first updated '2009 Dec. 25

JAZZ COMMENT ? 70


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      1 ここしばらく聴いているもの

      2 整理しようと思ったのだけれど・・・ N篇


1 ここしばらく聴いているもの
    

THE BEST IS YET TO COME / BILL MAYS TRIO (FIVE STARS RECORDS: FSY-510) 2009

Players: Bill Mays(p,vo*), Ryu Kawamura(b), Joe La Barbera(dr),

Tunes: The Best Is Yet to Come, Jitterbug Waltz, These Foolish Things, Here's That Rainy Day, Moanin', Send in the Clowns, Speak Low, Willow Weep for Me, Get Out of Town*,

なかなか興味深いタイトルが付いているBill Maysの新録、にしてFive Starsの10作目の録音になる。これからまだまだ、というかますますというところなのでしょうか。1曲目が終わって拍手が入るから「あれっ」と思っていたら、ちゃんと案内にはライブ盤と書かれておりました。いつもスタジオのような濃密な音がしているので、うっかりしていました。9曲の録音のうち、最初の4曲と最後の曲が小唄ものというかちょっと小粋でリラックスした雰囲気があります。後半4曲は曲目もそうですが、リラックスした雰囲気は残しつつ、バップ・テイストで演奏されているように聴きました。後半の "Moanin"や"Speak Low"あたりは特にバップ・ピアニストとしての面目躍如たるところがあります。以前にも言及したように、Bill Maysは引用の名手に思われ、ピアノのそこかしこにあれやこれやの馴染みあるフレーズを入れ込んでいるので、それだけでもかなり楽しい。かと思えば、"Send in the Clowns"でのいとおしむ様な優しさあふれるピアノのタッチとフレーズを聴かせる顔も見せる。前回のマシアスさんの時も、Bill Maysの影響か?ベースにもそうした場面に遭遇しましたが、ここでベースの川村竜もそういう楽しい場面を聴かせてくれています。例えば、フューチュアされる"Here's That Rainy Day"で「セント・トーマス」のフレーズが引用されたりしています。このベーシストはまだ20代半ばに達するか位なのですが、すでにかなりの経験を積んでいるようで、とにかくジャズ・ベースの音が鳴っている、これが良いです。ソロ・スペースをけっこう与えてもらっていること、そしてこれに応えていることは何かを意味している。ドラムのJoe La Barberaについては新たに付け加えることもなく、Bill Maysのプレイをとても良く汲み取っているように思う。最後の"Get Out of Town"では何と歌っていて、Dave Frishbergみたいだと思っていたら、Bill Mays自身が書いたライナーに影響を受けた一人として名前が挙がっていて、なるほどと納得。


THE ARTISTRY OF YUSHI MIYANO / YUSHI MIYANO (AUDIO FAB. RECORDS:AFD 102) 2009

Players: Yushi Miyano(as), Sadanori Nakamure(g), Yasushi Ueba(b), Kiichi Futamura(p), Akira Matsuo(dr),

Tunes: I Wish I Knew, Long Ago and Far Away, So Beats My Heart for You, Theme for Jobim, Sua Vez, Lazy River, For Bill Evance, With a Song in My Heart, Suddenly It's Spring, Everything I Love, Deep in a Dream of You,

いや~ついに出ましたというか、とうとう出ましたというか、ようやく出ましたというのか、やっと出ましたと言うべきなのか。潮先郁男さんではなく、中牟礼貞則さんをジム・ホール役と言うか、エド・ビッカート役に従えて、いよいよ表舞台に。ただし演奏自体は曲目によって、カルテットやトリオ、デュオなど楽器のフォーマットはかなり変化を持たせられていて、全篇でデスモンド=ホールのペアが演奏しているわけではありません、残念ながら。"Sua Vez"はピアノと、"Lazy River"はベースと、そして"Deep in a Dream of You"はギターとのデュオになっており、また"With a Song in My Heart"の前半はドラムとのデュオで後半にベースが加わるといった具合です。宮野さんにデスモンドを重ねているのはコチラの一方的な思い入れでしかないわけでして、宮野さんにしてみればかなりの迷惑かもしれません。ですが、デスモンドの新録があり得ない以上、コチラとしてはとても楽しみにしていたのだということは表明しておいても良いのではないかと。クールでウォームでそしてチャーミングな音色とフレーズを期待しております。これもまた是非とも多くの人に楽しんでいただきたい。

