updated 2014 03/01

JAZZ COMMENT 80


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   1 また随分と時が経ってしまった・・・
   2 Dから始まる・・・


1 また随分と時が経ってしまった・・・
A LITTLE SIMPLE MAGIC / DON THOMPSON & PAT LA BARBERA (FIVE STRAS RECORDS: FSY-515) 2013
Players: Don Thopmson(p), Pat La Barbera(ts),
Tunes: How Do You Say Auf Wiedersehen, Grandfather's Waltz, Violets For Your Furs, Stranger In Paradise, If I'm Lucky, The Night Has A Thousand Eyes, I Guess I'll Have To Change My Plan, Greensleeves, I Didn't Know What Time It Was*, Spring Can Really Hang You Up The Most, That's All, April Fool*, (*=piano solo)
前回のフォーマットからベースとドラムが抜けて、ピアノとテナーのデュオで1枚(2曲*でピアノ・ソロ)。先の”~New Oreans””~Debby”の兼ね合いが良かったからかな?デュオということもあるのでしょうけれど、馴染みのあるものないもの含めて、唄もの中心、それも渋~い唄もの中心の選曲で、録音の良さも相俟って落ち着いた雰囲気が全体に横溢している。そんなことを思っていると、40年くらい前になるのだろうか、Tony BennettBill Evansのデュオによる素晴らしいアルバムがあったことをふと思い出した。並んでいる曲をよくよく見れば、そのアルバムではないにしろ、Tony Bennettの歌唱によって知られた曲があったり、SinatraEllaによって知られる曲もある。そういえば、Bill EvansStan Getzのアルバムがあったなぁとつらつら思い出してはみたけれど、あれはデュオではなかったですね、失礼。でも、テナー奏者によって知られる曲も、S. GetzGrandfather’s WaltzJ. ColtraneViolets For Your FursZ. SimsIf I’m Luckyなどが入っている。ところで、何が良いって、Don Thompsonのピアノが美しい。先のGrandfather’s Waltzなど、その奇跡のような美音?フレーズに聴き惚れてしまうと、Getz は対戦する相手を間違えていたのかもしれないと思うほど。もちろん、ヴォーカル役たるPat La Barberaのテナー歌唱も見事に大役を果たしている。と書いてしまって、アップロードがようやくというこの時期になり、同レーベルからの次作が発売間際となってしまったので、一緒にあげておきたいと思います。FSY‐514のメンバーによる、ライブ録音で、収録曲5曲のミニアルバム。一言だけコメントをするとすれば、それなりの年齢にもかかわらず、「タフだなぁ~」ということ。ビンビンはじき、ドンドン叩き、キラキラ弾き、バリバリ吹く、当たり前のようなジャズがある。
LIVE AT MY HOUSE "THERE'S NO BUSINESS LIKE SHOW BUSINESS" / THE QUARTET (FIVE STRAS RECORDS: FSY-516) 2014
Players: Don Thopmson(p), Pat La Barbera(ts), Tom Warrington(b), Joe La Barbera(dr),
Tunes: Tin Tin Deo, Twilight Time, Charade, A Time For Love, There's No Business Like Show Business,

SWINGIN' THE COUNT / DEDRIC CAILLAUD TRIO FEATURING ALVIN QUEEN (SWING ALLEY: sa022) 2013
Players: Cedric Caillaud(b), Patrick Cabon(p), Alvin Queen(dr), China Moses(vo)*,
Tunes: April In Paris, Flight of The Foo Birds, Splanky, Ain't That's Right, Li'l Darlin'*, Blues In Hoss Flat, For Lena And Lennie, Shinny Stockings, Meet BB, Rate Race, Easy Does It, Together Again, ,
まあジャケットの見た目通りでベイシー・トリビュートなわけですが、であれば、キャロル・キングの『つづれおり』の例もあることだし、これをジャケットにしたアルバムをまるごとカバーしても面白かったのではないかとふと思ったりもする。それだけでは、いわゆる尺が足りないというやつでしょうか。雰囲気としては、バイブラフォンのDany Dorizによる作品の方がベイシー感が溢れていたように思えるのは、ベースがEddie Jones、ドラムが本作のお勧めメッセージを書いているButch Milesだったことがあるかもしれないが、こちらがレイ・ブラウン・トリオ(ピアノはLarry Fullerか?)のトリビュートっぽいからだろうか(レイ・ブラウンはもっと控えめでしょうけど)。Cedric Caillaudはギターのグリーンの分もリズムを担っているのだと主張しているのか。何やかや言っているとはいえ、Big Bandのベイシー・トリビュートではなくコンボによるものとしては、件のDany Dorizによるものなどと同様、珍しい部類にはいるだろうから大事にしたい。

