first updated '2009 Aug. 3
modified 09/08/04

JAZZ COMMENT ? 68


 <今回のメニュー> 

      1 ここしばらく聴いているもの

      2 整理しようと思ったのだけれど・・・K/L篇


1 ここしばらく聴いているもの
    

7 NIGHTS AT CENTRAL / LLUÍS COLOMA TRIO (SWING ALLEY: SA017) 2009

Players: Lluís Coloma(p), Manolo Germán(b), Marc Ruiz(dr),
Tunes: Hurricane’s Boogie, African Gospel, Coloma’s Boogie, Sleeping, Betsy’s Silent Movie, Campi qui Boogie, Bumble Boogie, Darkness Dance, Longhair’s Tribute, The Spirit of the Blues, Cromatic Boogie, Georgia on My Mind,

曲名の通りブギウギです。ピアノ・ソロのさわりで耳にするくらいで、CD丸ごとなんてなかなか聴く機会はありません。日本でも「レ・フレール」の斎藤兄弟をちょっと聴いたくらいで、ジャズ史の文脈でピート・ジョンソンとかアルバート・アモンズあたりを聴いて知っているだけです。ジャズ史ではストライドの方がお馴染みかもしれない。スペインのピアニストで、マドリードでのライブ。いきなり圧倒的な運指テクニックで度肝を抜く(ブギの世界では当たり前なのかもしれないけど)。何かの曲を連想しながら聴きつつも、それが何か未だ判然とせず気持ち悪い状態が続いていたのですが、「剣の舞」と判明しました。曲目は「熊ん蜂の飛行」が原曲の” Bumble Boogie”とH・カーマイケルの” Georgia on My Mind”を除いてLluís Colomaのオリジナルです。ジャズ史において初期のピアノは単独楽器として演奏されていたわけで、ラグタイム、ストライドしかりブギもそうだった。だから、ここで聴かれるようなベース、ドラムとのピアノ・トリオのスタイルは異態ということになり、ピアノ単独でブギを演奏するより、ジャズではその料理法が注目されることになります。まあ、ピアノのブギにベースとドラムが如何に絡んでトリオとしてのスタイルを確立していくかに過ぎないのですが。むしろ、ブルーズやR&B、ロックのジャンルのリスナーの方に熱く迎え入れられるかもしれない。ガーっとブギが続いた後のゆったりしたR&BプロトタイプのようなSleeping”に癒され、ホンキートンクな曲へと展開し、ピアノ・トリオの頃のエルトン・ジョンや、ベン・フォールズ・ファイブを彷彿とさせる後半へとなだれ込みます。予定調和的といえばそれまでですが、しっかりしたテクニックに裏打ちされた演奏はいかなる言説をも跳ね飛ばす。素晴らしい。


BLOWN AWAY / NIELS TAUSK QUINTET (JAZZ ‘N PULS: BMCD 75388) 2007

Players: Niels Tausk(tp,flh), Ferdinand Povel(ts), Peter Beets(p), Jos Machtel(b), Joost van Schaik(dr),
Tunes: Bill, Blown Away, Nascimento, The Life We Deserve to Live, Blue Silver, Ana Maria, The Maestro, Laura, Bessie Blues,

リーダーのNiels Tauskが敬愛してやまないジャズ・ミュージシャンたちに捧げた曲目と演奏で綴られたCD。ライナーには同じペットではClifford BrownKenny DorhamBlue Mitchellなどの名前が挙がっていることからも、ハード・バッピッシュなトランペットの音色とフレーズを思い浮かべると聴こえるような、そんな音が確かに出てきます。ただ、録音の優しさにもよるのでしょうが、先達たちのような深い鋭さや陰翳を潜ませるにはいま少し蓄積がいるのかもしれません(ジャズの必要十分条件ではないですが)。メンバーの名前を見た段階ではピアノのPeter Beetsのクレジットがやはり真っ先に目に飛び込んでくるのは致し方がないにしても、それが人寄せパンダとなって多くの人に聴いてもらえるチャンスが増加するとすれば、それはそれで大変喜ばしいことです。リーダーのNiels Tauskのペットは、ハード・バッパーでありながらいわゆる唄心を忘れなかった上記の先人たちのように、噛み締めるようなフレーズを綴っていきます。これを支えるベテラン・テナーのFerdinand Povelが素晴らしい。実に爽快かつ豪快、ハード・ドライブの効いた音色とフレーズでがっしりとバックアップしていることで、Niels Tauskが引き立っているように思われます。で、何か「あれっ?」ていう気がしないでもないのがPeter Beetsで、単調で凡庸なピアノに終始しているわけでもなく、バック演奏にアクセントをつけたりしているのですが、何なんでしょうねぇ。彼にしてみれば文句言われるような下手な演奏しているわけでないと言いたいでしょうけど、まあ有名税みたいなものでしょうか。ちょっと損してるかな。


