでしょうし、バラードの"When I Fall in Love"でのミュート・プレイや"Well You Needn't"は他で聴けるにしても初期の演奏として傾聴に値するものがあるしで、凡作などとは決して言えませんが、いかんせんそれ以外が地味。ジャケットは他の同じシリーズにひけをとらないとは思います。ただ、全体的な内容は、ここではコルトレーンもいま一つと言ったところで、ジャケットも良い"Cookin'"や"Relaxin'"の方がお薦めでしょう。

BLUE'S MOOD/BLUE MITCHELL (VICTOR: VICJ-23590)
Players: Blue Mitchell(tp), Wynton Kelly(p), Sam Jones(b), Roy Brooks(dr),
Tunes: I'll Close My Eyes, Avars, Scrapple from the Apple, Kinda Vague, Sir John, When I Fall in Love, Sweet Pumpkin, I Wish I Knew,
あっ、今、気づきましたがこれにも"When I Fall in Love"が入ってますねぇ。この作品、ハード・バップ期にしては全体的な音の印象が何故か軽い感じがするのは僕だけでしょうか。アッケラカンとストレートに明るく吹くトランペットと飛び跳ねスイングするピアノが理由なのでしょうか?。とまれ、これはBlue Mitchellの代表作の一つに数えられているもの。もともとHorace Silver Quintetで名前が知られましたが、以降は西海岸で主にBill Berryやジャガーノート、Louie Bellsonなどのビッグ・バンドで活動することが多かった。東海岸ではなく西海岸が音的にも向いていたのかもしれません。

TUNE-UP ! / SONNY STITT (MUSE: MCD 5334)
Players: Sonny Stitt(as,ts), Barry Harris(p), Sam Jones(b), Alan Dawson(dr),
Tunes: Tune-Up, I Can't Get Started, Idaho, Just Friends, Blues for Prez and Bird, Groovin' High, I Got Rhythm,
煙草に火をつけるStittの横顔が良いです。内ジャケットにはその拡大写真が載せられています。とにかく、一曲目でしょう。Sonny Stittの「ジャズ宣言」と言って良いくらいだと思うのですが。この人も演奏スタイルは不変で個人的にはテナーを吹いているときの方が好みですが、アルトもテナーも力量は変わらないと思います。どちらにしてもパーカーに似ているとか何とか言われようとも、聴いたらそれでも何となくSonny Stittとわかるだけの個性は持ち合わせています。彼のフレーズはちゃんとあります。Barry Harrisも良いです。

WARM TENOR/ZOOT SIMS (PABLO: PACD-2310-831-2)
Players: Zoot Sims(ts), Jimmy Rowles(p), George Mraz(b), Mousey Alexander(dr),
Tunes: Dream Dancing, Old Devil Moon, Blues for Louise, Jitterbug Waltz, You Go to My Head, Blue Prelude, Comes Love, You're My Thrill,
ズートのPabloの一連のジャケットはダメなものが多いですが、これは良い方。もれ聞いた話では、べろべろに酔っぱらっていても(限度はあるでしょうが)かなりちゃんとテナーが吹けたそうで、西条孝之介さんが真似しようとしたけどできなかった、とか。どうでもいい話ですが、ビル・クロウの本などを読むといわゆる「良い奴」と言えそうで、酒にまつわる話などいくらもありそう。さて、他の作品に比べて何か四人が違う方を向いて演奏しているような印象を持っていたのですが(ズート自体は悪くない)、今回ジャケットということで取り出して、久しぶりに聴いたら、いやぁそんなことはなかったです。何でそんな印象を持っていたのだろうか。Jimmy Rowlesの出来不出来のせいかなぁ。他の何かと間違えていたのか。全体的には悪くありません。今回はジャケットお薦めということですから。


 Drawing シリーズ

KENNY BURRELL (TOSHIBA EMI: TOCJ-1543)
Players: Kenny Burrell(g), Tommy Flanagan(p), Paul Chambers(b), Kenny Clark(dr), Candido(per), Kenny Dorham(tp), J. R. Monterose(ts), Bobby Timmons(p), Sam Jones(b), Arthur Edgehill(dr), Oscar Pettiford(b), Shadow Wilson(dr), Frank Foster(ts),
Tunes: Get Happy, But Not for Me, Mexico City, Moten Swing, Cheeta, Now See How You Are, Phinupi, How about You,
アンディ・ウォホールのジャケット(他にもブルーノートにはいくつかあります)。ポップ・アートの旗手で超有名ですが、やはり基礎はちゃんとしていたのだというのがこのジャケットでわかります。最近のCMでピカソがさぁーと白い線を引くのがありますが、やはりあの線は素人には引けないですね。へんてこな絵を描く人だと思われて、子供でも描けるとか思われたりもしますが、とんでもないことだと認識を新たにしました。あの白い線は尋常じゃないです。閑話休題。Kenny Burrellも唯一無比で、誰の者でもない彼自身のスタイルを持っています。この音です。特徴は。いわゆるブルージーで、ゆったりとしていて、リラックスできる彼のギターはつくづく魅力的だと感じます。

