first updated '2009 Oct. 25

JAZZ COMMENT ? 69


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      1 ここしばらく聴いているもの

      2 整理しようと思ったのだけれど・・・ M篇


1 ここしばらく聴いているもの
    

TREAT ME GENTLY / DALE BARLOW (JAZZHEAD: HEAD092) 2008

Players: Dale Barlow(ts,fl), Mark Fitzgibbon(p), Sam Anning(b), George Coleman(dr),

Tunes: Amsterdam After Dark, Glasshouse, Fight or Flight Response Blues, You Go to My Head, Bushwalk, There’s No Zen in Then, End of a Love Affair,

音が出た瞬間に「あっ、ジャズだ」と感じさせてくれることが何より。それはつまり「あっ、これは良い」と思わせてくれることと同じことだと。少なくとも2002年の”Live”の出だしよりは。いわゆるキャッチーだと思われます。このCDでドラムを叩いているGeorge Colemanのお父さんのGeorge Colemanが書いた曲”Amsterdam After Dark”でスタートする、まさに一曲目はライナーに記されるようにキックするジャズです(ライナーはドラマーのLewis Nashが書いています)。やや籠もりがちなハスキーなトーンでゴツゴツ感があり、ヘンダーソンとコールマンとモブレーとコルトレーンを併せていくつかで除算して、それに何か足したような?テナーといった印象があります、わけわかりませんが・・・。ここでの最後の曲のようなアップテンポの曲では、無骨感は薄れて、結構スムーズにフレーズを綴っていたりします(もしかしたらグリフィン入っているかもしれない、たまに他曲を引用したりするので)。Dale Barlowはオーストラリアのシドニーでクリスマスの日に生まれたらしいので、さぞ暑い夏の日だったに違いない。ということで現在50才、かなりのヴェテランのジャズマンではありますが、その本拠地の地域的な問題もあり、最近まで周知されていなかった。ネットの発展によって多くのリスナーが聴けるようになったことは素晴らしいと言え、こうした良い演奏はさらに多くの人に聴いていただきたいものです。さて、それにしても、どうしてテナーマンはフルートを吹きたがるのでしょう。


LETTING GO / BILL BEACH ( ) 2004

Players: Bill Beach(p,vo), Dave Captein(b), Reinhardt Melz(dr),

Tunes: Letting Go, Oakville Road, Vivo Sonhando, Agua de Beber, People, Sudden Samba, Nancy Maria, Dreams deferred, Sorriu Para Mim, Alice Annette, I Hear a Rhapsody, Lamento, Where Is Love, Only Trust Your Heart, So Danso Samba,

自主制作盤CDで、本人のWS情報では、少なくとも40代と思われ、オレゴン州ポートランドを拠点としているようです。Bill Beachにとっては今のところ唯一のCDで、亡くなったお姉さんに捧げられています。本人のオリジナル曲が全体の3分の1の5曲入っています。あとはボサノヴァ、スタンダードなどから構成されています。ストレートな4ビートジャズは”I Hear a Rhapsody”ぐらいで、どちらかといえばアッケラカンとして、曲目にもよるのですが、明るい陽射しを彷彿とさせ、ボッサ・ビートを主体にした演奏は、ポートランドを想定できない(“Only Trust Your Heart”は再認識でマイブームになりそう)。西海岸北部オレゴン州やワシントン州で活躍しているピアニストはエヴァンス系ばかりではないわけです。凡人の耳には、失礼ながら、可もなく不可もなくといったところですが、こうした普通?のジャズピアノをずっと、たくさん聴いていたいリスナーによっては選択肢が1つ増えることになりますから、これはこれでたいへん喜ばしいことです。全体を通して、もちろんピアノはシングルトーンが確実に鳴るなど、ややこしいパッセージも堅実そのもので、非常に耳に馴染みます。おまけ?に数曲で唄っています。「へたうま」ですが、何故かしらボサノヴァではこれが正解に聞こえるからトラウマは恐ろしい。ヴォーカルが入っていることで、このCDが敬遠されるとしたら、それはそれでとてももったいないことです。とても良いCDです。そして、ベースのDave Capteinが良いです。