FLEXICON / THOMAS MARRIOTT (ORIGIN RECORDS: 82526) 2009

Players: Thomas Marriott(tp,flh), Mark Taylor(sax), Bill Anschell(key), Jeff Johnston(b), Matt Jorgensen(dr), Joe Locke(vib)*,
Tunes: Take It to the Ozone*, Masqualero, Spring Is Here, Little Frances, Detour Ahead, Brothers & Sisters, You only Live Twice*, Circadian Rhythms, Almost Blue,

こちらはペットでも、どちらかといえば新主流派系になるでしょうか。前回はどこかCTI風な印象が漂っていましたが、そんな印象を継続させつつ今回はよりコンテンポラリーなハード・バップセッションになっています。最近ますます隆盛を極めようかという勢いを見せる、アメリカのノースウエスト・コースト・ジャズ。フレディ・ハバードというかロイ・ハーグローブというか圧倒的な疾走感で始まる1曲目(フレディの作曲ですが)はそんな勢いをそのまま表象している。出だしが「スカボロー・フェア」にちょっと聞こえなくもない2曲目は、M・デイヴィスからショーター路線を踏襲(ショーターの作曲ですが)。リーダーのみがフロントのカルテットによる3、5曲目は、何故かリーダーのペットは音が流れてしまい、ピアノの方が印象に残ってしまうのがちょっと残念で、クインテット演奏での方がメリハリがきいているように聞こえるのは何なんだろう。何で選曲されたかわからない唐突に演奏される映画『007は二度死ぬ』は、さすがにJoe Lockeのビブラフォンが雰囲気を醸成していて、ペットが金曜ロードショーのニニ・ロッソみたいだと言ったら怒られますね。最後のエルヴィス・コステロの” Almost Blue”はピアノとのデュオで、この人バラード演奏の時(オープンなら)はこのフォームで吹いた方が良いような気がする。基本、ミディアムからアップ・テンポで、かっこよさをアピールするスタイルが似合っていると思う。とりあえず聴いてみようかと思われる場合には、2007年の”Both Sides of the Fence”からどうぞ。


AFTER DARK / JEREMY MANASIA (POSI-TONE: PR8043) 2009

Players: Jeremy Manasia(p), Barak Mori(b), Charles Ruggiero(dr), Ian Hendrickson-Smith(as)*, Jane Monheit(vo)+,
Tunes:Ruggburn, Arch Eyes, Ria, Search for Moonlight, Stepping Stones, Soul Eyes, When You Smile, Jake’s Dilemma, Bayside Reflections, I’m Wishing, Just One of Those Things, Jerry’s Blues, Afterthought,

昨年あたりからやたら目立ち始めたレーベルPOSI-TONE。カタログに乗っている名前を見れば、基本はメインストリーム路線だなと思われるので、「これはどうなんだろう」と思っても出てくる音がある程度予想できるのが嬉しい。でも、曲目にクレジットがないので、数曲以外はオリジナルが多いと推定するしかないのはいけません(Search for Moonlight”は”’Round Midnight”、”Jakes Dilemma”は”The End of a Love Affair”?など原曲当てクイズが出来そう)。それでどうしようかなと思う一枚ではあるのですが、ただジャケットにIan Hendrickson-Smithの名前が・・・。で、ピアノはスタイルとしてはとっても普通にジャズ・ピアノを弾いてくれるいい人で、左手と右手のバランス感覚も良く、硬質で堅い鍵盤音を出して聴かせてくれる、とっても好みのタイプでありました。どれも良い演奏に違いないのですが、やはりハイライトはIan Hendrickson-Smithが唯一参加しているMal Waldronの”Soul Eyes”でしょうか、驚きのボッサ・ビートによるアレンジで、聴いてみればこれが何と填っていることか。よくよく考えると、Ian Hendrickson-Smithだからそれも十分あり得たなと思うのも癪に障ったりして。突然ヴォーカル曲になるのはどうしてなのかわからぬまま、アメリカ的でなく北ヨーロッパ的雰囲気が横溢しているJane Monheitは器楽的なヴォーカルを聴かせるから、これも良いのかもしれない。913曲目はソロです。お薦めCDですが、” Ria”が最後フェイドアウトするのはないんじゃないでしょうか。


