first updated '2010 June 30

JAZZ COMMENT ? 73


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      1 ここしばらく聴いているもの

      2 整理しようと思ったのだけれど・・・ S篇


1 ここしばらく聴いているもの

STUFFY TURKEY/ BILL MAYS TRIO (FIVE STARS RECORDS: FSY-512) 2010

Players: Bill Mays(p), Mattias Svensson(b), Joe La Barbera(dr),

Tunes: With a Song in My Heart, Luiza, The Lamp Is Low, You Must Believe in Spring, Blues for Five Stars, Poor Butterfly, I Didn't Know What Time It Was, Pavane/from Mother Goose, Stuffy Turkey, Mightingale Sang in Berkeley Square,

昨年のトリオ盤に引き続き(ベーシストは違いますが)、あちらがA面というか表だとすれば、今回はB面というか裏のビル・メイズがお楽しみいただけますといった印象です(若干メジャーな曲も入っていますが)。タイトル曲はモンクのオリジナルなのですが、「ん~記憶にないなあ」。で、手元にあるコンプリート・リヴァーサイドにも収録されていない、えらいマイナーな曲を選択したものだと思いながら聴いてみると、「どこかで聴いたような」馴染みやすい、それでも如何にもモンクの曲といった感もあって、演奏もかなり楽しい。このタイトル曲にちなんだジャケットも、往年のモダン・ジャズ華やかなりし頃のどこかのレーベルに比べても遜色ない実に洒落ていて、そのうち「七面鳥のビル・ヘイズ」と称されるようになるかもしれない。この三人によるピアノ・トリオはずいぶんとこなれてきて、トリオとしてのまとまり感が(いわゆる、あーすれば、こーするも含めて)リスナーに安心感を与える、リラックスして演奏に身を委ねられるトリオになっていると思います。ビル・ヘイズは多士済々な人ではありますがが、このレーベルの彼が入っているCDを持っていれば、「ビル・ヘイズとは何ぞや」を一通り把握できるのではないだろうか。来月発売です。


EMILY / HIROSHI SUGANO (ANTURTLE ANALOG RECORDINGS: ANTX5001) 2010

Players: Hiroshi Sugano(as), Toshihiko Kohno(p), Yutaka Yoshida(b), Tomoyuki Konno(dr),

Tunes: Wendy, Emily, Vivo Sonhando, Long Ago and Far Away, Glad to be Unhappy, Bossa na Praia, In a Sentimental Mood, Sometime Ago, Just Squeeze Me, Over the Rainbow,

アルトの菅野浩氏が"Totem Pole"なる名称で活動しているバンドのメンバーによるCD。テナーサックスに比べて、内外問わず、自分にとってなかなかこれという魅力あるアルト吹きが聴き当たらず忸怩たる思いをしていたわけですが、ここ十年ほどでようやくCDで聴くことの出来る贔屓のアルトと何人か遭遇することができました。その中の、一番近々のアルト奏者が菅野氏ということになります。並んでいる曲目を一瞥しても、何かそれなりの音が頭の中で鳴り響きます、まず間違いないだろうと。実際に聴いて、想定通りのアルトの音色とそのメロディ、フレーズに喜色満面、欣喜雀躍、感謝感激。やはりというか何というかアルトの宮野裕司さんと関係あるようで、4曲目のアレンジは宮野氏によるものだとか。自己アレンジでは"In a Sentimental Mood"、とか"Just Squeeze Me"のちょっとしたアレンジも面白い。こうして聴いていると、まるでドラムは淡々としているようにきこえるかもしれないConnie Kay、朴訥としたベースはGene Wright、短音を積み重ねるピアノはJohn Lewisがバックにいるかのような錯覚にとらわれそうになる。最後の"Over the Rainbow"はピアノとアルトのデュオです。

