first updated 2009 April.20

JAZZ COMMENT ? 66


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1 整理しようと思ったのだけれど・・・E/F/G 篇
      2 最近聴いたもの


1 整理しようと思ったのだけれど・・・E/F/G 篇
    オークションに出す方が良いのか、専門店に買い取ってもらう方が良いのか、残した方が良いのか・・・
    整理している中で、こんなのが眠っていたというものの中から・・・でも、どうしよう・・・。

EAST WEST / BARRY ELMES QUINTET (CORNERSTONE: CRST CD102) 1993.10.08.-09.
Players: Barry Elmes(dr), Steve Wallace(b), Ed Bickert(g), Kevin Turcotte(tp), Mike Murley(ts),
Tunes: Tofino in May, Grooveyard, Blue Jerome, Devilette, De Souza, Tin Tin Deo, Bye-Ya, Quintessence, Flat Rock, Slow Boat to China,

もれ承るところによれば、このメンバーでライブをやっていたら、えらく感じが良いので録音もしてみましたというところらしい。制作レーベルが、すっかりおなじみになったRichard Whitemanも録音を残すCORNERSTONEなので、きこえて来るジャズはある程度予測通りと言えます。メンバーに関しては、ドラマーだけはどうも馴染みがなく(リーダーであるBarry Elmesはカナダではそれ相当の大御所らしい。ただライナーに載っている彼の写真はひどくアナクロな印象を拭えず、いつの時代の写真なんだろうと)、残りのメンバーはベースとギターはともかく、フロントの二人はどうだっけかなと記憶をたどれば、Rob McConnellでの共演メンバーでありました。とうことで、カナディアン・ジャズ・オールスターズとでも言えばいいのでしょうか。ドライブ感あるハスキー気味のテナーと、よく鳴るペットがバンドを引っ張り、底の厚いベースと安定したビートを提供するドラムがこれを支える。にもかかわらず何かしら全体的にハードバップにつきものの激情感のようなものが薄いというか、柔らかな印象を受けるのは、バンドがピアノレスだということ、そしてEd Bickertのギターの参加によるものなのだろうと思われます。意味はわからないではないジャケットですが、にもかかわらず載せようとの意欲がなぜかしら湧かない、この一点がようやくここに出てこざるを得なかった要因だったのだろうか。ただ、コンテンツは抜群に楽しかったのですが


MOUNTAINS OF FIRE / GEOFF EALES (BLACK BOX: BBJ1006) 1998.07.21.-23.

Players: Geoff Eales(p), Nigel Hitchcock(as)*, Roy Babbington(b), Laurence Cottle(b)*, Mike Smith(dr), Ian Thomas(dr)*,
Tunes: Here There and Everywhere, Like Someone in Love, Autumn Leaves, Young and Foolish, Falling in Love again, Blues for Shirl*, You Must Believe in Spring, Have You Met Miss Jones?, I Fall in Love Too Easily*, Stella by Starlight, A Child Is Born, Mountains of Fire*, Some Other Time,
イギリスのヴェテラン・ピアニスト。50歳代後半ぐらいなのでしょうか。そのピアノはオリヴァー・ジョーンズとかグレゴリィ・ファインズあたりの系譜、といったら変ですが、になるのでしょうか。ただ二人よりは、音数の多さでは及びませんがタッチには柔らかさが感じられるような気がします。*付きはアルトが加わったカルテットで、ベースとドラムもメンバーが替わります。ただ、カルテット演奏でのベースが、Thomas Karl Fuchsと同様、エレキであるのは一体どうしたことでしょうか。アコースティックなら20世紀のうちに取り上げていたかもしれなかったのに、というのは大袈裟で、にしてもこれはやはり残念。ということでピアノはトリオ中心で聴いてしまいますが、Mike Smithのブラシがなかなかレスポンス良いと言うこともあります。また、Geoff Ealesは曲中での「引用」の器用さも特徴と言え、結構楽しみを与えてくれています。

COLOURS AND STANDARDS / THOMAS KARL FUCHS TRIO (EDITION COLLAGE: EC509-2) 1997.07.06.

