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JAZZ COMMENT ? 72


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      1 ここしばらく聴いているもの

      2 整理しようと思ったのだけれど・・・ Q・R篇


1 ここしばらく聴いているもの

THIS SIDE UP/ JERRY KALAF, JOEL HAMILTON, RICH RUTTENBERG (UNTRAINED DOG: UNDO-CD-82702) 2010

Players: Jerry Kalaf(dr), Joel Hamilton(b), Rich Ruttenberg(p),

Tunes: Beautiful Love, What Is This Thing Called Love, One Note Samba, Here's That Rainy Day, Cherokee, No More Blues,

「良いです」ととりあえず最初に言っておいて、ドラマーのJerry Kalafがリーダーのピアノ・トリオで、これまでは彼のオリジナルを基本に演奏してきたようですが、本CDはいずれも有名曲ばかりを取り上げて基本的にはオーソドックスなピアノ・トリオを聴かせてくれます。ただ6曲45分、A面3曲、B面3曲のLP時代を思わせるとはいえ、けっこう腹八分目が良いかなといった気がしないでもない。必然的に?1曲の演奏時間が長いということになり、ゆったりと演奏される"What Is This Thing Called Love"は12分もあり、途中でややフリー・フォームの展開もあったりして、どこまで行くのか気にさせておいて、フェイドアウトしてしまうのはどういうことなのか?3曲目はもちろん軽いサンバの乗りのおなじみの曲で、これもファイドアウトしてしまう。どこで終わろうか、終わったらいいのか決まられないまま気がついたら演奏がどんどん続いてしまっていたということもないでしょうが・・・。やはりピアノです。すごく達者で、いわゆるヴァーサタイルなピアノを聴くことができると思います。エヴァンスとピーターソンのそれぞれ3分の2ずつを持ち寄って、100%からはみ出した分差し引いたという感じ、つまりどう聴いてもジャズピアノだということで、タッチ、間、フレーズ、音の粒立ち、どれをとっても間違いなく、同じ西海岸の例えばGreg Reitanよりもう少しスイング感のあるピアノが聴きたいときには、このピアノ・トリオなんかは最適な選択肢の一つになると思います。

NIGHT / BRIDGE QUARTET (ORIGIN: 82528) 2009

Players: Phil Dwyer(ts), Darrell Grant(p), Tom Wakeling(b), Alan Jones(dr),

Tunes: Wouldn't It Be Lovely ?, Green Dolphin Street, A Face Like Yours, Strode Road, Isfahan, Bemsha Swing,

このカルテットによるライブ盤が本CD"NIGHT"で、スタジオ録音盤が"DAY"なるタイトルがついたCD。マイルスのマラソンセッション程ではないにしろ、ほぼ一日の間にスタジオ盤"DAY"とライブ盤"NIGHT"が制作され、ライナーのぼやき?によると、それはカナダからオレゴンにやって来ることになっていたPhil Dwyerの入管の手続き上の遅れによって日数に余裕がなくなったことが原因のようです。むしろそれが良かったかどうかは定かではありません(予定通り行われていたらもっと凄い作品が出来ていたかもしれません)が、少なくとも結果的に密度の濃い演奏につながったように思います。曲目は「昼」盤と2曲が重なっています("Wouldn't It Be Lovely ?"と"Strode Road")が、演奏時間はいずれも「夜」盤の方が長めになっているので、それはライブならではということで、同じハコの中といってもやはり「熱くなる」という点で違うのでしょう。四人がいずれもそれぞれの楽器において、「熱く」、「凄味」を感じさせる演奏(といってもオ-ソドックスなモダンジャズです)に終始しているので、CD一枚を聴いた後は疲労感を持つのですが、それは山登りやマラソンの後の爽快感と重なるもので、聴いて良かったと思える一枚。


MEDITERRANEAN JAZZ/ THE MIKE PETRONE TRIO ( ) 2008
Players: Mike Petrone(p,vo), Ed Stephens(b), Ricky Exton(dr),
Tunes: Don't Take Your Love, It's always Something, You're Mine, The Last Word, Are You, Fly away with Me, When I Started Kissing You, The Truth, Now Is the Time,
何をとっちらかったのか唄ってしまってます。もともと何処かのホテルのラウンジあたりで、ピアノを弾きながら気持ちよさげに唄うタイプのピアニストだったのか?唄っていないピアノ・トリオ盤では質実剛健で硬質なイメージがあったので、ソフトな声質の本盤のヴォーカルを聴くに際し、出だしで唄い始めた時には本当に驚いた。ピンクパンサーの映画で流れそうなというか、あるいはバート・バカラック本人じゃないのかと錯覚させるに十分な音楽センス。また、演奏されている曲全てがMike Petroneの作詞、作曲というのだから念入りだ。では、これまでのピアノトリオの中に今回のようなヴォーカルものが1曲か2曲入っていたらどうだったかといえば、違和感を禁じ得ないわけで、そうこう考えれば、彼にしてみれば唄うのなら、全篇ヴォーカルにするしか選択肢はなかったのかなとは思われます。ヴォーカルは好みがあるでしょうけれども、ピアノトリオ自体の演奏は、Mike Petroneの硬質なクリアなタッチは健在です(当たり前ですが)し、Ricky Extonのドラムはけっこうメリハリがあって演奏をそれなりに盛り上げています。ジャケットにしても、今一つ売リ出しきれないけど女性には好感度で受けているTV俳優といった風情の彼が、胸をはだけて首をかしげているバストショットは女性向けの雑誌の表紙にもありそうな感じ。