I REMEMBER PAUL / PAULA DEZZ QUARTET featuring Ack van Rooyen (LAIKA: 3510253.2) 2009

Players: Ilona Haberkamp(as,ss), Ack van Rooyen(flh), Frank Wunsch(p), Paul G. Ulrich(b), Bruno Castellucci(dr),

Tunes: Imagination, Desmond Blue, Samba Cantina, Joana's Waltz, Wendy, Any Other Time, September Waltz, You Can't Go Home Again, Audrey,
ということで、デスモンド・フリークは世界を駆けめぐる。いきなり飛び出す"Imagination"。これぞデスモンド・テンポとしか言いようのない、たゆたうようなリズムに乗ってフワフワとしたアルトとフリューゲルホーンの奏でるメロディーに魅惑される。雰囲気はかつてのCTIのようで、PAULA DEZZ QUARTET feat. Ack van Rooyeとなっていますが、デスモンド=ベイカーのように、Haberkamp=Rooyen・クインテットと考えていいようです。この世界観に合わせるような、カッチリとしたベース、確実にワイヤーとスティックを操るドラムを含めバックのピアノ・トリオがまた素晴らしい。デスモンドのようなアルトの音を出すことも難しいと思うのですが、それよりもそのフレーズを紡ぎ出すことはさらに難儀な仕業で、メロディしか吹かなかったデスモンドはそれ故に驚異というか畏怖のイコンそのもののような存在になっているような気がします。まあそんな訳もないのでしょうが。「アランフェス」を導入部に持ってきた"Desmond Blue"は少し凝りすぎた感がありますが、3曲目のサンバ・ビートでまたデスモンド感が持ち直します。4曲目はピアノのFrank Wunschのオリジナルでピアノがフューチャーされ、ちょっと一休みといったところです。6曲目はホーン抜きのブルーベック・カルテット演奏スタイルなので、ここでアルトをじっくり聴けます。だからなのか、Frank Wunschのオリジナルの7曲目はソプラノを吹いています。最後はまたアルトのみのブルーベック・カルテットになりますが、ややピアノがメイン。そこもまたブルーベック4みたいです。因みにライナーの一部をハーブ・ゲラーが、裏ジャケにはリー・コニッツの推薦文が。

UNTIL IT'S TIME FOR YOU TO GO / JEAN-MICHEL PROUST (CRISTAL: CR 129) 2008
Players: Jean-Michel Proust(bs,ts,ss), Fabien May(tp), Pierre Christophe(p), Michel Rosciglione(b), François Laudet(dr), Pierrick Pedron(as)*,
Tunes: Get out of Town, A Foggy Day, Green in Blue, Brown Midnight, Miss Bijou, Il la Vit là à la Villa, Waiting for You, Renne Art, Two for the Show, Zanzibar*, Blue Concept*, It Ain't Necessarly So*, Saint Louis Blues*, Until It's Time for You to Go,

何とも印象的なジャケットで、思わず手に取ってしまう何らかの心理を見透かされているようで癪に障ることもさることながら、プルーストなる名前の響きもまたコチラを惹き付けてやまない。リーダーの楽器を見るとサックス奏者には違いないようだが、基本苦手意識のあるバリトンサックスが一番最初に記されていることに若干の不安を感じる。さらに演奏曲の半分以上がそのリーダーのペンになるとなれば、聴き覚えのあるFabien MayやPierrick Pedronがクレジットされていることに救いを求めざるをえない。ところが、恐る恐る聴き始めてしまえば、そんな危惧は1曲目から払拭されて、逆に意識は正反対の方向へ、「いや~これは実に良い」と。そうです、何のことはない、マリガン=ファーマー五重奏団なのでありました。特に"A Foggy Day"なんて彷彿とさせるというよりも、そのままと言った方が的を射ているかもしれない。不安を感じたオリジナルも何処かで聴いたような曲調で、躊躇した自分は何だったのだろうと自省の念に駆られる。予断は禁物であると改めて思う。アドリブで「危険な関係のブルーズ」が引用されたり、モンクとエリントンが合作したような曲"Brown Midnight"があったり、面白いです。フロントももちろん良いのですが、コロコロ転がるシングルトーンが特徴のPierre Christopheももちろん良い。クールなハード・バップ・セッションと、Pierrick Pedronが加わったハード・ボイルドなハード・バップ・セッションの2種類が楽しめるお徳用パッケージとなっています。聴かない手はない。