JAZZ FOR CHILDREN / MICHIO NOGUCHI QUARTET (JAZZIN: DDCZ-1613) 2009

Players: Michio Noguchi(dr), Kenichi Yoshida(p), Yukinori Narishige(b), Yushi Miyano(as),
Tunes: となりのトトロ、風の谷のナウシカ(OP)、君をのせて、ふたたび、アシタカせっ記、時には昔の話を、崖の上のポニョ、遠い日々、テルーの唄、海の見える街、さんぽ、マルコとジーナのテーマ、風の谷のナウシカ、人生のメリーゴーランド、やさしさに包まれたなら、

「おーっ!宮野裕司」が入っているではないか。それもジブリ・ワールド集ではないか。ということは「Dave Digs Disney」ではないか。プロデューサーは偉い。僕と同じことを考えていた。YouTubeの動画にあるように、今度は潮先郁男さんとのデュオは如何でしょうか。閑話休題。いきなり朴訥でハスキーな宮野さんのアルト・ソロに続いてピアノがかすかにテーマを奏でる出だしなんて、まさに彷彿とさせます。実に軽快な滑り出しで、続くナウシカのオープニングなんてどうするんだろうと思っていたら、これも実にあっさりと思い切ったアップテンポでの処理に妙に納得。贔屓目かもしれませんが、この宮野さんのアルト・スタイル故に成立しているのではないかと思われます。ブルーベックを意識しているかどうかわかりませんが、意識しながらもブルーベックほどには弾きすぎない端整でシンプルなフレーズを紡ぐピアノがアルトに合っている。それはリズム隊にも言える。猥雑さの対極にある映画と音楽の演奏には、こうした素朴さによって圧倒的な力が生み出されるのだろう。そして、全く単純に静謐に描いてみせることなく、根底に潜む信念をごり押しするでなく、その世界観を表象している。「ポニョ」とユーミン曲は通俗的に流れがちな所をさすがにぐっと踏ん張っているようですが、堪え切れているのかな?さて、タイトルからすれば、単純に子供たちにジャズをということなのでしょうか。この世界観が伝わるのかどうかは量りかねるところで、まあこのフワッとした世界をフワッと捕まえてもらえれば良いのかもしれません。


SONGS WE DIGS / KLAUS IGNATZEK TRIO (NAGEL-HEYER: CD 101) 2007
Players: Klaus Ignatzek(p), Jean-Louis Rassinfosse(b), Hans Dekker(dr),
Tunes: Invitation, Two for the Road, Foolish Door, El Gaucho, 502 Blues, Voyage, when Sunny Gets Blue, Beautiful but Why?, Star Eyes, If I Should Lose You, Woody’n You, Caravan,

このトリオは良いです、抜群に良いです。今、一番よく聴いています。記録でなく、記憶としてここに出しておこうと思います。また忘れるといけないので・・・。最初カタログで見た時どうしようか迷っている内に、月日が流れ、今回再掲されているのを見て「あっ、そうだ」と思いだした。思いだして良かった。これは聴き逃せない。好きな曲が3曲入っていることだけが理由ではありません。ジャズ・ピアノを聴いている、そんな思いというのか恍惚感みたいなものが沸々と体の奥の方から湧いてくる。訥々と鍵盤を叩いているかと思えば、流麗で華美なフレーズを奏でる、はたまた素早いパッセージを乱れることのない指使いで早弾きする、そんなイ(グ)ナチェクのピアノについてこれ以上語ることはありません。ピアノ・トリオファンは、ただ・・ただ・・必聴。


2 整理しようと思ったのだけれど・・・K/L篇

    オークションに出す方が良いのか、専門店に買い取ってもらう方が良いのか、残した方が良いのか・・・
    整理している中で、こんなのが眠っていたというものの中から・・・でも、どうしよう・・・。