LOVE WALKED IN / KEVIN HUNT TRIO (LA BRAVA: LB0055) 2003
Players: Kevin Hunt(p), David Pudney(b), Gordon Rytmeister(dr),
Tunes: No Moon at all, Elm, Tricotism/Cheryl, Autumn Leaves, Tea for Two, Hymn to Freedom, Love Walked in, I Love You Porgy, Emily, Folk Melody,
並んでいる曲目を一瞥するだけでも何かしら安心感みたいなものが漂い始める。よほどの偏屈か、ひねくれ者でない限り、これらの曲をアヴァンギャルドな展開へと持ち込もうなどとは思わないだろう。もちろん「おやっ?」と思わなくもない曲が散見されますが、それは瑣末なことでしか結果的にはならず、鬱々とした重苦しさとは遠い、軽やかなピアノ・トリオを聴けるのは単純に嬉しい。最後はキース・ジャレットにインスパイアされた曲らしいのですが、その曲想は何となく感じるとしても、キースとは全く違うピアノが展開されているのが何ともおもしろい。また、実にまぁ、あっけらかんとタイトル曲を弾いているのかとニコニコとしてしまう一方で、ピアノ・ソロの"Hymn to Freedom"にしても、それに続く映画のサントラでもある"Cry Freedom"などはこんなにあっさりと弾いてしまって良いものかと心配になったりもする。"I Love You Porgy""Emily"などはストレートにメロディを弾いて欲しい派なので良いとしても、でももうちょっと長く演奏してくれても良いんじゃないかと・・・。とまれ、このピアニストは、所々で「良いですねぇ」と感じ入ってしまうフレーズを出してくれるのが魅力ですね。

TRIANGULAR VIEW (MUSIC CENTER: BA 255 CD)

Players: Marco A. Ricci(b), Mike Del Ferro(p), Massimo Manzi(dr),

Tunes: Bossanora, 3&4, Seconds, Recomecar, In Your Own Sweet Way, Pray, Bunga Bunga, Ebb, Pat, Besame Mucho, Triangular View, In the Wee Small Hours of the Morning,
ボサ・ビートへとあっさりと移行し、徐々にアクセルを踏んでいき、チェロに近いアルコ・ソロの後は軽快に飛ばしていく。2曲目は、この1曲目の続きのような印象、最後はやや山下洋輔的展開で終演しますけど。と、そこで落ち着きを取り戻そうとする3曲目がゆっくりと始まる。前12曲の内、3曲を除いてメンバーのオリジナルが演奏されていて、どの曲もまともに4ビートを刻んでくれない。ブルーベックの5曲目はややそうではあるのですが、ブルーベックの曲ですから素直ではない。素直でないといえば、お馴染みの10曲目はこれでもかというくらいスロー展開で、最初は「この曲何?」的な感じなのですが、逆にメロディはビックリする位まともに弾いてくれていて、それがかえって何か艶めかしく思えたりします。こうしたスローの曲を聴くにつけ、こういう展開では演奏者の力量がハッキリと問われることになるのだと今一度確認させられた次第。そして、全篇を通して、ピアノは明解であるのはもちろんですが、ベースとドラムの創造力にそれは支えられているのだということも。それにしても、ベースの響き具合がたまりません。

"LIVE" @ CHARLIE O'S / THE TRIO (FUZZY MUSIC: PEPCD016) 2009
Players: Chuck Berghofer(b), Terry Trotter(p), Peter Erskine(dr),
Tunes: Put Your Little Foot Right Out, Afternoon in Paris, Ghost of a Chance, How Deep Is the Ocean, Blood Count, Charlie's Blues, Lament,
「おっと、何処かで聴きました」というか確かに聴き覚えのあるフレーズで始まる。タイトルを見ると「あれっ」と思うわけですが、マイルスの""Fran-Dance"にちがいないわけで、この曲のピアノ・トリオ演奏なんて滅多に聴くことなどないので、何というか、ちょっと得した気分に浸れる。ピアノのTerry Trotterはおそらく初めて意識的に聴くと思います。西海岸で長らく活躍している人ですが、ナタリー・コールやらラリー・カルトンとの共演などしばらくスタジオ・ミュージシャンとしての活動中心だったようです。右手と左手のユニゾン・フレーズが得意?なようで、あちらこちらで聴かれます。ベースとドラムは周知のヴェテラン、どうにか演奏を作り上げていく手腕はやはり大したもので、ピアノをしっかりとサポートしている。ライブ演奏ならではの、ゆったりと演奏時間がとられてはいるのですが、にしてもちょっと長いかなと正直思うものもあります。10分をこえる演奏曲はベースやドラムのソロが入っているとしても、やや冗漫な感じを持ちました。長くても、せっかく雰囲気はいいので、もう少しメリハリがあったら良かったかなと思いました。個人的には、今のところ、"Ghost of a Chance"、ソロで始まる"Lament"などがちょうど良い感じにまとまってるかな、と。