AGAIN / VINCENT BOURGEYX (FRESH SOUND NEW TALENT: FSNT 345) 2009

Players: Vincent Bourgeyx(p), Matt Penman(b), Ari Hoeing(dr),

Tunes: Once upon a Summertime, Etude in E Majeur, Apres un Reve, Giant Steps, Alice 1, Alice 2, Alice 3, Alice 4, Sierra Nevada, Come Sunday, Cry Me a River, The Good Life,

若手ジャズメンの登竜門的性格を帯びてきたFRESH SOUND NEW TALENTからの一枚。このトリオは良いです。なんと言ってもお気に入りは2曲目の「別れの曲」で、今までのこの曲のジャズ演奏の中で個人的には一番好きな演奏です。特に編曲に凝っているというわけでもなく、その音楽の流れ方が気に入っています。それと対照的なのが"Giant Steps"で、テーマをそんなに凝らなくても・・・と。アドリブに入ってからはコルトレーンばりに一気に鍵盤を叩いてフレーズを綴っていきます。この後"Alice"という曲がアレンジを変えて連続しますが、YouTubeにこのレコーディング直後のライブ演奏がアップロードされています。引いた固定カメラで表情などはハッキリとは分かりませんが、かなり楽しそうにピアノを弾いています。それは他の演奏映像からも拝察できます。また、彼のトリオはかなりインタラクティブに演奏を組み立てているのだなということもわかりました。演奏の後半、3曲はかなり落ち着いて寛いだ雰囲気のピアノを聴かせてくれて、こうした顔も持っていることがわかりさらに惹かれた次第です。特に最後の"The Good Life"はチャーミングだ。ベースもさることながら、ドラムが実に創造的・建設的で良い味をだしています。


JANKOWSKINETIK / HORST JANKOWSKI QAURTETT (MPS: 06024 9808189) 2003(1970)
Players: Horst Jankowski(p), Hans Wenzel(g), Götz Wendlandt(b), Branislav Kovacev(dr),
Tunes: Zeroccasion, Satin Doll, Falling in Love with Love, I’ve Got You under My Skin, Lady Eve, Speech Craft, Out’n Ground, No Troubles at all, Black Flower, Please Don’t Talk about Me When I’m Gone,

これは1970年にMPS から出た音源がUniversalから2003年に再発されたCD。デジパック仕様です。ピアノの音はいかにもMPSといった音で、またいかにもMPSといったジャズピアノ・カルテット演奏になっています。このピアニストについて詳しいことは全く知らず、ピアニストとしてのキャリアから後に作編曲家として足跡を残したようなのですが、残念ながらすでに十年ほど前に亡くなっていて、それでもかなりの枚数のアルバムなどを残しています。僕が見た写真はちょっと見セルジオ・メンデスにも見える。ジャケットは何やら小難しそうな哲学的演奏かと思われるかもしれませんが、全くそういうことはありません。演奏を聴いていると、どういうわけか、その曲を演奏しているわけでもないのに、ヘンリー・マンシーニを思い浮かべてしまう。で、それが良いことなのか悪いことなのかは別として、その思い浮かべるピアノはマンシーニではなく、もちろんピーターソンであったりM・アレクサンダーだったりします。ピアノの鍵盤から繰り出される豊饒な音符に圧倒されると同時に、その軽快さに体を揺り動かされたりもすることから、これはやはりこの手のタイプのピアノを聴く際の正しいあり方なのだと妙に納得したりもする。


ROAR OF LYONS / SEÁN LYONS (POSI-TONE: PR8046) 2009

Players: Seán Lyons(ts), David Hazeltine(p), John Webber(b), Al Foster(dr), Jim Rotondi(tp,flh), Conrad Herwig(tb), Tom Harrell(tp,flh),

Tunes: Herk from the South End, Bonnie Rose, Nostalgia, Soultrane, Blackbelt Bebop, Woody’n You, Ask Me Now, Poinciana, Realized Dream,