Players: Thomas Karl Fuchs(p), Dieter Schmalzried(b), Ted Glockler(dr),
Tunes: Rhapsody in Blue/The Man I Love, Wonderful, There's No Greater Love, Stella by Starlight, Lullaby of Birdland, Someday My Prince Will Come, On Green Dolphin Street, Caravan, Body and Soul, Blues for Joe, Run and See, Black Orpheus, Pepper Con Salsa, Colours,
見ようによってはちょっと怖いジャケットで、ちょっと損しているような気がする。と言いながら、これまで取り上げられなくてここで出てきたのはジャケットが理由だったわけではなくて、ベースがエレキだという些細なことでしかなかった。どうも苦手です、ジャズでのエレベは。ウッドベースにピックアップをつけてボヨンボヨンでデロデロになっているとしても、まだエレベよりはましだと思っている、どうも偏見みたいなものがあります。ジャズ以外なら全然問題ないんですが。で、本CDはライブ盤です(狭い会場でウッドベースが入らなかったのか?)。ピアノのスタイルは思い描いたほどにはモダンではありません。単音フレーズを積み上げていくというよりは、ブロック・コードを多用して表情を作っていく。もっと尖っているかなと聴く前は思っていたのですが、身構えたこちらが気が引けるくらいに当たり前のようなピアノでした。もちろんそれが良かったのですけど。ジャケットにはスタンウェイのピアノだとクレジットされてるのですが、ボクの耳が悪いのか(実際良くはありませんが)、どう聴こうにも調律の時期が過ぎてしまっているアップライトピアノのようにしかきこえないのが残念。

SECRET LOVE / PERE FERRÉ TRIO (SWING ALLEY: SA003) 2001.07.22.-23.

Players: Pere Ferré(p), Horacio Fumero(b), Peer Wyboris(dr),
Tunes: I Love You, Darn That Dream, I Should Care, Secret Love, Honeysuckle Rose, I Can't Get Started, Out of Nowhere, Lover Man, Speak Low, Moonglow, All of You, It Had to be You,

Pere Ferré1931年生まれというから、それはもうかなりの年齢であるにもかかわらず、少なくともこの2001年録音時のピアノには、スタイルは老練であるにしても、衰えは微塵も感じられない。日本で言えば、世良譲、八城一夫、秋満義孝あたりの世代にあたり、モダンスイングです。スペインはバルセロナ出身で、といえばテテさんを思いださざるをえないわけですが、実際テテさんのトラからチャンスを得て世に出たようです。ゴツゴツしたものもいいですが、曲はいずれも馴染みある大スタンダード大会となっているので、たまにはいわゆる「大人の~」も実に良いものです。気分を解放して、ゆったりとじっくり聴くには最適な一枚。


NEW YORK STRAIGHT AHEAD / DICK DE GRAAF & TONY LAKATOS (CHALLENGE: CHR 70033) 1995.12.18.

Players: Dick de Graaf(ts,ss), Tony Lakatos(ts,ss), Marc Van Roon(p), Santi di Briano(b), Billy Hart(dr),
Tunes: Another Two Ways, B Flat Brother, Vintage, December, New York Straight Ahead, It Might As Well Be Spring, In the Air, Peace, Grand Slam,

フロントに二人のサックス奏者がいるからと言って、必ずしもテナー・バトルというか、テナー・マッドネス仕様だとは限りません。本CDも一部そうではありますが、アレンジも考慮された(それほどではありませんが)アル&ズート方式と言った方が良いかもしれません。とは言うものの、テナーの方は通常のモード系テナーの域に収まり、取り立ててどうということはないのですが、実はテナー・バトルよりは二人がソプラノを吹いている方が、当方の気分が変わるからか、おもしろみがある。困ったことにむしろソロの方が気になるわけです。"It Might As Well Be Spring"Tony Lakatosがテナー、"Peace"Dick de Graafがソプラノのカルテットで聴かせます。どちらもバラードですが、これがまた良いので困ってしまいます。European Jazz Trioでブレイク前のモード系Marc Van Roon、さすがのBilly Hartを聴くことが出来ます。


THE END OF THE OPEN ROAD / TED GIOIA TRIO (QUARTET RECORDS: Q-1001CD) 1986.06.09.-11., 1987.10.19.