"DADDY PLAYS THE HORN"/DEXTER GORDON (NIHON COLUMBIA: COCY-78643)
Players: Dexter Gordon(ts), Kenny Drew(p), Leroy Vinnegar(b), Larry Marable(dr),
Tunes: Daddy Plays the Horn, Confirmation, Darn That Dream, Number Four, Autumn in New York, You Can Depend on Me,
ジャケットがそれこそ「かわいいっ!」。悠然と我が道を行くという感じで、豪快に時にはまったりとした誰のモノでもないゴードンのテナー・サックスが聞こえてくるのとはちょっと違うかなと思わなくもないジャケットではあるけれど、ゴードン「パパ」のテナーが聴けると思えば、そうかもしれないと思えてくる。ゴードンもいいが、Kenny Drewのシングル・トーンのピアノがまた良い。その後二人は北欧の地で何度も顔を合わせることになる。相変わらず地を這うようなLeroy Vinnegarのベース。このベースだからこそピアノのシングル・トーンが生きているのかもしれない。ただバラードになるとベースは少し弱いけど。Jimmy Jones、Leroy Vinnegar、Connie Kayのソロに淡泊な三人のトリオ演奏って聴いてみたいとよく思うのですが、プロデューサーは躊躇するかなぁ。

ELLA FITZGERALD SINGS THE GEORGE AND IRA GERSHWIN SONG BOOK (POLYGRAM/VERVE: 314 519 842, 843, 844-2)
Players: Ella Fitzgerald(vo), Nelson Riddle Orchestra,
Tunes: Ambulatory Suite, The Prelude, Sam and Delilah, But Not for Me, My One and Only, Let's Call the Whole Thing off, (I've Got) Beginner's Luck, Oh Lady Be Good, Nice Work If You Get It, Things Are Looking Up, Just Another Rhumba, How Long Has This Been Going On, 'S Wonderrful, The Man I Love, That Certain Feeling, By Strauss, Someone to Watch over Me, The Real American Folk Song, Who Cares ?, Looking for a Boy, They All Laughed, My Cousin in Milwaukee, Somebody from Somewhere, A Foggy Day, Clap Yo' Hands, For You for me for Everyone, Stiff Upper Lip, Boy Wanted, Strike up the Band, Soon, I've Got a Crush on You, Bidin' My Time, Aren't You Kind of Glad We Did ?, Of Thee I Sing (Baby), "The Half of It Dearie" Blues, I Was Doing All Right, He Loves and She Loves, Love is Sweeping the Country, Treat Me Rough, Our Love Is Here to Stay, Slap That Bass, Isn't It a Pity ?, Shall We Dance ?, Love Walked in, You've Got What Gets Me, They Can't Take That Away from me, Embraceable You, I Can't Be Bothered Now, Boy! What Love Has Done to me, Fascinating Rhythm, Funny Face, Lorelei, Oh So Nice, Let's Kiss and Make up, I Got Rhythm, Somebody Loves Me, Cheerful little Earful, Oh Lady Be Good(alt.), But Not for Me,
Song Book Seriesの一つで、この作曲家シリーズだけでCD16枚組となると、Verveに残した彼女の録音は一体どれ程になるのか見当もつかない。最近これにさらにおまけの付いたガーシュイン作品集がアメリカで出たようですが、ん〜いい加減にしてくれと言いたい心境。さて、ジャケットは御存知ビュッフェの作品で、エラのジャケットとして実に雰囲気が良い。内容はソング・ブックとして面目躍如、インデックスの役割も果たしている。素直に唄を歌うエラは実にチャーミングで、彼女以外の何者でもない。今更、何をどうこう言うことは別にありませんが、ガーシュイン兄弟に関するブックレットが豆本になってしまい、虫眼鏡がないと読めないというのは残念。


3 その他

PHIL TALKS WITH QUILL/THE PHIL WOODS QUARTET WITH GENE QUILL(EPIC/SONY: ESCA 5043)
Players: Phil Woods(as), Gene Quill(as), Bob Corwin(p), Sony Dallas(b), Nick Stabulas(dr),
Tunes: Doxie I, A Night in Tunisia, Hymn for Kim, Dear Old Stockholm, Scrapple from the Apple, Doxie II,
このコンビはこれ一枚だけではありませんが、こちらのジャケットが好きなので。これを聴くと、ジャズ喫茶然としていた雰囲気から、一変しておしゃれなカフェになってしまった吉祥寺の「ファンキー」の2Fでこれがかかっていたことを思い出す。何故なら、そのあと買ったからです。テナーのコンビというのは何組かありますが、アルトのコンビというのはほとんど記憶にありません。この二人も、テナーのコンビがそうであるように、きわめてそのスタイルは似ています。音色もフレーズも似通っています。清々しいくらいにストレートに吹いてくれているので気持ちいい。