横に聴こうが縦に聴こうが、”The Sidewinder"にしか聴こえてこない"Herk from the South End"と言い張っている曲で軽快にスタートする。それはそうです、”The Sidewinder"なんですから。それはそれとして、続く2曲目のここでドラムを叩いているAl Fosterのペンになる"Bonnie Rose"が素晴らしい。おそらく1曲目との連続性もあるかと思われますが、特にConrad Herwigのトロンボーンは悠々たるソロを聴かせてくれる。ここまではRotondiも加わったセクステット。3、4、7、8曲目はカルテットによる演奏で、Seán Lyonsは音量豊かでロリンズを彷彿とさせもするテナーを聴かせますが、おやっと思ったのがピアノのHazeltineで、ほぼ右手だけで訥々と転がすような抑制の効いたピアノ・ソロを聴かせてくれたのが実に新鮮。このCDのHazeltineを聴くだけでも儲けものだと思います。5、6、9曲目はTom Harrellが加わったクインテット。6曲目の"Woody’n You"のテーマをそれだけ崩して演奏するなら、1曲目に倣って曲名変えても良かったんじゃないかと思ったり、Seán Lyonsのクレジット曲はネタ元があるだけにこれだけは気が引けたのだろうか?などと余計なことを思ったりもする。堅実に低音を確保するべース、やはり演奏全体を締めているドラムをはじめ、どれもこれもとても楽しく聴くことが出来ました。エリック、グラントの後、ちょっと気にかけてみようかなと思えるテナーが出て来たことが一番の収穫でした。


2 整理しようと思ったのだけれど・・・M篇

    オークションに出す方が良いのか、専門店に買い取ってもらう方が良いのか、残した方が良いのか・・・
    整理している中で、こんなのが眠っていたというものの中から・・・でも、どうしよう・・・。

THREE OF A KIND / MADESN-DOLPHIN-COX (MINOR MUSIC: MM801039) 1994

Players: Peter Madsen(p), Dwayne Dolphin(b), Bruce Cox(dr),

Tunes: Paul's Pal, I'm Old Fashioned, Makin' Whoopie, My Buddy, Take the Six Train, Everytime We Say Goodbye, On a Misty Night, Three of a Kind, Between the Devil and the Deep Blue Sea, Danni,

今回の<M>篇で、整理してみて「アレッ」と思ったうちの1枚がこれで、ん〜いつの間にあったんだろうかと記憶を辿ったところで行き着くわけもなく、紙ジャケの端切れが擦れているところをみれば、思いだすはずもない昔に手にしていたのだろう、というわけでどうして今まで顔を出さなかったのだろうかというくらい出ていて当然のような実に耳に心地よく響くピアノ・トリオで、ピート・ジョリーが弾きそうな軽快な"Paul's Pal"から「これは良いぞ」という予感に包まれながら、2曲目もこの路線で続き、3曲目の"Makin' Whoopie"の選曲におけるまったり感溢れる演奏に思わずニコリとするような、といった具合で進み、バラードの"Everytime We Say Goodbye"や"On a Misty Night"などでのピアノの鳴らし方の上手さに感心し、メンバーが各自1曲づつ提供したオリジナルを挟みながら、何かアッという間に最後まで聴き通しました。実はPeter Madsenはリベラルな印象があるのですが、このレーベルでの録音は比較的オーソドックス路線だったようで、もっと早くに認識すべきだったと今更ながら後悔しております。この後、このトリオは同レーベルにS・タレンタインとの共演盤を録音していた。


STELLA / LUIGI MARTINALE STANDARD QUARTET (DISCHI DELLA QUERCIA: 128063-2) 2004

Players: Luigi Martinale(p), Gigi di Gregorio(ts,ss), Stefano Risso(b), Paolo Franciscone(dr),

Tunes: Stella by Starlight, Alone Together, Night and Day, Just One of Those Things, East of the Sun, Falling in Love with Love, Tenderly, What is This Thing Called Love,

とりあえず1曲目はなかったことにして、気を取り直して?2曲目から聴く態勢を整える。Luigi Martinaleの中でも「ホッとする」ようなお馴染みの曲目が並んでいるCDには違いないですが、最初からこれですから先が思いやられると疑心暗鬼になりながら2曲目は何とか通過します。おそらく入手したときには、ちょこっとだけ聴き「うわっっ!」と思って積んでしまったのではないかと推測します。最初の曲は「おれのステラを返せ」などと大袈裟なことを思うわけもありませんが、これを最後にしてくれていたら、今に至ってここで出て来たなどということはなかったかもしれません。Luigi Martinale自体は、硬質な鍵盤叩きのタッチと粒だったフレーズで個性も備えたピアニストで、ポール・デスモンドと共演してほしかったなどと何故か思ってしまった。演奏曲は、オーソドックスなリスナーにとってはいずれも一筋縄ではいかない演奏展開ですが、もちろん存分に聴き応えがあります。むしろ、スタンダードが並んでいるこっちよりはオリジナルばかりの他のCD、例えば"EYES and STRIPES"の方が良かったりするかもしれません。