Players: Ted Gioia(p), Jeff Carney(b), Eddie Moore(dr),
Tunes: Stella by Starlight, A Sunday Waltz, Epilogue:Sunday Twilight, All the Things You Are, Siena, Lullaby in G, I Fall in Love too Easily, The Open Road, The End of the Open Road, Do I Love You Because You're Beautiful,

ジャス史というか黒人音楽史の研究者としての方が著名かもしれない。このCDより、"History of Jazz"をはじめとした何冊かの本によって知られていると思われます。最近刊は"Delta Blues"。ジャケットは眼にも優しくて悪くないし、これはどうして今まで出ていなかったか自分でもよくわからないのですが、2、5、7、10曲目とピアノ・ソロの比重が結構あるので、おそらくはピアノ・ソロが理由だったかもしれません。そんなに毛嫌いしているつもりはありませんが、ジャズのエレキ・ベースほどではないにしろ、ちょっと敬遠気味であることは確か。ただ、ここでのソロは、他のトリオ演奏の楽曲との整合性の中で演奏されているので、きつくはありません。ドラムのシンバルが気にはなりますが、ピアノ自体は早弾きでもなくモード系でもなく、タイトなタッチでメロディを紡いでいく、きれいなピアノです。"The End of the Open Road""Maiden Voyage"でした。


2 最近聴いたもの

Olé / KAZUHIKO TSUMURA (FIVE STARS RECORDS: FSY-508) 2008.12.20.

Players: Kazuhiko Tsumura(g), Bill Mays(p), Mattias Svensson(b), Joe La Barbera(dr), Keisuke Ohta(vln)*,
Tunes: Oclupaca*, 3 Lines, Greensleeves(solo), Greensleeves, Olé*, Blue's Circle, Abide with MeGreen Chimneys*, Peace, Last Tango in Paris*, A Thousand Islands, Bouquet of Blues,

寡聞にして存じ上げなかったジャズ・ギタリスト(田村博さんつながりなのでしょうか)ですが、これはUniversalな、と言うかとてつもなくコスモポリタンなCDができあがったものだと感嘆することしきり。これまでのこのレーベルからのCDにいつもあまり知らないDuke Ellingtonの楽曲が入っていて、今回もエリントンに違いないと聴けば直感するけど、タイトルもあまりお目にかからない曲から始まり、いきなりの「やられた感」。このギタリスト、下に出てくるMajor HollyBud Powellのように弾きながら唸るのですが、キースのような高音ではなく、パウエルのように声大ではないので気にするほどではなく、バッピッシュな演奏においてですから却って印象に残る。曲目の中で、オリジナル曲が結構バップ色が強く、他人曲がエスニシティ色がというあたりも面白い。全篇生のギターで通したジャズ・ギターのアルバムは、最近ではJesse Van Rullerあたりぐらいでしょうか。ヴァイオリンが入っているのも「アレッ」と思いはしたものの、聴いてみればそれは必然でしかなく、当たり前のようにそこにある。それにしても、Coltrane"Olé"って、チック・コリアの"La Fiesta"に化けていったのか?Coltraneの方が早いですよね?閑話休題。ベース、ドラムのレギュラーメンバーは言わずもがなですが、「おおっ」と思ったのがピアノのBill Mays。失礼ながら、この人こんなにすばらしいジャズ・ピアニストでしたっけ。8090年代あたりはコンコードを中心に活躍をしていたので聴いてはいたのですが、今回改めて非常に感心した次第。抜群に鳴るジャズ・ピアノを聴かせてくれます。そしてそれはさらにレンジが広くなった気がする、良好な録音のおかげでもあるかもしれません。


LIVE IN JAPAN 1977 VOL.1 / ZOOT SIMS (MARSHMALLOW RECORDS: MMEX-125-CD) 1977.07.29.

Players: Zoot Sims(ts,vo), Dave McKenna(p), Bucky Pizzarelli(g), Major Holly(b.vo), Jake Hanna(dr),
Tunes: Tickle Toe, Come Rain or Come Shine, Ricado Bossa Nova, More Than You knowTea for Two, Gone with the WindSend in the Clowns, Lover Come Back to Me, Gee Baby Ain't I Good to You,

