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JAZZ COMMENT ?(ジャズ・コメント?)60


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      1 今年のうちに、開き直ってピアノ・トリオ


1 今年のうちに、開き直ってピアノ・トリオ

TIFFANY / TAKAYUKI YAGI (FIVE STAR RECORDS: FSY-504) 2006 June 18
Players: Takayuki Yagi(p), Bruce Hamada(b), Joe La Barbera(dr),
Tunes: That's All, The Very Thought of You, O Grande Amor, The Song Is You, Tiffany, What's Is This Thing Called Love, Don't Explain, Beautiful Love, You Look Good to Me, The Good Life,
八木隆幸さんの新作。予告でジャケットの画像を見ていた時からの「この子誰だろう?八木さんと何の関係が?」との疑問がようやく解けました。今回のドラマーJoe La Barberaの娘さんで、名前がTiffany。この子のためにBill Evansが書いた曲が、五曲目に演奏されている"Tiffany"なわけです。なるほど!前回は"Twilight Time""Yours Is My Heart Alone"(下記にあるマイブームの一曲)、前々回"I Love Lucy"と密かに「そうそうこの曲大好き」といえる曲が入っていて、今回は"The Good Life"が入っていました。その上、"Tiffany"っていうチャーミングな曲まで教えてもらって、ありがとう。さて、ドラマーは晩年のエヴァンスについていたJoe La Barbera。繊細でありながらドラム自体は実に大きく感じさせる。この辺なんだろうか、エヴァンスが起用した理由は。CDを聴いていて、今回あらためて何か少しわかるような気がした、・・・だけですけど。今回はその意味ではJoe La Barberaトリオと言えなくもないかな?で、そのドラマーに引っ張られるように?八木さんはさらに好調で、実にスイング感溢れるフレーズをこれでもかと聴かせてくれます。「うまいっ!!」としか言い様がないくらいで、これからも密かに愛される絶妙なメロディーを持つ曲を弾き続け、楽しませてほしいものです。それから、前回同様、トリオ全体の良い雰囲気をきちんと伝えてくれていると僕は思うこのライブ録音、とても素敵で大好きです。

GOOD ROAD / DAVE PECK TRIO (LET'S PLAY STELLA RECORDS: LPS 2005-01) 2003. JUNE 8-11
Players: Dave Peck(p), Jeff Johnson(b), Joe La Barbera(dr),
Tunes: Yesterdays, Low Key Lightly, Green Dolphin Street, The First Song of Spring, Just in Time, The Star-Crossed Lovers, What Is This Thing Called Love, She Was Too Good to Me,
八木さんからのJoe La Barbera繋がりということで久しぶりのDave Peckです。随分と前にも書いてますが、この人、あの風貌でどこにこんな繊細さが潜んでいるのかと訝りたくなるようなピアノを聴かせてくれる。エヴァンスのピアノにはまだ無骨さが感じられますが、この人には見てくれほどは感じられない、というかほとんどない。別に外見はどうでもといいながら、それでも気にはなります。割と馴染みのあるスタンダードを選曲してくれるのはいつものことで、それをどう料理してくれるかが最大のポイント。いきなり暗〜い曲で始まるのはどうかと思ったりもしますが、"Yesterdays"とはっきり気がつかないまま一曲目が終わってしまったということもあり得る、そんなジャズ的なスタートはDave Peck的スタイルとして素晴らしい。エリントンの"Low Key Lightly"なんか、いろんな曲のメロディが浮かんでは消えていくような気がして、何の曲だか頭の中で収拾がつかなくなる。"What Is This Thing Called Love"もメロディは断片的にコードで出てくるだけとか。それでも聴けるのはフレーズがあるからなのだろう。