CIRCLES / NESIN HOWHANNESIJAN TRIO (KONNEX: KCD5233) 2009
Players: Nesin Howhannesijan(b), Kevin Sholar(p), Ernst Bier(dr),

Tunes: Symphony No. 8, A New Disguise, Symphony No. 4, Somewhere, Adagio, Natural Selection, Trubbel, Gyoumrva Parer, Leaving Paris, Winding Tales,

主としてクラシックの楽曲を題材にした、ベースのNesin Howhannesijanによるピアノ・トリオ。まるで日本酒か焼酎のラベルにあるような、毛筆で○を書いたジャケットに一瞬怯んでちょっと遠慮しそうになるけれども、5曲目に入っている「アルビノーニのアダージョ」に惹かれないわけにはいかない。先入観でこれはちょっとと思いはしたのですが、全体として、予想された通りのビックリするほどのラディカルな演奏には当たらず、むしろドイツ発のオーソドックスなピアノ・トリオのカテゴリーに入る演奏で逆にちょっと拍子抜けするくらいです。で、「アルビノーニのアダージョ」といえば、何本かの映画に引用されていますが、自分にとっては1981年のオーストラリア映画『誓い』(Gallipoli)のエンドロールで使用されたものが映画自体と相俟って強烈な印象として残っています。通常オルガンを基調として演奏されていますが、ここではベースを中心に展開している。ということで、トリオ全体ではやや重厚感とヴォリューム感に欠ける嫌いはありますが、Nesin Howhannesijanのベース自体はガッツリしていますし文句を言う筋合いもない。トリオ演奏にするのは難いかもしれないけど、アダージョと映画つながりで『プラトーン』で使われた「サミュエル・バーバーのアダージョ」も入れて欲しかった。


5 CATS IN THE WINDOW / PHILLIPE AMIZET QUINTET(CRYSTAL: CRCDM14) 2004
Players: Phillipe Amizet(p), Patrick Bocquel(as,cl*), Gregory Deletang(ts), Richard Apte(b), Philippe Combelle(dr),

Tunes:

Interface, Close Your Eyes, Mi Ricordo, Out of Nowhere, Jumbo, United Blues, Yadhiya, Shirley, Hold On, Hassan's Dream*, Five Cats at the Window,

ピアノ・トリオばかりだといかんということで、出してみたものの、やはりリーダーがピアニストのクインテットになってしまった。ただ、亡くなったハンク・ジョーンズのオリジナルで1曲目が始まるので(追悼の意味を込めて)、これでいいかと。で、一番引っかかったミュージシャンはピアニストかというとそうではあらず、アルトのPatrick Bocquelがそれです。一聴すると明るい感じがするのだけれども、何かぼんやりと影がありそうなアルトで、G・ロバートやP・ウッズといった名前が頭をよぎっては消えていき、彼らほどエッジがハッキリしている気もしなくて、そうかD・クレーマー(S・クリスでも構いません、もしかしてJ・ダッジョン?)に近いのかと。マイナーな曲調では、ほぼもれなくそうなってしまうのかもしれないですけど、え~とよくわかりません。まぁ、似ているどうのこうは措いておいて、聴きたいアルトに違いないことは確かです。で、リーダーのピアノが光るのはトリオとして唯一演奏される自作の"Yadhiya"で、落ち着いたフレーズとタッチが聴かれます。ピアノに関しては、一番面白く聴いたのが"Hassan's Dream"というのは何だかなぁ。あと、ドラムがちょっとバタバタしてるのが良いですね。