TERRRRIFFIC! / BRIAN PIPER TRIO (90TH FLOOR RECORDS: s11920) 2009

Players: Brian Piper(p), Lynn Seaton(b), Jason Thomas(dr),

Tunes: Recordame, Secret Love, All Blues, C Jam Blues, Body and Soul, Caravan, Prelude to a Kiss, Five Brothers, Up Jumped Spring, Armando's Rhumba, Who The @#%! Is Robert Peterson?,

Brian Piper、何処かで名前を聞いたような気がしないでもない。果たして、本サイトの初期「3」号で取り上げたテキサスのビッグバンド(Pete Petersen & The Collection Jazz Orchestra)でピアノの席に座っていた。そうか、やっぱりテキサスにずっと居て、そこを拠点に活動していたのだ。最後の曲のビッグバンド的な「乗り」はそうなのだ。全体の雰囲気は、前作でドラムの席に座っていたのがJeff Hamiltonであったように、これにベースのLynn Seaton、ピアノのLarry Fullerの替わりにBrian Piperがいると思って遠くないJazzがきこえてきます。基本的にほとんどの曲はミディアム・テンポ以上で演奏されている。「これでどうだ」、「こうならどうだ」とリスナーにぐいぐい押し込むように、間違うことなくスイングしている。唯一と言っていいスローで演奏されるのは"Prelude to a Kiss"。これがまたアップテンポの曲とまた違う、タッチは鋭く音階は優しく、穏やかに聴くものを包み込むようなピアノは別の顔を垣間見せる。Larry Fullerの新作をなかなか聴けない、耳の渇きを潤してくれるピアニストを探している人には是非。


ARASHI 5x10 ALL THE BEST! 1999-2009 / ARASHI (J-STORM: JACA-5202,03 OR 5199,5200,5201) 2009

Players: ARASHI

Tunes: <1>A-RA-SHI, SUNRISE日本, HORIZON, 台風ジェネレーション, 感謝カンゲキ雨嵐, 君のために僕がいる, 時代, a Day in Our Life, ナイスな心意気, PIKA☆NCHI, とまどいながら, ハダシの未来, 言葉より大切なもの, PIKA☆☆NCHI Double, 瞳の中のGalaxy, Hero; <2>サクラ咲け, WISH, きっと大丈夫, アオゾラペダル, Love so sweet, We can make it !, Happiness, Step and Go, One Love, truth, 風の向こうへ, Beautiful days, Believe, 明日の記憶, Crazy Moon-キミ・ハ・ムテキ-, 5 x10, (hidden track: aka. Attack It!(通常盤のみ)); <3>COOL & SOUL, Yes? No?, ONLY LOVE, 夏の名前, Oh Yeah!, Re(mark)able, 僕が僕のすべて、Still..., Be with you, 素晴らしき世界:<3>は初回盤のみ

ジャケット写真は通常盤のものです。コチラの方が初回限定盤よりも好きなので。ということで、10周年です。最初から聴いていたわけではありませんが、ちょっと気にかかり始めたのが『木更津キャッツアイ』の"a Day in Our Life"位から。「へぇ~良いかもしれない」と思い始め、『StandUp !!』の"言葉より大切なもの"で「これは抜群に良い」、で、"きっと大丈夫"は21世紀最初の日本のPopsだと思うに至ったわけです。とにかく楽曲が素晴らしく作り上げられている。そのグループとして、「嵐」のテーマは言ってみれば「夢の途中」だと思うのですが、来年は「途中」でなくなってきてしまいつつあるのではないのかと若干心配しているこの頃です。曲目の"COOL & SOUL"以降は、シングルCDのタイトル曲にならなかった中から彼らが選曲したもので、まあ裏ベスト10になるんでしょうか。
因みに以下に記すのは、私こと蛍雪人選曲の表ベスト10(タイトル曲)と裏ベスト10です。
表:"Step and Go", "ハダシの未来", "きっと大丈夫", "ナイスな心意気", "Love so sweet", "Believe", "言葉より大切なもの", "感謝カンゲキ雨嵐", "サクラ咲け", "a Day in Our Life".
裏:"愛してると言えない", "夏の名前", "優しくって少しバカ", "season", "風", "夏の終わりに想うこと", "(hidden track: aka. Attack It!)", "できるだけ", "Still...", "LOVE PARADE".


