first updated '2011 Feb. 1

JAZZ COMMENT ? 75


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      1 ここしばらく聴いているもの

      2 整理しようと思ったのだけれど・・・ U、V篇


1 ここしばらく聴いているもの

BASSIN' / KUNIMITSU INABA (LITTLE PUMPKIN: ) 2011

Players: Kunimitsu Inaba(b), Hideo Sekine(dr), Sadanori Nakamure(g), Kousuke Mine(sax), Tsuyoshi Yamamoto(p), Keiko Iwasaki(p),

Tunes: You're My Everything, You Stepped out of a Dream, Hi-Fly, Well You Needn't, You Go to My Head, Conversation#2, A Ghost of a Chance, Este Seu Olhar, Sweet Sensation, In the Wee Small Hours of the Morning, Alone Together,

日本ジャズベース界の重鎮、稲葉国光初リーダー・アルバム。鈴木勲さんは出ていたTBMあたりであってもよさそうだった気がしますが、まあ、ベースのリーダー・アルバム自体そんなにあるモノではないにしても、ようやくというか、実に感慨深い。弦を弾く、たまさか聞こえる、大きく聞こえたりちょこっと聞こえたりする「ギィ」というのか、「あれ、稲葉さんかな」とコチラが思わせるそんなベース音を響かせながら、ここでも縁の下からずっしりと支えている。バンバン前に出てくるわけでなく、かといってず~っと後ろにひかえているわけでもない、通常のバンド演奏の範囲内でベースが存在しています。"Conversation#2"は察せられるように、中牟礼さんとのデュオ。"Este Seu Olhar"から"In the Wee Small Hours of the Morning"はピアノ・トリオで、最後は何と稲葉さんのベース・ソロで"Alone Together"。取り上げられている曲は大スタンダード大会とまではいかず、ちょっとばかし地味な三番手あたりにくる曲が多いかもしれません。ただ意外な選曲もあって、"Hi-Fly"などは「へぇ~」と驚かされたりしました。稲葉さんが二人ならんで歩いているかのようなジャケットにあるように、稲葉さんは今日も大切なベースを抱えて、あっちでボンボン、こっちでブンブンいわせているのでしょう。

QUARTET + ONE / FABIEN MARY (ELABETH: ELA621060) 2009

Players: Fabien Mary(tp), Frank Basile(bs), Hugo Lippi(g), Fabien Marcoz(b), Mourad Benhammou(dr),

Tunes: It's about Time, Round Trip, Little Stars, Turbo, Sweet and Lovely, Change Partners, The Things We Did Last Summer, Apothegm, Sleeves, Is That So?, Where Is the Bar?,

Review57にも書いていた通り、ここでも気持ちが良いくらいハードバップが展開されています。彼のリズムセクションは固定されていて、ギター、ベース、ドラム、メンバーはCHESS、その次のFOUR AND FOUR(これがまた素晴らしい)、そしてこのCDを通して変化はありません(ELABETHの1枚目はベースは異なりますが)。ペットとバリトンという組み合わせはチェット・ベイカーとジェリー・マリガンの例ぐらいしか思い出しませんが、珍しいとはいえ、ちょっとまずいかなと思いはしました。というのは、基本的にバリトンは苦手で、通常は避けて通っているからで、ただELABETHの1枚目もそうだったし、そこはやはりFabien Maryということもあり、今回も目をつぶったわけです。ただ、これまでのCDで共演したバリトンとはまた違う人で、Fabien Maryはバリトンが好きなのかな。自分に合ったバリトン奏者を探し続けるつもりなのだろうか。自作のオリジナル、ジャズメンのオリジナルの間にスタンダード曲を挟むスタイルで、1曲の演奏時間を割とゆったりとっています。何が良いってこのバンドのドラムが良いんですよ。スティックで煽っていたかと思うと、次の瞬間、さっとブラシに持ち替えていたり、まあ当たり前といえばそうなんですが、わかりやすいことが一番で、とにかくその爽快感が気持ちいい。"The Things We Did Last Summer"はペットとギターのデュオです。


DETOUR AHEAD / AREK SKOLIK SPECIAL TRIO (MULTIKULTI PROJECT: MPJ001) 2010

Players: Arek Skolik(dr), Kuba Płużek(p), Max Mucha(b),
Tunes: Nobody else but Me, Struś, Detour Ahead, Five Brothers, 9:20, September Second, Coda,

今更ながら"Detour Ahead"の哀愁を帯びたメロディラインに平伏す。Bill EvansVillage Vanguardのライブでこの曲を弾いたのは正鵠を得ていた。あの頃はあまりにも彼のピアノに合いすぎていた故に、彼のペンになる曲だとばかり思い込んでいた気がする。その後すぐに「えっ、Herb Ellisの曲?」と事実を知ることになるのですが。さて、ドラムがリーダーの、ポーランドのピアノ・トリオです。しかし、まるでドラム・ジミー竹内、ベース・木村新弥、ピアノ・世良譲という純粋日本ピアノ・トリオのような、ほんわかした演奏のように聞こえてくる。何かポーランドというとある種の固定観念みたいなものがあって、重厚でやや尖ったジャズのイメージが僕の中でひとり歩きしていたような気がしますが、その手のモノばかりだけではないことが当たり前のように判明して嬉しかったりします。ただ、最後の2曲は本来のイメージが蘇ってきます。ピアノのKuba Płużekは華麗で美しいメロディラインの単音を積み重ねていくのではなく、どちらかといえばブロック・コード積み重ねというかブロック・コード崩しタイプでしょうか。最後の"Coda"は「コーダ」になっているとは思えないのですが、むしろ最初にチラッと入れた方が面白かったのではないか。