NIGHT & DISTANCE / THE ALEX LEVIN TRIO
Players: Alex Levin(p), Diallo House(b), Ismail Lawal(dr), Taylor Davis(dr), Yoshi Wakti(b),
Tunes: If I Should Lose You, Bossa A, Far from the Home I Love, Autumn in New York, But Not for Me, Night & Distance, New World,
何者だかわからないのですが、例えばDan Crayのように、自主制作CDから始まることも多々あるのでちょっと注目。さて、一定周期で気になる曲が変わるのですが、最近のマイブームの二曲目がこのCDの最初に入っている"If I Should Lose You"。明るさなど微塵も感じられない陰翳に満ちたせつないメロディラインがヘヴィローテーション中。(もう一曲は"I've never fall in love before"で、こちらはあっけらかんとしたやや明るいメロディがチャーミング)ここではストレートにごくごく普通にテーマを弾いて展開する演奏になっていて喜ばしく、やっぱりテーマをテーマとして聴けるのは、Dave Peckとはまた違って、嬉しい限りです。"Autumn in New York"はピアノ・ソロで、このピアニストの本質的部分を垣間聴くことができて良いのですが、もう少し短くても良かったかと思いました。最後は唐突にビョークの曲で終わる。ただ、このピアニストのキャラクターには合っているかな。上のDave Peckのようなジャズ・ピアノの愛好家の方には安心して聴いていただけるかと。

ON REQUEST / JOHAN CLEMENT TRIO (BAILEO MUSIC: BMP 137)  2006 FEB. 2-3
Players: Johan Clement(p), Eric Timmermans(b), Frits Landerbergen(dr), Jeroen de Rijk(per),
Tunes: Soft Wind, Robbin's Nest, Cakewalk, When Summer Comes, Sushi, I Love You, Wheatland, Noreen's Nocturne, D & E, Nigerian Marketplace, Backyard Blues, Night Time, Night Train,
O・ピーターソンへのトリビュート・・ですよね。聴く前から何やら聴いた気になってしまうのがメリットなのか、逆にデメリットなのか。実際に聴いてみればやっぱりそうなのかと納得してしまうのが良いのか悪いのか、新たな発見とか感動なきままに終始してしまうのも何かもったいない気がする。ただ、絶対的な安心感は得られるわけで、そのセキュリティは担保されているとは言えます。彼の手によらない 曲も入っていますが、なぜ故に"Robbin's Nest"だったり"I Love You"なのかは定かではありません。単にJohan Clementの好みなのかもしれない。ハードボイルド感あるテーマ展開をする"Sushi"と、疾走感ある複雑なメロディ展開の"Noreen's Nocturne"が好きで、最近特に後者は他でも聴かれたりします。Benny Greenなんかソロで弾いてたりします。ピーターソンが特段見直されているというわけでもないんでしょうが、実際されているんだとすれば素直に喜ばしいことだと感慨にひたらずにはいられません。といった大袈裟なことではありませんが、グルーヴ感とスイング感を併せ持つことの稀少性と重要性に思いを馳せていただければ幸いです。

COOKIN' LIVE / STEWY VON WATTENWYL (BRAMBUS RECORDS: 200256-2) 2001 FEB. 8-10
Players: Stewy Von Wattenwyl(p), Daniel Schlappi(b), Peter Horisberger(dr),
Tunes: Take Five, To Wisdom the Prize, Moose the Mooche, Fried Pies, Estate, Stablemates, Body and Soul, Autumn Leaves, Stella by Starlight,
エヴァンスのヴァンガード盤のライブ会場みたいに、あなた達本当に演奏を聴いているの?とお客一人一人に思わず問い質したくなるような、素晴らしくジャズ的な演奏風景を垣間聴けることに感動せずにはいられない。何がそんなに楽しくて大笑いしているのか、何を今真剣に語らなければいけないのか、ライブ会場には様々な人生がある。そして、エヴァンスがそうであったように、負けず嫌い?なピアノ・トリオはナニクソ的に強靱な演奏を展開する。こうでないといけません、ジャズは。静まりかえった会場で、さあ聴かせて下さいとか、さあ聴けなどというのは非常識なのかもしれない?閑話休題。豪快な"Take Five"から始まってジャズメンのオリジナルがあって(最近"Estate"はよく目にするような気がする)、最後の三曲はスタンダード演奏("Autumn Leaves"はボッサ・ビート)になっている。以前紹介して以来(reviews23)随分となるピアニストですが、その時と同じメンバーなので、これが2000年前後のレギュラーメンバーだと思われます。響きだけで聴かせることなくフレーズを聴かせるスケール感のあるピアノを中心にして、適度なアレンジを施してあり一体感が感じられ、そして楽しい。