2 整理しようと思ったのだけれど・・・N篇

    オークションに出す方が良いのか、専門店に買い取ってもらう方が良いのか、残した方が良いのか・・・
    整理している中で、こんなのが眠っていたというものの中から・・・でも、どうしよう・・・。

VICTIM OF CIRCUMSTANCE / DAVID NEWTON (LINN RECORDS: AKD 013) 1990

Players: David Newton(p), Alec Dankworth(b), Clark Tracey(dr), Dave Green(b)*, Sllan Ganley(dr)*

Tunes: Wishful Thinking, The Night We Called It a Day, Katy's Song*, It Never Entered My Mind, Victim of Circumstance, One and Only, Please Come Home, The Way You Look Tonight,

今ではもう50才を越えている大ヴェテランになってしまった、スコットランド出身のピアニストDavid Newtonの32才の時に録音したピアノ・トリオ。地元エディンバラでの一曲を除いて、ロンドンのアビィ・ロード・スタジオで録音されている。また、"It Never Entered My Mind"はピアノ・ソロ録音。一番の魅力と感じるのは硬質なタッチと粒だった鍵盤音で奏でられる明解なフレーズで、その滑らかなスイング感は体を揺さぶる。


WHAT I WANTED TO SAY/ MARK NIGHTINGALE (MONS: 874763) 1994

Players: Mark Nightingale(tb), Dado Moroni(p), Ray Brown(b), Jeff Hamilton(dr),

Tunes: I Remember You, How's the Howse?, Don't Mention the Blues, Close as Pages in a Book, Fleet, Roxy Beaujolais, Alone Together, What I Wanted to Say, I'm a Fool to Want You, Yours Is My Heart Alone,

鉄壁にスイングするピアノ・トリオをバックに、正確無比といわれる?Mark Nightingaleのトロンボーンが実にのびのびと、気持ちよさそうに思う存分吹いている。個人的にはもう少しふくよかさが欲しいかな。MONSレーベルにもう1枚吹き込み(RIASビッグバンドとの共演)があったので、ドイツに縁のある人かと思っていたら、イギリス出身らしい。今回はそれではなく、それよりもやや古い録音のコチラの方を。また、大好きな"I Remember You"や"Yours Is My Heart Alone"が入っているし。

WEST OF FLATBUSH / JOHN NUGENT (NY JAM RECORDS: 1195 CD) 1997

Players: John Nugent(ts), Bruce Barth(p), Doug Weiss(b), Al Foster(dr),

Tunes: Looseliness, Central Park West, The Revolving Door, Remebering Dreams, Milestones(1952), Neil's Tune, Out of the Night, Three & One, Four 3's in 12,

確かにそう聞こえてくる「朝日のごとくさわやかに」の焼き直しのようなオリジナル曲から始まる、カナダはニューファウンドランドというちょっとあまり耳にしない出身地のサックス奏者のCD。上と同様、これもバックが信頼度抜群。緩急に柔軟に対応可能なピアノ・トリオをバックに、安心してJohn Nugentは朗々と吹いているような気がします。どっしりと安定したベース、サトルで変幻自在なドラム、"Central Park West"のソロが美しいピアノ。ワン・ホーン・カルテットでの隠れた?演奏の佳作と思います。もっとアクティブさを求める方にはブルーノートでのライブCDをどうぞ。

JACK THE RIPPER / THE JEFF NEWELL QUARTET (IGMOD: 49806-2) 1998

Players: Jeff Newell(as), Steve Million(p), Larry Kohut(b),
Rick Vitek(dr), ,

Tunes: There Is No Greater Love, Samba Da Gamba, Love for Sale, Eliot's Mess,
Toe-Knee, My Heart Belongs to Daddy, I'm Gettin' Sentimental over You, Jack the Ripper,
Infant Eyes, Puffs,

嵐のように駆け抜けた?レーベルIGMODにはまだまだ変わった録音があります。現在はジャズ・トラッドを追求したバンド活動を行っているJEFF NEWELLの、これもワン・ホーン・カルテット。実はけっこうジャズの歴史に意識的なジャズマンだと思われます。なかなか面白いフレーズを織り交ぜながら進行する"There Is No Greater Love"は軽いと言えば軽い。ただ何かまとも?なジャズにはならないのではないかとの予感は、果たしてそうだった。といっても許容範囲の変態性?展開なのでご安心下さい。"Eliot's Mes"でのMesさ加減も程々です。アルトの音的にはハーブ・ゲラーとかラニー・モーガンに近いのかなぁ。ピアノ、面白いです。



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