updated '98 12/01
modified April 30, 2005

JAZZ REVIEWS (ジャズ・レビュー)12


 <今回のメニュー> 
   1 trumpet + tromboneを集めて
   2 CRISS CROSS Labelから
   3 Jazz reviews 13 へ

(曲名の赤字は推薦)




1 trumpet + tromboneを集めて

 まずは、 
CALIFORNIA CONNECTION/JAN LUNDGREN+PETER ASPLUND(FOUR LEAF RECORDS: FLC CD 148)
Players: Peter Asplund(tp), Jan Lundgren(p), Dave Carpenter(b), Paul Kreibitch(dr),
Tunes: Au Privave, Att Angora en Brygga, Swedish Pastry, What is This Thing Called Love, Sodermalm, I Hear a Rhapsody, How Deep Is the Ocean, Stockholm Sweetnin', Indian Summer, There Will Never be Another You, When It's Sleepy Time Down South, Cottontail,
トランペットの特集とか言いながら、今回もJan Lundgrenから始めてしまうのは気が退けるのですが、このPeter Asplundがいいんですよ。このReviewsの一番最初に紹介したことがありますが、その時は文字だけだったので、ようやくこのCDをちゃんと紹介する機会ができたというものです。トランペットというよりはラッパと言った方が適当かもしれないくらい、ラッパが鳴っているという表現がぴったりで、気持ちが良いくらいストレートに鳴らしています。ピアノ・レスのトリオあり、ピアノ・トリオのみあり、二人のデュオ、ピアノとベースのデュオありで飽きません。Jan Lundgrenに関しては、彼がピアノの鍵盤をどんな音の組み合わせで弾こうが許せるモードに最近なってしまっている。いずれの演奏もいい気持ちで聴けますが、特にスウェーデンの曲だと思われる"Att Angora en Brygga"と"Sodermalm"の二曲がなかなか良い曲で、デュオの後者をとりあえず推薦しておきます。


 次に、
STOCKHOLM SWEETENIN'/ROLF ERICSON(DRAGON: DRCD 256)
Players: Rolf Ericson(tp,flh), Nils Sandstrom(ts), Goran Lindberg(p), Sture Nordin(b), Mel Lewis(dr), Claes Croona(p),
Tunes: Bird Song, Just Squeeze Me, Evelyn, Broadway, Little Man You've Had a Busy Day, Stockholm Sweetenin', Nancy with the Laughing Face, Mel's Bells, In a Sentimental Mood, Without a Song, What Am I Here for ?, Thou Swell,
上からのスウェーデン関係でRolf Ericsonを。周知のように、70年前後にエリントン楽団に在籍したエリントニアンOBですけれども、最近出た'The Golden View:Bosse Warmell featuring Rolf Ericson'に聴かれるように、元来はハード・バッパーと言った方が良いかもしれず、その両方の側面を味わえるお徳用CD。アナログでは未収録の中間派的な演奏が入っています。ライナーにはパーカーと共演した写真も載っていて、おっと!。テナーのSandstromは言うまでもなく、知らないベースやピアノを聴いて、あらためて北欧系のミュージッシャンたちのレベルの高さには驚かされる。録音が良いからかなぁ。ジャズを演奏する状況は日本とそれ程違いはないと思いますが、やはり肉と米の違いでしょうか、などと言ったりしてはいけない。マクドナルドで育った最近の若手は互角でしょうけれども。


 さて、Tromboneをてんこ盛りで
STANDARDS/THE BRASS CONNECTION(THE JAZZ ALLIANCE: TJA-10014)
Players: Ian McDougall; Bob Livingston; Jerry Johnson; Doug "Doc" Hamilton(tb), John Capon(b-tb), Don Thompson(p,vib), Bruce Harvey(p), Lorne Lofsky(g), Dave Young(b), Jerry Fuller(dr), Brian Leonard(dr),
Tunes: All the Things You Are, Someday My Prince Will Come, My Funny Valentine, I Love You, Mood Indigo, My Shining Hour, My Foolish Heart, Night and Day,
Rob McConnellのBoss Brassからリーダーを除いたトロンボーン・セクションが抜け出てアルバムを制作したようなもの。前作(TJA-10002)に続く第二弾で、今回はタイトル通りスタンダードが並んでいる。内容的には二作とも変わらないにもかかわらずこちらを選択したのは、曲目とリズム隊のメンバーの違いで、こちらではDon Thompsonがバイブとピアノでソロを聴かせるといったことでしかありません。録音はBoss Brassと同じPhil Sheridanなので、音質も同じような印象を受けます。物凄くアレンジに凝っているということはありませんが、"Mood Indigo"を押さえ目のサンバ調で演奏しているのは、「なるほど」と、けっこう面白く聴きました。