OLD TRADITION / JOE DINKELBACH; FRANS VAN GEEST; HANS DEKKER (DOUBLEJOE MUSIC: DJM012) 2009

Players: Joe Dinkelbach(p), Frans van Geest(b), Hans Dekker(dr),

Tunes: Big Smile, Remember When, Old Tradition, Contemplation, Waltz for Britta, Blues for Henk, A Sentence in My Diary, Drop Me a Line, I Feel Good, Three Colors,

出だしの数小節を聴いただけでOK感が溢れる、耳には健全なピアノ・トリオ。軽快なピアノタッチと滑らかなフレーズに裏打ちされたスイング感が、スインギーで明るい演奏スタイルを好むリスナーには「おおっ」と思わせる。ところが敵もさる者(敵ではないですが)単純なピアニストではありません。2曲目は軽快感は残しつつ、マイナーな曲調へと転じ、3曲目には疾走感あるバップイディオムのタッチを聴かせ、4曲目にはじっくりと曲名通り沈思黙考するピアノをといった具合に今度は何かなといった期待感をいだかせて聴いていて飽きることはない。でJBですから。三人の誰がリーダーかわかりませんが、1曲を除いてピアノのJoe Dinkelbachのオリジナルで構成されていることからすると彼がリーダーということになるのでしょうか(その1曲がJames Brownの"I Feel Good"だっていうのが凄い。なぜ故にJBなのか。ただ曲の流れからして、9曲目にこれが入っているとちょっとした気分のリセットが最終曲を前にして行われるような気がする。実際最終曲はリリカルな演奏だとの印象がいっそう高まったような気がする)。輪郭が明瞭なタッチとフレーズでしっかり感、つまり安定感があり、安心感が持てるピアノが聞けます。音響がややこもり気味のベースは対照的ではあります。ブラシよりもスティック捌きにエッジが効いているドラムもしっかりしています。


SONGS WITHOUT WORDS / JUREK JAGODA TRIO (SOU PRODUCTION: ) 2010
Players: Jurek Jagoda(p), Marek Alaszewski(b), Pawel Gebicki(dr),
Tunes: Running Man, Two Sides of Something, If Only I Could Tell You, Short Story, Loraine, Waiting, Three for All, Moon & Sun, Are You Nervous, Loving Twice, Remenberance, Before I Tell You Good Night,
ピアノもドラムも間違いなく良いとはいえ、とにかくとりあえずベースが良い。北欧や東欧にはベースの名手が多いような気がするというか、多いと思う。N.H.O.Pedersenはじめ、M.VindingにJ.Lungaard、さらにG.Mrazなど、ベースの巨人と言える名手が輩出されている。やはり空気なんだろうか。ベースがベースらしく鳴る空気で満たされているのかもしれない。左耳が痛んでしまったにもかかわらず、それでもガーンゴン、ゴーンガン、ボンボンと右耳に響いてくる。で、ピアノはどうかと言えば、タッチが重厚にもかかわらずクリアで、鍵盤を抑える指の力が強靱なのではないのかなと。重厚路線のピアノは下手するとフレーズがぐちゃぐちゃになることもある中で、そうなっていないところが聴きやすさに繋がっているのだと思う。ドラマーもトリオの世界構成にすぐれて貢献している。トリオとしてかなり出来ていると思います。危なっかしさが感じられない。すべてピアノのJurek Jagodaのオリジナル曲で、ジャケット写真のままの雰囲気がパッケージされた内容というと語弊がありますが、鬱々とした重苦しさはないです。コンポジション重視のピアノトリオですし、基本4ビートでもない(チョロッとだけ出る)ので、メロディを期待される分にはお応えできかねるかもしれませんが、彼らの音楽を演奏している嬉しさというか喜びみたいなものは伝わってくるので、ボクはかなり楽しめたです。でも今度は彼らの4ビートも是非聴いてみたい。

QUIET NIGHT / BRIAN BROWNE TRIO (: BB0107) 2010
Players: Brian Browne(p), Paul Novotny(b), Bruce Philp(dr),

Tunes: Beautiful Creatures, Lover Man, Quiet Night, All in Love Is Fair, Willow Weep for Me, Besame Mucho, Django, 'Til The Crows Come Home,