THIS TIME / JUSSI LEHTONEN (PROPHONE: PCD 138) 2013
Players: Jussi Lehtonen(dr), Jesse Van Ruller(g), Joonathan Rautio(ts), Mikko Heleva(org),
Tunes: Bouncing With Julius, Circles, Spring Is Here, Chillin', It Must As Well Be Spring, Stucko, Blues For Alfred, Minor League,
リーダーには失礼ながら、何か久しぶりにちょっとだけバリバリのJesse Van Rullerが聴けたような気がする。ただ、最近は、僕の中ではやや逸脱気味の路線方向へ走っていってしまったこともあって、こうした彼を聴く機会を与えてくれたリーダーには感謝する次第である。1曲目から疾走するグルーブ感が、これから聴こうというテンションを上げてくれる。2曲目のJesse Van Rullerのオリジナルは、1970年代後半から80年代初めのクロスオーバー時代に聴かれたような、ワン・ホーンをフィーチャーしたタイトなリズム感を持った、僕のような世代には何か懐かしいような演奏。これとRichard Rogersの「春」が題名についた2曲以外、あとはリーダーJussi Lehtonenのオリジナルですが、オリジナルの路線に合わせているのだと思うけれども、そのスタンダードの扱いはピンとこなくて、あまり面白いとは思わなかった。今のところ専ら1曲目と7曲目に関心が向いています。

ESSENTILA ELEMENTS / BEN PATERSON (MAXJAZZ: MXJ 223) 2013
Players: Ben Paterson(p), Joshua Ramos(b), Jon Deitemyer(dr),
Tunes: Golden Lady, Here There And Everywhere, Back To TRack, Around The Block, I Can't Help It, Lucky Southern, I Should Care, The Good Stuff, St. Mark's Place, Mor, I've Never Been In Love Before, Hard Times, You're My Everything,

デビュー作で若干感じた線の細さは微塵もなく、ピーターソンに捧げられた2作目を経て、ピアノが軽やかでタッチがハッキリしていることから耳に馴染みやすいという特徴には全く変わりが無く、ピアノトリオとしての良質なジャズを本作でも聴くことができる。バラードにおいては音符を紡ぐような美しいピアノの展開を、テンポある曲ではカラカラ・コロコロとしたスインギーなオスカー的タッチを、ブルース曲では粘りの効いたタッチと節回しを聴かせ、自身のオリジナルが5曲を含むヴァリエーションに富んだ選曲ともあいまって、曲数があるにも拘わらず飽きが来ない。スタイルとしてはオーソドックスでありながら、おやっと思うのはKeith Jarett"Kucky Southern"で、1970年代のクロスーバー時代を彷彿とさせる曲調がBen Patersonのピアノに合っていて、実に良い曲を掘り出してきたと感心する次第。S・ワンダーの曲も前作に続き入っている。本人のサイトで、演奏が視聴できる(YouTubeでも)ので、是非。この立ち位置から離れてほしくない、長く付き合いたいピアニスト。