 それから、ついでと言っては何ですが
BOBBY KNIGHT'S GREAT AMERICAN TROMBONE CO.(JAZZ MARK: JM116)
Players: Bobby Knight; Carl Fontana; Frank Rosolino; Charlie Loper; Lew McCreary; Phil Teele(tb), Lou Levy(p), Chuck Berghofer(b), Frank Capp(dr),
Tunes: Rebel Rouser, Li'l Bit, I Got Rhythm, When I Fall in Love, Rock Bottom, Stardust, Strike up the Band, Here's That Rainy Day, Recuerdos, Lover Man, Star Wars,
上記と同じようなトロンボーン・セッションのアメリカ、ウエスト・コースト版。録音は1978年4月の'DONTE'S'でのライブ。おもしろいのは"Star Wars"が選曲されていること。この頃でした、映画が公開されたのは。実はトロンボーン・セッションのスウェーデン版を取り上げようかと思ったのですが、この"Star Wars"故にこっちを優先させてしまった。トロンボニストは何人もいますが、ソロをとるのはほとんどRosolinoかFontanaです。"Lover Man"と"Stardust"ではそれぞれがフィーチュアされています。どちらかというとゆったりしたFontana、するどいRosolinoと持ち味を聴くことができる点では、まぁお得なのではないかと思う次第です。


 さらに
HELEN MERRILL(NIPPON PHONOGRAM: EJD-3001)
Players: Helen Merrill(vo), Clifford Brown(tp), Donny Banks(bs,fl), Jimmy Jones(p), Barry Galbraith(g), Osie Johnson(dr), Bob Donaldson(dr), Milt Hinton(b), Oscar Pettiford(b,cello),
Tunes: Don't Explain, You'd Be so Nice to Come Home to, What's New, Falling in Love with Love, Yesterdays, Born to Be Blue, 'S Wonderful,
もちろんClifford Brownなのですが、反則のような気がするにもかかわらず、Clifford Brownの良さはその歌心溢れるアドリブ・ソロにあり、歌伴ではその真骨頂が発揮されると思われるところからこれを出しておくことにします。だったらSarah VaughanでもDinah Washingtonでもいいじゃないかとなるわけですが、全体の雰囲気はこれが一番だし、で選んでみました。定評あるアルバムなので今更何も言うことはあるわけないのですが、ちょっと一言だけ。彼に関してはどのソロも傾聴に値するもので、諳んじられる点がやはり凄いのですが、個人的には"'S Wonderful"のソロが大好きで、抑制の効いた、突き抜けそうで突き抜けない彼のトランペットを聴くためにこれを持っていると言ってもいいくらい。それと相変わらずOsie Johnsonのブラシが心地よい。それに、ん〜誉めはじめるとキリがないからこのへんで。


 終わりに
SOMETHING LIKE THIS/KEIJI MATSUSHIMA(ALFA JAZZ: ALCB-3052)
Players: Keiji Matsushima(tp), Don Braden(ts), Rob Bargad(p), Ira Coleman(b), Billy Drummond(dr),
Tunes: Bye Bye Blackbird, Without a Song, Rakin' & Scrapin', I'll Keep on Loving You, Something Like This, K.G.B.〜Another Broadway, Alone Together, Morgan the Pirate, C.I.A., P.S. I Love You,
日本から一人と考えて、やんちゃな元気さを持っている松島啓之を。その中でもワン・ホーンにしようかと思ったのですが、録音のレンジのでかい(Rudy Van Gelderだ)デビュー盤を挙げてみました。原朋直、五十嵐一生、松島啓之で「ペットの三羽烏」と呼ばれているらしい。文字通り、一番「カァカァ」と鳴いているのはこの人ではないでしょうか。後の二人にはカラスの雑食性みたいなものはないかもしれず、王道をいくという感じだというと反対されるかもしれない。音が荒いと言えばそうだし、音が不安定だと言えばそうだしなのですが、そこのところがこの人の魅力ではないかと思っています。音が元気なのが何よりで、一発鳴らしてやろうという姿勢がいいわけです。そこのところはRoy Hargroveと通じるところがあるかもしれません。ポジション的には「第三の男」で、このままず〜と行きましょう。