少し前にズートの日本でのライブ盤を出せないものか云々、1977年来日時のなら即買いですけどといった話をあるところでしていて、まさか世に出て来るなんて思いもしなかったし、それもまさかの1977年の音源がということでびっくりした次第です。ネットでベイシーのリズムセクションだけのブルーズ演奏を見たときもひっくり返りそうになったんですが。何が出てくるかわかりません。ズート自身は一緒に演奏している他のメンバーが誰であれ、あらゆる演奏を通して「これはダメだな」ということはまずなかった本当に偉い人で、ですからボクの場合、ズートの共演者が誰なのかが大いなるポイントになるわけです。そういう意味ではこの1977年来日時は、気の置けないメンバーで、理想的なフォーマットだったと思います。いかなる組み合わせでも(デュオ、トリオ、ソロ、カルテット)演奏が可能という意味でも。実際、2曲目は3分の2はギターとテナーのデュオ、3分の1はピアノレスのカルテット、4曲目はピアノ・ソロ、5曲目はギター・ソロ。まぁ、ベースがビル・クロウかミルト・ヒントンならパーフェクトだったかな。でもメジャー・ホリーをベースで呼ぼうと思いついた人もすごいけど。CDの音質自体は音源の関係もあるのか決して良くはありませんが、また敢えてそうしているのかもしれないけれども、演奏内容自体はメンバーを想像して耳に描ける演奏が聴けるし、実にまた楽しいそう。それにしてもジャズメンのヴォーカルは何でこうも味わい深いのか。


EVERYTHING I LOVE / PIERO FRASSI TRIO (PHILOLOGY: w 386.2) 2008.03.08, 09.21.

Players: Piero Frassi(p,el-p), Filippo Pedol(b), Andrea Melani(dr), Vittorio Alinari(ts)*,
Tunes: Yesterdays, When I First Saw You There, Everything I Love, Nightfall*, Wives and Lovers, Chega De Saudade, I Hear a Rhapsody, Skylark, Walking Alone, Summing Up*, Everything I Love(alt.), Lotus on Irish Streams,,

ここ半年ぐらいにPhilologyの”Revelation Series”としてバタバタっと出たピアノ・トリオの中では個人的には一番取っつきやすいというか、耳に馴染みやすかったお薦めCD。このシリーズはなかなかジャケットが洒落たものも多く、それらのジャケットはいずれも目を引きました。耳に馴染みやすかったというのは、単純にジャズを聴くその聴きやすさ、その一点からいえばであって深い意味はありません。つまり、そのタッチとフレーズがジャズだということに他なりません(定義に拠りますが)。逆に、高尚?で、哲学的な楽理構成を求める立場からすると、「凡庸」に聞こえるかもしれません。うっかりすると聞き逃してしまうかもしれない耳障りの良さはジャズの宿命とも言える、その「凡庸」さこそが優れて重要なジャズの本質であり、全く違うタイプに思えるパウエルとエヴァンスでも、その「凡庸」さは共有されていて、失われることは決してなかった。さて、“Chega De Saudade”は通常のピアノ・ソロ、”Summing Up”でPiero Frassiはエレピを弾いています。実は私、エレピに弱い。弱いというのはエレピにはやられてしまうということで、またここでのPiero Frassiはアコースティックとはまた違う顔を見せてくれていて、チック・コリアみたいに電気と非電気のバンドを持ってもいいかもしれない。最後のマクラフリンのピアノ・ソロはこの際ちょっと無視しておきましょう。2曲でテナーが加わったカルテット。Vittorio Alinarihaはこれまで意識したことがないのですが、基本的にEric Alexanderが好みだと、注目してください。


SPACETON'S APPROACH / CLAY GILBERSON (ORIGIN: 82521)2007.08.28.-29., 2008.03.19.-20.

Players: Clay Giberson(p), David Ambrosio(b), Matt Garrity(dr),,
Tunes: It Might As Well Be Spring, From the Outside, Spaceton's Approach, Trust, Passing By, Solar, Beyond the Horizon,

アメリカはオレゴン州、ポートランドで活動中のClay GibersonがリーダーのCD。ここ十年ほどで、西海岸を北上した、ポートランド、シアトル、ヴァンクーヴァーを拠点に活動中のジャズマンたちの演奏がたくさん聴けるようになってきた。実にお手頃にCD録音や制作が可能になったこと、インターネットの急速な普及といったことが大きな要因なのだろうと考えられます。とりあえず、選択肢がどんどん増えていくのは嬉しいことではあります。さて、これまでClay Gibersonは、本CDを制作したORIGINレコードには、自己名義CD"Upper Left Trio"として、いずれも3枚のCDを録音しています。ですから、本作はとにかくORIGINレコードからの7枚目ということになります。アメリカ(カナダも含めて)の五大湖周辺とミネソタ州から西海岸の北部地域にかけてのジャズは、録音様式もひっくるめて北ヨーロッパ的色調が結構強く(歴史的に正統化される)、やはり作品的にはピアノ・トリオ中心であることが多いように思われます。2曲を除いてピアノのClay Gibersonのオリジナルです。オリジナルは「面白いか?」と問われると何とも答えようがない("Passing By"を除く)と言っておきますが、私的には1曲目だけで充分です。ちなみに、さらに私的には"Upper Left Trio"での彼のピアノの方が好みです。ここでの彼のピアノ自体はタッチやアタックがそれほど強烈でなく、どちらかというと音的にもフレーズ的にも細い感じがしますが、もちろんそれが難点というわけではありません。