とにかくジャケットが好きで、Quiet NightとBrian Browne Trioの文字の色と、バック写真の広場の風景色とがシンクロナイズしていて何か癒されるジャケットだ。また、このジャケットにはまるような音楽が流れてきます。初めて聴くBrian Browneのピアノは、流麗とか軽快というのではなく、どちらかといえば鍵盤の重さを感じさせるピアノだと思いますが、粒立っていて硬質なクリア・タッチなので、耳をわざわざ聴き立てる必要はなく、自然に入ってきます。とにかくピアノの音が硬く重い。Blue Noteのヴァン・ゲルダーとまでは言わないまでも、ふっと連想させられた。全体的にしっとりとしたライブ感がよく捕まえられていて、僕はこういう録音は好きです。タイトル通りの演奏で、基本的にはバラードです。テンポがあると言えるのは"Django"ぐらいしか聴きあたりません。"Besame Mucho"なんか、これでもかといった具合にスローで演奏しています。最初と最後(ブルーズで、これが結構良く、ソニー・クラークの"Blues in the Night"を彷彿と?)がBrian Browneのオリジナルで、あとは有名曲、S・ワンダーの曲("All in Love Is Fair")なんかも入っていたりします。"Quiet Night"というか"Ballads at Night"という方がわかりやすいかもしれないし、Brian Browne版『バラードとブルースの夜』(マッコイ・タイナー)と言えるかもしれない。


2 整理しようと思ったのだけれど・・・Q・R篇

    オークションに出す方が良いのか、専門店に買い取ってもらう方が良いのか、残した方が良いのか・・・
    ただいま整理中・・・。

FIREFLY / EMILY REMLER (CONCORD: CCD-4162) 1981

Players: Emily Remler(g), Hank Jones(p), Bob Maize(b), Jake Hanna(dr),

Tunes: Strollin', Look to The Sky, Perk's Blues, The Firefly, Movin' Along, A Taste of Honey, Inception, In a Sentimental Mood,

前回記したようにJake Hannaの追悼と、R篇を兼ねて、この人も今は亡きギタリストEmily Remlerの一枚。コンコード・レーベルはギタリストの録音盤が多かったように記憶しています。公式リリースの最初がHerb EllisとJoe Passをフロントにした一枚だったように、ジャズ分野では地下に潜ってしまっていたギタリストの録音をしたという功績があるように思います。Remo PalmierやHoward Robertsなどの再評価につながり、また新しい世代をも発掘した。というもろもろある中で、Emily Remlerのデビュー作を。心疾患により32歳という若さで亡くなりました。力強い弦音と伸びやかなフレーズまわしで爽快な印象を与えてくれた本CDは、内容的には渋く地味な選曲と演奏になっていますが、密度は非常に濃いです。Concordの数枚(6?)で途絶えたことは惜しまれる。で、追悼のJake HannaはそのConcordのハウス・ドラマーであり、プロデューサー的な役割をも担っていた。Concordレーベルの発展に寄与(特に新人のデビューに)し、シンバル、スネア、バスドラのシンクロナイズで、ここでも聴いてそれと分かるドラムスタイルを持ち続けた。

FREETRADE / RENEE ROSNES (JUSTIN TIME: JUST 64-2) 1994

Players: Renee Rosnes(p), Peter Leitch(g), Neil Swainson(b), Ralph Bowen(ts,fl), Terry Clark(dr),

Tunes: Orion's Blues, Lucky One, Visage de Cathryn, Milestones, Melancholia, Guess Again, Is That So?, Gargoyles, Bleeker Street Theme,

初めてRenee Rosnesを「見た」とき、長身でスキニーで美形なのにはびっくりしたなどと記すと、セクハラだと言われかねませんが、やはりそれまでの女性のジャズピアニストのある系譜からするとやはり「あれっ」と思わざるをえないところはあります。このあたりから、日本人でも例えば木住野佳子に代表されるような「綺麗なお姉さま」タイプのピアニストが登場します。ドラマーのBilly Drummondの連れ添いだとばかり思っていたら、離婚して、今は何とBill Charlapの連れ添いに転身していると知ってびっくり。閑話休題。おおよそリーダーのRenee Rosnesと同じ頃に活動し始め、OTBで頭角をあらわし今ではすっかり名前も定着したRalph Bowenと、同じカナダ出身のギタリストPeter Leitchがフロントに配置され、「どんな演奏にも対応できます」と言えそうな、これもやはりカナダを代表するベースとドラムがバックに控えています。マイルスの"Milestone"はえらくゆったりとした珍しいテンポの演奏で、その次の"Melancholia"はトリオ演奏です。どの演奏も聴きごたえがあるハードバップですが、特に最後のC・ウォルトンの"Bleeker Street Theme"は短いながらピシッと決まっていて、本CDをグッとひき締めている。


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