UNFORESEEN / CHAD LAWSON TRIO (SUMMIT: DCD 402)
Players: Chad Lawson(p), Zack Page(b), Alfred Sergel(dr),
Tunes: Past Reference, Every Little Thing She Does Is Magic, Little Person, Michelle, Elizabeth, In the Wee Small Hours, Unforeseen, Black Hole Sun, My Shining Hour, Alone Together, So You Said,
僕個人ではChad Lawsonは三枚目。1枚目はやはり自主制作盤だったはず。二枚目がcomment48の"Dear Dorothy"。印象は最初からあまり変わっていません。上のStewy Von Wattenwylと違って、こちらはどちらかというとピアノという鍵盤楽器の音の響きというのか、打楽器としての弦の反響音で聴かせるジャズ・ピアノの方になるだろうと思っています。基本的にフレーズで聴かせるピアニスト指向である僕のタイプではなく、前回あまりポジティヴなコメントになっていないにもかかわらず、並みいる競争相手を押さえて?また今回あえて登場したからにはそれなりの理由がある・・はずもありません。理由はただ一つ、"Michelle" が演奏されていること、好きな"My Shining Hour"が入っているといった選曲の妙という、理由といえない訳でしかありません。ただ僕のストライクにはもうちょっとなんだけどなぁという非常に一方的な思いも込めて、次作はもうちょっとスタンダードも弾いてねと祈りつつ餞の言葉といたします。

PLAYING / DAVID UDOLF (BLUEHOUSE RECORDS: 9056-2)  1999 JUNE & AUGUST
Players: David Udolf(p), Chris Amberger(b), Bob Braye(dr), Jaimeo Brown(dr),
Tunes: Love You Madly, Isn't It a Pity, Here's to My lady, Sealed with a Kiss, Love Walked In, Why Did I Choose You?, Suddenly It's Spring, Change Partners, Spring Will Be a Little Late This Year,
録音自体は七年ほど前なので新作ではありませんが、初めて聴くジャズメンだと思います。どこに惹かれて購入したかも思い出せないまま、まあ何とはなしに順番通り普通に聴いていたのですが、あるところで「あれっ?これ何だっけ?」と昨今呆け気味の記憶中枢に精一杯働きかけるとようやくレスポンスされてきて、「あっそうだ、ボビー・ビントンの『涙のくちづけ』だ!」と一件落着。それが'Tho we gotta say goodbye for the summerで始まる"Sealed with a Kiss"。日本ではレターメンのリメイクでヒットした『ミスター・ロンリー』の方が有名でしょうけど、こちらもロマンチックなバラードで、ちょこっとヒット・パレードに食い込んでいたはずだと記憶が甦ってきました。まあそんなことはどうでもよくて、このCDは普通です、とても普通です。何の奇を衒うこともなく、何を足すこともなく、何を引くこともなく、割と地味な曲をきちんと聴かせてくれています。癒される。でるあるが故に、何でいきなり"Sealed with a Kiss"に飛ぶのだろうか?不思議だ。

FLOWER POWER (NAIVE: NV810911)  2006 APRIL 26
Players: Aldo Romano(dr), Remi Vignolo(b), Baptiste Trotignon(p),
Tunes: Love Me Please Love Me, Say It Ain't So, Valse de Melody Je T'aime Moi Non Plus, Sea Song Crying Song, Black Dog, Don't Let Me Be lonely, Mr. Tambourine Man, Bridge over Troubled Water, C'est Extra, Your Song, The End,
小さくてもジャケット見てお判りのように、サイケデリックなことになっています。そういうことかと何じゃろかと思いながらよく見ると金門橋の向こうにエッフェル塔がかすかに見える。そんなバカなと思いつつ、メンバーにBaptiste Trotignonの名前を発見し「なるほど!」と訳のわからない納得をして裏を返すとその曲目にひっくり返りそうになった。"Love Me Please Love Me"ってなんじゃ〜〜。"Black Dog"ってどういうことだー。でもフラワー・ムーヴメントの頃のポピュラー音楽をやるのならポルナレフは『ノンノン人形』じゃないだろうか?Zeppは『移民の歌』か?ドアーズはこれで良いのか?だったらジェーファーソン・エアプレインも入れろ、サンタナは入れるべきだろうとか色々あるのはあります。素直な曲("Black Dog"は結構そのまんま)やガチャガチャしているものもありますが、取り敢えずいくつかの曲はそれなりに聴かせていただきました。Baptiste Trotignonにとっては歴史でしかない曲ばかりだと思われるけど、ジャズの場合は時間の隔たりは日常だから、偏見なく曲と向かい合えて良いのかもしれない。


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