THE SOUL OF MY ALTO / IAN HENDRICKSON-SMITH (CELLARLIVE: CL072512) 2012
Players: Ian Hendrickson-Smith(as), Adam Scone(org), Charles Ruggiero(dr),
Tunes: The End of A Love Affair, Park Avenue Petite, Wee Small Hours Of The Morning, My Silent Love, Tu Meu Delirio, I Want To Talk About You, This Love Of Mine, Butterbean,
とりあえず、アルト1本で通してくれたのが何より嬉しい。Ian Hendrickson-Smith的「Ballads」だと伺いますが、それにしても夜が深すぎるようなテンポ、トーンと音階で、ねっとりとまとわりついてくるかの如き1枚。そんな印象を強く与えることになっているのは、オルガンという楽器が夜の静寂に確実に忍び寄ってくるからに他ならない。NYCはブロンクスあたりのFM局で一晩中かかっていそうな、エンドレスの倦怠(良い意味です)をもよおす演奏が並ぶ。どこをどう切っても、暗い夜道、薄暗い外灯が映す舗道、マンホールから立ち上る蒸気、ヘッドライトがビル壁に映し出す人影、反響する靴音、「ハードボイルドだど!」いったフィルムノワール感満載である。ただ、あまりにも聴いた印象の均一感とコンセプト感がありすぎるのも困りもので、どれか1つ飛び抜けた演奏がないとも言えるのが難点。どういう意味かわからない”Tu Meu Delirio”が唯一、ほんのわずか微妙にリズム感があるのが救いといえないような救いか?こちらの欲を言うと、彼の持つファンキーなグルーブ感がちょっとでもあれば良かったと、バラード集にあり得ないような注文をしてみたくなる。でも、良いんですよ。

PLAYS BURT BACHARACH / IVAN PADUART (SEPTEMBER: SEPT 5169) 2012
Players: Ivan Paduart(p), Bob Malach(ts), Jay Anderson(b), Clarance Penn(dr),
Tunes: This Guy's In Love With You, Wives And Lovers, Alfie, God Give Me Strength, The Look Of Love, Close To You, A House Is Not A Home,
ここのところ、Henry ManciniB.Bacharachといった1960年代から70年代に活躍していた作曲家たちへの注目がこれまで以上に集まっているように思える。もちろん、こうしたトリビュート集的なアルバムが制作されるようになる以前においても、彼らの曲自体は頻繁に取り上げられ演奏されてきたわけだけれども。僕は音楽理のことを全くわからないけれど、バカラックの曲はヒット曲として聴くとけっこうポップな曲だとの印象があるはずなのに、こうしたジャズ・アレンジで聴くとけっこう複雑な曲調だったりする。でも不思議なメロディとハーモニーに魅了されるのである。ここで取り上げられている曲も、お馴染みの曲から、実に珍しい(おそらく初めて聴く)エルヴィス・コステロとの共作までヴァラエティに富み、タッチの切れがあるピアノ、ややハスキーな朗々としたテナー(これがまた良いアクセントになっていると思う)、やんわりと合いの手を入れつつスケール感あるドラムに支えられて、かなり出来の良いバカラック集作品に仕上がっている。