2 CRISS CROSS Labelから
  
  現代のBlue Note, Prestige, Riversideと呼んで過言?でないオランダのレーベル。
  1980年代から細々とモダン・ジャズを録音し始めて苦節10数年、メジャーへと変貌を
  とげましたが、その目指すところに変化なし。頑固一徹。アナログ初期の頃のはあまり
  持ち合わせがありませんけれども、まだ取り上げたことのないCDを中心に以下。

DOWNTOWN SOUNDS/GRANT STEWART 5 (CRISS 1085 CD)
Players: Grant Stewart(ts), Joe Magnarelli(tp), Brad Mehldau(p), Peter Washington(b), Kenny Washington(dr),
Tunes: Audobahn, Smada, Daydream, From This Moment on, A Bee Has Two Brains, Sweet and Lovely, Intimacy of the Blues, Koko,
Grant Stewart若干21才のデビュー盤。CRISS CROSSにはEric Alexanderとほぼ同時期のデビューとなる。メンバーに恵まれたデビュー盤で、ピアノがBrad Mehldauなんだからえらいことです。結構堂々とした腰の据わったテナーを聴かせますが、大向こうからは若さが足りないとか覇気がないとか言われそうな気がします。それはそれ、意に介せず進むべき道を進んでいただきたいと思う今日この頃です。個人的にはEric Alexander、John McKenna、Grant Stewartを「テナー三羽烏」呼んでいる。どの曲もどの演奏もお楽しみいただけると存じます。え〜、Brad Mehldauはまっとうな?でも彼らしいピアノを聴かせます。これがお気に召したファンには音に太さを増した同レーベルの以下も是非。
 MORE URBAN TONES/GRANT STEWART (CRISS 1124 CD)

2
WALTZ FOR AN URBANITE/MIKE LeDONNE (CRISS 1111 CD)
Players: Mike LeDonne(p), Steve Nelson(vib), Peter Bernstein(g), Peter Washington(b), Kenny Washington(dr),
Tunes: Scratchin', Re-Rev, F.S.R., Walkin' with B., Waltz for an Urbanite, Tranquility, Don't Blame Me, Monsoon, Pr'A Voce,
CRISS CROSSでのMike LeDonne名義では5枚目。ここのリズム隊も二人のWashingtonで、これにギターのPeter Bernsteinが加わり、Milt Jacksonの代わりにSteve Nelsonが入ったような面白い組み合わせ。だからと言うわけでもないだろうけど、ちょっとしたファンキーさ溢れるアルバムに仕上がっている。Mike LeDonneはMilt Jacksonとの仕事もあり、ベースのWashingtonはRay Brownの様に聞こえ、ドラムのWashingtonはMickey Rokerのように聞こえなくもない。そしたらMike LeDonneはMonty Alexanderか?もちろん、全編そうだというわけではありません。こうした雰囲気の中で、まるで水を得たようにPeter Bernsteinは良好なギターを聴かせる("Waltz for an Urbanite"ではウエスになるけど)。お薦めは困ったなぁ・・・

3
HOW IT IS/DAVID HAZELTINE (CRISS 1142)
Players: David Hazeltine(p), Jim Rotondi(tp,flh), Steve Wilson(as), Peter Washington(b), Joe Farnsworth(dr),
Tunes: How It Is, Reasons, Pannonica, Nuit Noire, Little Angel, Where Are You ?, Doxy,
CRISS CROSSでのDavid Hazeltine名義としては最初のアルバム。実はこの人と同い年なので贔屓にしているのですが、ようやくこのレーベルでもリーダー作が出ました。SharpNineレーベルでの'One for All'のグループからテナーとトロンボーンが抜けて、アルトを加えたメンバー。オリジナルは三曲で、面白いのは二曲目の"Reasons"で、御存知アース、ウインド&ファイヤーのヒット曲。"How It Is"は50年代あたりにどこかで聴いたことがあるような気にさせるオリジナル。ハード・バップ全盛時に連れていってくれます。あと、スロー・バラードの"Nuit Noire"と"Angel Eyes"を下敷きにした"Little Angel"がオリジナル。推薦は後者のオリジナルにしようかと考えたけど、Jim Rotondiをフューチュアしたカルテット演奏の上記の曲にしておきます(Steve Wilsonがダメなわけではないです)。全編お聴き下さい。また'One for All'も是非。