LOOKING BACK / ANDY HERRMANN (MONS: MR 874462) 2007.11.13.-15.

Players: Andy Herrmann(p), Henning Sieverts(b), Tom Rainey(dr), Paul Heller(ts)*,
Tunes: Hymn to a Lost Love, Fair Play*, Looking Back, Honesty*, Hope, Indecision*,

久しぶりのMONSです。CDは出ているみたいなのですが、サイトが行方不明のまま、未だ捜索中、どこに埋もれてしまったのでしょうか。さて、本CDはすべてピアノのAndy Herrmannのオリジナル作品となっていて、これだけで気が引けてしまいそうではあります。1曲目、いきなりアルペジオで複雑な首都圏駅ホーム入出発メロディのようなピアノが聞こえて、それにアルコ弾きが重なって「こりゃダメか」と思っているうちに、リズミカルなドラムが登場して若干安心感が生まれてから、少しは続けて聴く気になるという次第です。でもこの曲、嫌いではないです。ピアノのスタイルとしては、明るくはじけて遠心力抜群のスイング感とドライブ感を兼ね備えたタイプではなく、ヨーロッパではしごく当たり前のような内省的なタイプですが、何かこちらまで暗くなって落ち込んでしまいそうな悲愴感はないので助かります。ピアノのタッチそのものはタイトで明快ですから、聴きやすいピアノ・トリオに仕上がっているのではないかと思います。3曲でテナーが加わります。Piero FrassiCDでテナーを吹いていたVittorio Alinariに近いと思いますが、彼よりも音量が豊饒で、ややゴツゴツ感もあり、こちらもお薦めなテナーサックスです。もう一人注目してみたいのはドラマーのTom Raineyで、ピアノに柔軟に反応して、ピアノ・トリオとしての演奏感を盛り上げるのに大いに貢献していると思われます。ベースは、全体演奏の時は音圧的にやや埋もれている感が否めないですが、ソロ・ワークは音もよく出ているし安定感は十分に聴かせています。


CHANGE OF SEASONS / TIM GREEN & TRIO CAMBIA (OA2REOCRDS: OA2 22049)2008.07.21.-22.,08.13.

Players: Tim Green(p,b), Mark Maegdlin(dr,p), Jake Vinsel(b,dr),
Tunes: Do You Hear What I Hear?, Everything's Alright, Little Altar Boy, Rise Up Shepherd and Follow, Meditation I: Winter Morning, A Child Is Born, Time for the Seasons, Linus and Lucy,

ユニークというのか、としか言いようがない試みが行われているCD。メンバー各自が主専攻に加えて副専攻を研鑽した上で、互いに研究発表会をしているような、そんな感じ。3人が三つの楽器すべてを担当しているわけではありません。そこまではいくら何でもできないでしょう。ですから、全体を通して誰が何の本職であるのかといったことはあまり気にならないし、またなる必要もないと思います。クリスマスをイメージして制作されたようで、これは結構良いアイデアであったかもしれません。音楽のシンプルさを前面に出すことでクリスマスの空気感がより生まれ、テクニック云々といったことは問題にならなくなると思われるからです。4曲目はピアノとアルコ弾きベースによる、ピアノ・ソロに近いデュオで、これに引き続く5曲目のピアノ・ソロへと流れていきます。Mark Maegdlinがピアノを弾く4つのトラックは、雰囲気的にテナーが本職のAndy Scherrerがピアノを弾くCOjazzのような感じに聞こえて「何か良い感じ」です。"A Child Is Born"もチャーミングだし、ゾンビーズの「二人のシーズン」はあっと驚く選曲です。とはいえ、Tim Greenがピアノ担当のトラックではやっぱりピアノが鳴っている気がする。凛とした透明感はやはりアメリカ北西部のジャズに通底することを証明するかのようなCDでもあります。



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