VERY EARLY…VERY LATE / SØREN KRISTIANSEN TRIO (STUNT: STUCD 01012) 2000

Players: Søren Kristiansen(p), Thomas Ovesen(b), Mikkel Find(dr),
Tunes: Got Plenty O’Nuttin’, Very Early, Never Let Me Go, For minors Only, Con Alma, All I Touch, Have You met Miss Jones?, I’m through with Love, Laverne Walk, Smoke Gets in Your Eyes, Goodbye,

『ポギーとベス』の曲でもあまり取り上げられることのない” Got Plenty ONuttin’”から始まる。出だしは何か聴いたような気がしていたら、そうか「山の音楽隊」にそっくりなんだとすっきり。この人ピアノ・トリオは結構珍しくて、最近出されたのはソロのCDが続き、それまでのCDもホーン奏者との共演(Jesper Thiloなど)がほとんどで、その意味で本CDは今となっては貴重かもしれない。僕自身の隠れ名盤であり、ピアノのスタイルはジャズピアノのメインストリームを堂々と歩んでいるといったもので、何にも考えずに身を委ねられることが素晴らしい。ゆったり聴かせるところは聴かせ、リズムに乗るところは敢然と乗る、当たり前ですが、このメリハリ感が良いのかもしれない。タッチが硬質で重厚感がありながら、耳に馴染みやすい粒立ったフレーズが魅力でしょうか。まあ、ジャズピアノであることが何よりなのですが。重厚感あるベースを響かせるThomas Ovesenは中高音域のピアノのフレーズを底辺から支え、所々でアクセントを効かせるドラムのMikkel Findも軽快かつ繊細な演奏を聴かせる。ただ、ちょっと残念なことは、データでは2日にわたって録音されていて、意図されたモノか判然としませんが、明らかに定位や録音レンジに差があるように聴こえてくることです。トリオの演奏自体は初めから終わりまでとても楽しく聴けるので、ベースの重厚な迫力、ドラムの存在感、ピアノの享楽性が全篇を通じて保たれていたら完璧なアルバムになっていたと思われます。


WAITING IN THE WIND / GEOFF KEEZER (SUNNYSIDE: SSC 1035CD) 1989

Players: Geoff Keezer(p), Rufus Reid(b), Anthony Reedus(dr), Billy Pierce(ts,ss), Bill mobley(tp), Steve Nelson(vib),
Tunes: The Drawing Board, ACCRA, Pierce in Earth, Who Cares?, Waiting in the Wind, Personal Space, Tropopause, Ba-Lue Bolivar Ba-Lues-Are, I Didn’t Know about You, Babes in McCoyland, Three in One,

十代にその才能を見いだされてデビューを飾るジャズ・ピアニストも珍しくはなくなり、例えばちょっと前のTaylor Eigsti、最近ではEzekiel Victorがいます。このCDの主役Geoff Keezerもこの録音時は17才だったというから驚き。加えて11曲のうち7曲が彼のオリジナルであることにさらにびっくり。出だしの3曲が先ずそうで、特に3曲目のバラードがテナーのピアースの好演もあって堂々とした出来になっています。ただピアノはちょっと弾きすぎ感がなきにしもあらず。これに続くアップテンポで演奏されることが多いガーシュインの” Who Cares?”では、若さにまかせてジャンジャン弾きまくって良いと思います。” Personal Space”から” Three in One”まで2曲を除いてトリオ演奏が多く、後者のThad Jonesの曲ではRufus Reidのベースを中心に、師匠格でもあるジェームズ・ウィリアム(で、” Babes in McCoyland”なる曲目があるのかな)のライナーには記述がない、ピーターソン・トリオ的展開を聴かせるのがおもしろい。まあこの曲は誰が演奏してもこうなるのでしょうけど。1曲だけ” I Didnt Know about You”でピアノ・ソロを聴かせます。この録音以降は順調に?当時のいわゆる新主流派とか新伝承派の系統にいた、きわめて現在的な位置にいたように思われますが、根っこは非常にオーソドックスなジャズにあって、そこからエスニック展開に向かったような印象があります。確か日本にもしばらく滞在していたように聞いたことがありますし、琉球音楽にも高い関心を持っていたような。