THINK TANK / WILL CAMPBELL (CELLAR LIVE: CL061609) 2009

Players: Will Campbell(as), Scott Harrell(tp), Stefan Karlsson(p), John Brown(b), Rick Dior(dr),

Tunes: Think Tank, Eleven Years, Olive Street, Both of Them, On a Clear Day, 7E, All Hail,

Cellar Liveの数あるCDの中ではオーソドックスなハードバップになると思います。リーダーはノースカロライナ大学の教員らしいですが、大学の教員という場合大きく2つのタイプに分けられるような気がします。従来の伝統をぶち破るような破天荒で型破りな天才タイプ、もう一方で従来の歴史に根ざしたオーソドックスで何の心配もいらないホッとするような秀才タイプで、もちろん?このWill Campbellのアルトは後者に違いない。いかにもアルトらしい音色と捻くれていないスムーズなフレージング、クリアなトーン、聴いていて安心感を与える、これはやはり大切なことです。で、久しぶりに聴くStefan Karlssonがまた大学の先生なわけです、ノーステキサス大学の。ですから、このCDは教育的目的を持っているかもしれない、そうした役割を担っているかもしれないCDということになる?ベースのソロのバックでは「ピアノはこう弾きなさい」とか、ソロのブリッジの部分ではアルトは「こう吹きなさい」とか・・・まあ、そんなことはない。堅苦しいしゃちほこ張った演奏ではもちろんなく、とても楽しめる内容であると思います。"7E"はアルトによるカルテット演奏です。


NOMMO / FERIT ODMAN (EQUINOX: ) 2010

Players: Ferit Odman(dr), Brian Lynch(tp), Vincent Herring(as), Burak Bedikyan(p), Peter Washington(b),

Tunes: The Eternal Triangle, Nommo(one), Rob Roy, To Wisdom the Prize, Tadd's Delight, Nommo(two), Mr. A. T., An Oscar for Treadwell, Good Times,

こちらも実に楽しいハードバップ・セッション。ただ途中にリンクの意味なのか、タイトル曲となるショートトラックが挟まれていて、コンセプト感を出そうとしている?リーダーはドラムのFerit Odmanでトルコ出身らしい。どうりでシンバルの音が堅くてしゃっきりしている、などというのは戯れ言で、シンバルのレガートを刻む音が心地よく、ロールを多用気味のスティックさばきも軽快です。ブラシもシャカシャカと素晴らしく、そこでもロール気味?なのが面白いです。ピアノのBurak Bedikyanもトルコ在住のアルメニア人のようです。こちらはそんなエスニックな背景がピアノに反映しているようには聞こえません。フロントの二人はエンジン全開で走っています。輝かしくペットを鳴らすBrian Lynch、フレーズの豊かさで聴かせるVincent Herring、両者とも実に良い仕事をしていると思います。いかにもといった"The Eternal Triangle"でご機嫌を伺って、有名な割にはそれほど取り上げられているとは思われない"Tadd's Delight"を当たり前のように軽くキックして、最後はピアノ・トリオです。これがまた短いんですが、何か音が広がるというかスケール感があって、このトリオをもう少し聴いてみたいと思わせます。


LIVE AT THE BIRD'S EYE JAZZ CLUB / MATTHIAS SPILLMANN (PHONTASTIC: ) 2007

Players: Matthias Spillmann(tp,flh), Robert Lakatos(p), Dre Pallemarts(dr), Fabien Gisler(b),

Tunes: I'll Be Seeing You, Lotus Blossom, Allemande, Minorities, Introduction, Lonely Child, Kinderlied #1,

スイスのジャズクラブでのライブ録音です。メインのMatthias Spillmannは初聴きになります。なので、メンバーではピアノのRobert Lakatosのみが馴染みのある名前ということになるでしょうか。上記で聴いたトランペットとはかなりタイプが違って、Matthias Spillmannは上手いのか下手なのか(下手ということはないでしょうけれども)今ひとつ掴みきれない個性の持ち主?、というかそれが持ち味なのか。何かが今ひとつ足りないアート・ファーマーみたいというと言い過ぎかもしれませんが、その刹那い音色とフレーズは印象には刻まれます。最初の2曲のような唄ものがもう少し入っていたら良かったかなという気がするのはそういうことなのかもしれません。特に2曲目、ピアノとデュオでじっくり聴かせる"Lotus Blossom"なんかは彼の真骨頂ではないかと思われるところがあったので。ピアノのRobert Lakatosは心配など何もすることなく、メインにちゃんとお付き合いしている部分もありますし、タッチがクリアで軽快な音とフレーズを繰り出しています。僕の聴取能力の範囲は4曲目までで、後半は今のところあまり面白いとは思えず、4曲目までを楽しく聴いております。