RETURN TO FOREVER/CHICK COREA(POLYDOR: POCJ-2001)
Players: Chick Corea(e-p), Joe Farrell(fl,ss), Flora Purim(vo,per), Stan Clarke(b), Airto Moreira(dr,per),
Tunes: Return to Forever, Crystal Silence, What Game Shall We Play Today, Sometime Ago - La Fiesta,
お馴染みのカモメのジャケットです。渡辺真知子さんのLPジャケットではありません。「カモメのジョナサン」の表紙でもありませんし、その映画のポスターでもありません。Chick Coreaの大ヒット・アルバムのジャケットです。さて、誤解を招いてはいけませんが、このアルバム、実にこの音の粗雑さが良い。緻密な音の構成によってではなく、荒削りな感じのする音の全体の雰囲気がこのアルバムを素晴らしいモノにしているのだと思います。もちろん計算されているのでしょうが、それが音の上でもぎちぎちにはめ込まれて録音されていたら、このアルバムの持つ魅力はなかったのじゃないかと思う。どの曲も良いですが、特にいつ終わるともしれない"La Fiesta"は本当に終わって欲しくない曲です。あまり他のジャズメンは演奏しないのが、残念。Claude Williamsonのがありますけど。

SONGS WE KNOW/FRED HERSCH + BILL FRISELL(NONESUCH: 7559-79468-2)
Players: Fred Hersch(p), Bill Frisell(g),
Tunes: It Might as well Be Spring, There Is No Greater Love, Someday My Prince Will Come, Softly as in a Morning Sunrise, Blue Monk, My One and Only Love, My Little Suede Shoes, Yesterdays, I Got Rhythm, Wave, What Is This Thing Called Love,
静謐な音の対話が二人の間で交わされています。タイトル通り、よく知られているスタンダードで、好きな曲ばかりが入っているのでジャケットの良さも手伝って買ってしまいましたというところでしょうか。Fred Herschは最近の若手ピアニストに曲が取り上げられたり、Brad Mehldauつながりで名前を目にする機会が多くなりました。ここでは特にピアニスティックな響きに重点を置いて演奏しているようですが、ふと頭をよぎったのはエヴァンスではなくJimmy Rowlesでした。ピアノとギターというとやはりエヴァンスとホールになるでしょうが、これもそれに匹敵するくらい、それ以上に良い出来かもしれません。ジャケットの雰囲気そのままの音が聞こえてきます。日本盤は出ていると思いますから、是非。

KOGUN/TOSHIKO AKIYOSHI - LEW TABACKIN BIG BAND (BMG: BVCJ-7375)
Players: Bobby Shew; John Madrid; Don Rader; Mike Price(tp), Charles Loper; Jim Sawyer; Britt Woodman(tb), Phil Teel(b-tb), Dick Spencer; Gary Foster(as,fl), Lew Tabackin; Tom Peterson(ts), Bill Perkins(bs), Gene Cherico(b), Peter Donald(dr), Toshiko Akiyoshi(p), Scott Elsworth(voice),
Tunes: Elergy, Memory, Kogun, American Ballad, Henpecked Old Man,
モノクロの秋吉さんの笑顔が素晴らしいジャケット。西海岸で結成したバンドのデビュー・アルバムです。「私、やるわよ。見ててね」っていう感じがこちら側に伝わる。いきなりバッピッシュなピアノの軽快なソロから、それまで聴いたことのないようなバンド・アンサンブルに始まる"Elergy"、ギンズバーグが詩を朗読しそうな"Memory"に続き、雅楽が飛び出す"Kogun"にはビックリするしかないが、秋吉さんはジャズの本場であるアメリカで自分のできるジャズの方向性を明確に宣言した作品としてとらえることができると思います。いつかNHKの番組でもう40年以上アメリカにいても「この国には私のいる場所はない」というようなことを彼女に言わせるアメリカってどういう国なんだろうと、ますますアメリカに違和感を抱いた覚えがあります。閑話休題。これ以降、おおよそこのメンバーでつぎつぎと作品を発表し、アメリカのスクール・バンドにも少なからず影響を及ぼしたことは歴史にとどめておかなければいけないだろう。

  今回はここまで。
  では、また次回。
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