4
ASK ME NOW/JON GORDON (CRISS 1099 CD)
Players: Jon Gordon(as,ss), Tim Hagans(tp), Bill Charlap(p), Larry Grenadier(b), Billy Drummond(dr)
Tunes: Gaslight, What Is This Thing Called Love, Gush, Chick's Tune, Joe Said So, Giant Steps, Ask Me Now,
今回は同レーベル・デビューとかのアルバムが続きますが、これもそう。二管のクインテット編成で、上記の三枚よりはさらにモダーンな演奏。ライナーに拠ればJoe LovanoのWilliam Paterson College時代のある意味弟子のようで、ということはEric AlexanderなどやJim Rotondiとは同窓生ということになる。そのライナー・ノートはそのJoe Lovanoが書いています。アルトの音色はどちらかと言うと明るい方でしょうけれど、キャノンボールのような突き抜けるようにカラッとしたアルトの一歩手前にいるでしょうか?(そこまでいく必要もないと思いながらも、"Ask Me Now"はとっても近い)Jackie McLeanの方が近いかな。Bill Charlapの堅固に弾力あるピアノ、ズンズンと来るLarry Grenadierのベース、多彩なドラミングを聴かせるBilly Drummondによるリズム隊もJon Gordonを支えている。

5
INNER TRUST/DAVID KIKOSKI (CRISS 1148 CD)
Players: David Kikoski(p), Ed Howard(b), Leon Parker(dr),
Tunes: Some Other Blues, Softly as in a Morning Sunrise, Mirical, Inner Trust, You Don't Know What Love Is, Two Lonely People, Once Upon a Summertime, We See, Old Folks, Winnie's Garden,
一枚だけピアノ・トリオを。これを取り上げた一番の理由はドラムのLeon Parkerの故にです。何が良いと言って、そのシンバル・ワークと新鮮なドラミング。パチーン、カチーンとそのシンバルが耳に反響しまくります。Ed Howardのベース音も図太いの一言。このリズムに乗って、硬いタッチの音がピアノの鍵盤からスムースに聞こえてきます。日常的なトリオではないにもかかわらず、かなりのインティメイトさで、Brad Mehldauやキースのトリオなどとはまた別のピアノ・トリオの魅力を聴かせる。この三人はトリオとして活動すればいいんじゃないかなぁ、このピアノ・トリオ・スタイルを維持していくのは大変だと思うけれど。Parkerのブラシとスティック両方が聴ける元曲"Sweet Georgia Brown"の"Winnie's Garden"にしようと思いましたが、推薦はバラードに。

6
WHAT AM I HERE FOR ?/HAROLD ASHBY (CRISS 1054 CD)
Players: Harold Ashby(ts), Mulgrew Miller(p), Rufus Reid(b), Ben Riley(dr),
Tunes: I Can't Get Started, What Am I Here for ?, Mood Indigo, Frankie and Johnny, Once in a While, Poinciana, C Jam Blues, Prelude to a Kiss, September in the Rain, Perdido,
最後はCRISS CROSSのリストの中で異色というか、どうしたわけでこれが?というアルバムを。おかしいのはMulgrew Millerが何時になく神妙で、「へぇ〜」っと感心し、このピアニストを新発見したような気になった。キング・オブ・サイドマンのTommy Flanaganのようです。Harold Ashbyその人はいつもと変わりなく、Ben Webster直系のズゥーズゥー・テナーを聴くことができます。1970年前後のエリントンに在籍していたエリントニアンですから、エリントン楽団の曲が半分を占めている中、"Poinciana"が目新しく、それでもGatoさんのような激しく情熱的な演奏になるわけもなく、Harold Ashbyの"Poinciana"になっているのが素晴らしい。それに付き合うMulgrew Millerがこれまた偉い。録音時Harold Ashbyは65才でした。
 
  今回はここまで。
  では、また次回。
  次回は、My Favorite Cover Photo



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