2 Dから始まる・・・

アルファベット一巡して、また同じような回転も芸がないので、Aから始まる楽曲で「これが好きです」といったものを順番に・・・

D-1
PERSEVERE / FRANK MANTOOTH (SEA BREEZE: SB-2062) 1995
Players: Frank Mantooth(key), Matt Harris(key), Steve Erquiaga(g), Bob Bowman(b), Curf Bley(el-b), Steve Houghton(dr), Howie Smith(as,ss), Bill Sears(as,fl), Ed Petersen(ts,fl), Jerry DiMuzio(bs,fl,cl), Pete Christlieb(ts), Bobby Shew(tp), Danny Barber(tp), Art Davis(tp), Mike Steinel(tp), Clark Terry(tp,flh,vo), Scott Bentall(tb), Steve Wiest(tb), Tom Garling(tb), Mark Bettcher(tb), Mike Young(b-tb),
Tunes: White Pontiac, Mean To Me, Slow Dancin’, People, Fly Me To The Moon, Darn That Dream, Soon It’s Gonna Rain, Persevere,
[Darn That Dream]:
Darn That DreamJimmy Van Heusenの名曲。ロジャースやガーシュインなどに混じって、ミュージカルや映画などに、”Here’s That Rainy Day””Polka Dots And Moonbeams””Nancy”等々、この人も数多くの名曲を提供していた。通常ゆったりとしたテンポで演奏されるバラード曲ですが、ここではやや毛色の変わった、ボッサ・テンポで、しかもビッグバンドで。バンド・マスターのFrank Mantoothはアレンジャーとして、シカゴを拠点に活躍し、多くのビッグバンドにアレンジを提供、このアルバムの他にも、同じSEA BREEZEから少なくとも3枚は出ているので、それ相応の評価は受けていたものと推察される。彼の作曲でもある” Slow Dancin’”など、だからどうしたということもないのですが、1980年代初めのクロスオーバー・ビッグ・バンド・サウンドとして聴きやすい。ただ、” Fly Me To The Moon”” Persevere”などはどうなんだろう?客演したC・テリーが” Mean To Me”で唄っちゃってるのは断れなかったのか?ただ、Darn That Dream4thトランペットのMike Steinelのソロも良い具合で、この中では一番良いと思う.。
D-2
FEELIN' GOOD /YUJI OHNO & LUPINTIC FIVE WITH MIKI IMAI (VAP: VPCG-84892) 2009
Players: Yuji Ohno(key), Toshihito Eto(dr), Niku-o(cong), Tawarayama Masayuki(b), Keiji Matsushima(tp), Hisatsugu Suzuki(sax), Satoshi Izumi(g), Miki Imai(vo)*,
Tunes: What is This Thing Called Love, Del Sasser, Feel Like Making Love, Moon River*, Love Squall*, Tennessee Waltz, Chiisana Tabi (Feelin’ Good Ver), Summer Samba, Hitomi Ga Hohoemu Kara*,
[Del Sasser]:
もともとはアダレィ兄弟に世話になっていた頃に、ベーシストSam Jonesが書いた、何とも人を惹き付けてやまない、哀愁感漂うメロディラインをそなえた曲。歌詞がついて”If You Never Fall In Love With Me”というタイトルになっていることはあまり知られていないかもしれない。エラやホリデイには合わないような気がする一方で、サラやカーメンには合いそうである。このCDの中で、ほぼ唯一の純然たる4ビートで演奏されているのが今回の”Del Sasser”で、曲の流れの中では異彩を放っている。唐突に何でこの曲がここに?と不思議に思えことしきり。このCD3曲で今井美樹がヴォーカルで入っているが、結構作りあげられたヴォイスで唄っているので、聴いただけでは分かり難いのではないか。” Love Squall”など、うっかりしているとオリジナルのヴォーカルと聞き間違える可能性大。最後の今井美樹の「瞳がほほえむから」はジャズ・アレンジ・ヴァージョンとして愉しめる。

D-3
ON THE SUNNY SIDE / BOGDAN HOLOWNIA (GOWI: CDG 44) 1997
Players: Bogdan Hołownia(p), Dave Clark(b), Skip Hadden(dr), ,
Tunes: Summertime, On The Sunny Side Of The Street, Ornithology, Never Let Me Go, Secret Love, Mercy Mercy Mercy, Invitation, Rosemary’s Baby, Dolphin Dance, On Broadway,
[Dolphin Dance]:
今になっては名曲揃いとなったアルバム、ハービー・ハンコック『処女航海』の中の1曲として知られる。ゆったりとしたメロディに沿うように、ミディアム・テンポもしくはそれ以下で演奏されることが多く、ここでもその路線で演奏されている。おそらく、微妙にズレながらも、同じように繰り返されるメロディの持つ本来の美しさが際立つからなのだろう。この曲はピアノ・トリオやギターによる、こうした演奏が多いと思うが、所持CDの中でギターのHoward Robertsはこれに当てはまらず、またビッグバンド演奏もあったりはする。リーダーのBogdan Hołowniaはポーランドのピアニストなので、あまり馴染みのないところもあるかもしれませんが、本CDを手に取るあるいは聴くような機会があるとすれば、迷わず購入もしくはそれを逃すことのないようにお勧めする。また、L.A.Trioとしても活躍しているので、そちらの演奏もどうぞ。



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