AUTUMN WITCH / ROZSNYÓI PÉTER (PANKK: ) 2010

Players: Rozsnyói Péter(p), Orbán György(b), Mohay András(dr), Kőszegi Imre(dr)*, Winand Gábor(vo)+,

Tunes: Pray for Mother, Autumn Witch, Mo's Blues, All of You*, Alone Together*, I Fall in Love too easily, The Beginning, A (K)night Out, Otoño+,

エスニックな香りのする、東欧風な(?)印象の、というか『恋とは何でしょう』を思わせるテーマフレーズに聞こえる1曲目の"Pray for Mother"から端整で比較的音の重いピアノを聴かせます。ハンガリーのピアノ・トリオです。頭とお尻にオリジナル曲を、真ん中にスタンダード曲を挟んだ並びになっています。2曲目の表題曲や3曲目のブルーズは結構攻めてきますが、コチラの想定の範囲内で、遠慮すべきモノでは決してありません。スタンダード2曲でドラマーが替わる理由はわかりませんが、コチラのドラマーの方が粘っこいというか引きずるような重い感じがしますし、スケール感はあるかもしれません。もちろん、トリオ自体の演奏の印象がこれで大きく変わるということはありません。個人的にはMohay Andrásの方がその軽やかさ故に好みではあります。で、全体を通して非常に印象に残るのは何を隠そうベースのOrbán Györgyなのです。上記での稲葉さんのように圧倒的に主張するわけでもなく、かといって存在感が薄いわけでもなく(実際はその真逆なのですが)、ベースがベースとしてトリオの中で存在していること、また何よりそのベースの響きが抜群に素晴らしいと思う。最後にヴォーカルが入っている経緯は量りかねますが、タイトルは違う2曲目の"Autumn Witch"です。


2 整理しようと思ったのだけれど・・・U、V篇

    オークションに出す方が良いのか、専門店に買い取ってもらう方が良いのか、残した方が良いのか・・・
    ただいま整理中・・・。

MOVE / RENE URTREGER (BLACK & BLUE: BB 647.2) 1997

Players: René Urtreger(p), Yves Torchinski(b), Eric Dervieu(dr),

Tunes: Move, Old Devil Moon, Facile A Dire, Easy Does It, Little Willie Leaps, In Walked Bud, Bouncing with Bud, Saint Eustache, Signal, Split Kick, Cheryl,

Georges Arvanitasと並んでフランスの超ヴェテラン、ジャズ・ピアニスト。近年は澤野商会の紹介によって、あらためてフランスを代表するピアニストとして認識し直されたのではないだろうか。これは60代半ばに録音された、決して派手さはありませんが、彼のピアノがじっくり聴けるピアノ・トリオ演奏となっています。Georges Arvanitasがそのヴァーサタイルなピアノを聴かせ驚かされたことがあったように、René Urtregerもここで聴かせてくれるのはそのピアノの振り幅の広さです。一番長尺な"Easy Does It"では、カンザスシティ・スタイルを思わせるピアノを聴かせ、それも左手はフレディ・グリーンのように聴こえたりして、三人のやりとりなども含めて聴きごたえある(激しいという意味ではない)演奏だと思う。そもそもはハードバップの激情的なスタイルから出発していますから、本CDでモダンジャズの巨人たちのペンになる曲を演奏したりして、往年の演奏を彷彿とさせる部分を垣間見せますが、全体的には抑え目でとても聴きやすいピアノ・トリオになっている。


HERE AND NOW / JAN ZUM VOHRDE (STUNT: STUCD19909) 1999

Players: Jan Zum Vohrde(as,fl), Thomas Clausen(p), Jesper Lundgaard(b), Alex Riel(dr),

Tunes: Days of Wine and Roses, What Is This Thing Called Love?, Leaves, Little Dancer, Night and Day, Shadow Waltz, They Say It's Wonderful, September Song, A Child Is Born,

バックはオール・スカンディネヴィアン・リズム・セクションとも言えそうな布陣のピアノ・トリオで、それを従えたヤンさんは緊張したに違いない。アルトの音色がそもそもそんな音と言えばそうで、にしても緊張感あるアルトを吹いている印象がある。主人公のJan Zum VohrdeこのCDでしか知りませんが、全体的なアルト自体の雰囲気はGary Fosterみたいかなぁ。ごく一般的なアルトと言えそうで、またいい意味で朗朗と吹いていて、ただThomas Clausenのやや先鋭的なピアノとは齟齬があるような気がします。その点フルートを持ち出したのは正解だったかもしれない。フルートは朗朗とはなかなか吹けませんから、こちらはThomas Clausenのスタイルに雰囲気の点で接近している。などと書いているとThomas Clausenがリーダーであるかのようですが、彼を選択したのはJan Zum Vohrdeなわけで、本来は彼がリーダーに合わせなければいけないのですけれども。・・と何だかんだ言っておりますけれども、音色は好みですから、もちろん嫌いではなくもう少し聴いてみたいのですが・・・。



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