AGAIN! VOLUME 2 / ROB MCCONNELL AND THE BOSS BRASS (PAUSA: PCD-7149) 1985(1978)

Players: Arnie Chycoski;Erich Traugott; Guido Basso; Sam Noto; Bruce Cassidy(tp,flh), Ian McDougall; Bob Livingston; Dave McMurdo(tb), Ron Hughes(b-tb), Brad Warnaar; George Stimpson(fr-hrn), Moe Koffman(as,ss,fl), Jerry Toth(as,cl,fl), Eugene Amaro(ts,cl,fl), Rick Wilkins(ts,cl), Gary Morgan(bs,b-cl,fl), James Dale(el-p,p), Ed Bickert(g), Don Thompson(b), Terry Clarke(dr), Marty Morell(per), Rob McConnell(v-tb),

Tunes: Tickletoe, I Hear a Rhapsody, Pellet Suite: No! Not Sir Henry; Last Summer; The Back Bacon Blues; BB Gun,

Boss BrassのCDもあまり取り上げることはなかったような気がしたので、あまり目にしない録音を。1968年に結成したというから、すでに40周年を過ぎている老舗バンドではありますが、21世紀に入ってからはバンドとしての録音活動はなくなってしまっているようです。主要メンバーも高齢化して亡くなる人も出て来たからなのだと思われます。ボスはスモールバンドで積極的に現在でも活動しています。30年に及びながら、演奏全体の雰囲気は、いつの頃の録音であるかはなかなか当てにくかったりして、つまりそれくらいボスブラス・サウンドは一貫しているということでもあります。とにかく「す〜っ」と耳に入ってくるそのビッグバンド・サウンドが最大の特徴。バンドのアンサンブルももちろんですが、傑出したソロイストが各セクションに揃っていることが抜群の魅力で、それも各セクションにタイプの違うプレイヤーが在籍したことではなかったかと思います。また、個人的にはこのメンバーによるリズム・セクションが好みで、ジムさんがピアノ、ドンさんにはやはりベースを弾いていてもらいたい。Terry Clarkeのドラムが実に優しい。初期の頃のLP音源のCD化はまだでしょうか?


ELLINGTON'87 / MACPHERSON-JONES-SWAINSON (SACKVILLE: SKCD2-2043) 1987

Players: Fraser MacPherson(ts), Oliver Jones(p), Neil Swainson(b),

Tunes: Sophisticated lady, Do Nothing till You Hear from Me, Black Butterfly, Things Ain't What They Used to Be, Satin Doll, Lush Life, It Don't Mean a Thing If It Ain't Got That Swing, Solitude, I Let a Song Go out of My Heart, I Didn't Know about You, Just Squeeze Me, In a Mellotone, Take the A Train,

カナダ繫がりでFraser MacPhersonを。僕が初めて聴いたときにはもうすでにヴェテランの域に達しているテナーマンだった。スコット・ハミルトンがコンコードから矢継ぎ早に録音を出していたあたりで、その流れで国内盤は出されていなかった(と思う)輸入盤で、確かどこかのプラネタリウムでのライブ盤を聴いたのが最初だと思う。W・ルーサーのベース、お馴染みO・ギャノンのギターとのトリオで、編成そのままの実に渋い内容だった。その後コンコード盤で何枚か手にしたと思うのですが、そのアナログ盤が見当たらない、実家の何処かにあるのかもしれない。さて、こちらもトリオと言えば、間違いなくそうで、ベース、O・ジョーンズのピアノ、そしてテナーです。ただし、"Lush Life"はピアノ・ソロ、"It Don't Mean a Thing If It Ain't Got That Swing"と"Solitude"はピアノとベースのデュオです。エリントンのいずれ劣らず有名曲を何事もなかったかのように演奏は続き、演奏は終了する。ピアノはピーターソン、ベースはブラウン、テナーはマクファーソン、「これでいいのだ」、というところ。スウェインソンのベースの響きが良い。



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