2 整理しようと思ったのだけれど・・・S篇

    オークションに出す方が良いのか、専門店に買い取ってもらう方が良いのか、残した方が良いのか・・・
    ただいま整理中・・・。

PLAYS GERSHWIN / MARTIN SCHRACK TRIO (YVP: YVP MUSIC 3049 CD) 1995

Players: Martin Schrack(p), Thomas Krisch(b), Herbert Wachter(dr),

Tunes: 'S Wonderful, Oh Lady Be Good, Bur Not For Me, They Can't Take That Away from Me, Our Love Is Here to Stay, Summertime, I Got Rhythm, A Foggy Day, Embraceable You, Somebody Loves Me, Love Walked In, Strike Up the Band, Dedicace,

まあ、ちまたに数あるガーシュイン集あれども、これほどとにかく飽きないピアノ・トリオ作品は珍しいのではないか。僕だけかもしれませんが・・。ガーシュイン作品のなかでも、キラ星のごときオールスター勢揃いといった感がある曲目が並んでいることも、この作品にアクセスしやすい一因ではあるのでしょうが、各楽曲におけるアレンジのヴァラエティが半端なく凝っているというのか、作品ごとに持つ印象が異なることにも要因はあるのだと思います。ベースもドラムもメインになります。一番素直に、ストレートな4ビートで演奏されていて、ある意味ホッとして聴くことができるのは"Strike Up the Band"ぐらいで(他曲でリラクゼーションが感じられないということではなく)、出だしでハイハットが刻み、ブラシがサクサク鳴り始めると、「おおっ、とうとう来ましたか」と、そして予想通りのアップテンポで展開し、ぐいぐいスイングしていく乗りの良さは、ここまで聴いてきてよかったと思わせるものがあります。ところが、最後はピアノ・ソロで、何か「今日のおさらい」のような、後奏をお聴き下さいといった神妙さを要求されて、何だかなぁ。これが唯一のコンプレイントで、だったらお気に入りの"Someone to Watch over Me"を弾いてくれれば良かったのにと、好きな曲が入っていないことがいっそうもうちょっとだったのに感を高める。しかし、全体として楽しいから問題はないのですが。


MANCINIDRY/ MASSIMO SALVAGNINI (VELUT LUNA: 06700) 2002

Players: Massimo Salvagnini(sax), Paolo Birro(p), Ares Tavolazzi(b), Alfred Kramer(dr)

Tunes: Breakfast at Tiffany's, The Pink Panther Theme, Royal Blue, Sally's Tomato, Moon River, Mr. Lucky, Piano and Strings, Champagne and Quail, The Days of Wine and Roses, Peter Gunn Theme/Baby Elephant Walk,

こちらもけっこうあちこちで見かけることも多いヘンリー・マンシーニ集です。ヘンリー・マンシーニ自身の作品集はもちろんのこと、いわゆるマンシーニ・トリビュート集もいろいろあったりしますが、そのうちの一枚になります。上の「ここしばらく聴いているもの」で、このCDでピアノを弾いているPaolo Birroを挙げようと思ったのですが、はみ出してしまい、リーダーはMassimo Salvagniniにもかかわらず、ガーシュイン集と同じ楽曲集でもあり、彼もここに入っているのでここでもいいかな、と。こちらもガーシュインと同様に、オールスター・クラスの曲目が並んでいます。もちろん、"Charade"が入っていないじゃないかとか、"Two for the Road"はなぜないのか、といったこともあるわけですが、それを言えばキリがないのであって、じゃあ言わせてもらえるなら(何でだ?)、こちらとしてはあの、お涙頂戴の最たる映画「ひまわり」がないのは一体どうしたことかと訝しがる他ない。さて、ピアノのPaolo Birroはここではサイドメンということもあるのか、いわゆる「趣味の良い」ピアノを弾いています。短音を紡いでいくことを命題とし、名脇役であったトミ・フラのよう?ベースはブヨブヨ感がレイ・ブラウンのようだし、何か狙っているのだろうか?そんなこと言えば、リーダーのMassimo Salvagniniはソニー・ロリンズテイストで、PrestigeやBlue Noteの頃の雰囲気が漂っています。じゃあドラムは誰なんだろう?



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