COLOUR / HUGH LAWSON (SOUL NOTE: 121052-2) 1983

Players: Hugh Lawson(p), Calvin Hill(b), Louis Hayes(dr),
Tunes: Pictures at an Exhibition, The Tinkler, If, Georgie Porgie, The Beast from Bali-Bali, 23rd Street Blues, Creepy Chicken,

もう1枚の”Prime Tiem”と日本制作盤の3枚しかリーダー作がない故に著名であるかもしれないのだと、つい最近知ったHugh Lawson。日本制作盤はありませんが、何故かしら我が家の棚には3枚のうち2枚が鎮座していた。このCDが手元にある理由はハッキリしている。それは1曲目の『展覧会の絵』と3曲目の『イフ』にあります。演奏曲目が決め手になることが多い僕にとって、これはちょっと惹かれるものがあります。ムソルグスキーの『展覧会の絵』といえば、ELPに馴染みがある世代には、本格的なジャズではどんな演奏が展開されているのか楽しみなところがあります。また、Breadの曲の中でも有名で、エバーグリーンと言ってもいい『イフ』もどう料理されているのか期待感があります。で、実際はどうであったかと言えば、率直に言って期待通りであって、前者はアップテンポが意外だったし、後者はアドリブ展開が「ジャズはこうなるんだ」と思わせるものがあるとは言え、期待それ以上でも以下でもなかったのは良いのか悪いのかという意味で期待通りだった・・。この2曲以外はHugh Lawsonのオリジナルで、比較的ゆったり目に時間をとりベースやドラム(ただもう少し暴れさせろとアピールしている?さすがです)にもスペースを与えて演奏しています。 この人ちょっとお茶目なところも持ち合わせているのか、『イフ』のピアノのフレーズ展開、ちょっと聴きピーターソンっぽい部分もあって、最後の数小節は”Waltz for Debby”?さらにどういう意味かよくわからない感がある” The Beast from Bali-Bali”にしても”My Funny Valentine”っぽいし、その他にもなかなか楽しませてくれます。朴訥な音の紡ぎ方が素晴らしく良いです。


‘en blanc et noir’ 2 / ERIK VAN DER LUIJT (DAYBREAK: DBCHR75025) 1999

Players: Erik van der Luijt(p), Hans Mantel(b), Joost Kesselaar(dr), Ilsa Huizinga(vo)*,
Tunes: It’s a Raggy Walz, Sureal, Time after Time, Dein ist Mein Ganzes Haerz, I Love You Porgy, Madly, The Thrill Is Gone, Willow Weep for Me, Things Ain’t What They Seem to Be, Someday My Prince Will Come*, The Nearness of You*, I Just Found out about Love*, In the Wee Small Hours of the Morning,

面白ジャケットで周知されるというちょっと変わった注目のされ方をしたのではないかと思われるErik van der Luijt。今日では割と名前が知られているけど当時はまだそれほどでもないピアニストたちに、たぶんある程度好きなように弾いてもらっているオランダのDAYBREAKによるシリーズの第2弾。Erik van der Luijtの粒だってコロコロと転がるようにスイング感が溢れるピアノと遊び心が満載で実に楽しい。”Express Yourself”のやや律儀で重厚なピアノを求める分にはちょっと期待に添えないところがあるかもしれません。2、6、9曲目はソロ、1012曲はヴォーカル入り(10曲目はヴォーカルとピアノ、あとはベースが加わる)。4曲目のタイトルは英語で言えば”Yours is My Heart alone”。2曲目から4曲目へかけてはお気に入りの曲が続き堪りません。しっかし、” I Love You Porgy” の出だしのメロディの美しさはどうだろう。ちゃんと弾いてくれて嬉しい。Erik van der Luijtのピアノの良いところは、特にソロやバラード演奏だとよくわかる、その音の「間合い」だと思います。ここで流す、ここで立ち止まってみる、ちょっと音を飛ばすといった間合いの取り方が良いのだと思う、というか不整脈の持病を抱える僕に合っているというだけのことですが。”Madly”はメドレーで11曲にも及ぶおなじみの曲目を5分でなぞってくれます。ヴォーカルは特にどうこう言うことはありませんが、容姿はTV番組『Sex and the City』に出てきそうな感じ。Erikさんの奥さんだそうで、そういうことかと納得。ホイジンガっていう名前が良いですよね、古典的名著とされる『中世の秋』を想い出させて。



INVITATION TO JAZZ SECTION の最初へ